10月21日(日)
先週は、まさに、嵐のような一週間だった。
その前の週に、ムチ打ちになってしまい、4日間も安静状態だった病み上がりの身体には、かなりきつい毎日だった。
なんと言っても、子ども県展に出品する作品は下書きのまま。
金曜日には転校して行く児童のためのお別れ会の準備や半試合もやりかけのまま。
土曜日には授業参観があるのに、2日間も授業を休んで自習にさせたため、授業内容を変更しなくてはならない。
もう絶対に休めない!
はずだったのに、悪い時には悪いことが重なるもので、月曜日の夜、末娘が感染性胃腸炎のため発熱。5日間の出席停止になってしまった。
今回の図工作品『モチモチの木』は、先週、私がけがで休んだために、3時間ぶっ通しの図工の時間で仕上げなくてはならない。
私は、前夜のうちに、段取り良く進められるように事前準備を万端整えておいた。
にもかかわらず、絵の具道具を忘れてきた子がいた。
その○○君に私の絵の具を貸し、やり方を教えると、どんどんいい絵になっていった。
それを見たクラスのみんなが「すごい!」{きれい!」とほめながら、自分もはやくスクラッチをやりたい!と集中してやり始めた。
△△君がふざけっこをしかけて来ても、○○君は
「静かにしてくれる?俺、これやってんだから。△△君も、自分のを早くやれば?」
と注意したのだ。
これには周りの子も、△△君もびっくり。
普段のやんちゃぶりとはまるで別人のように、絵に集中する○○君に、△△君はふざけっこをしかけるのをやめて、○○君の絵を見ていた。
その後、○○君の絵はどんどん仕上がり、
「先生、この後、どこをどうすればもっといい絵になるんですか?」
と聞いて来たので、仕上げのためのいろいろな手法を教えると、自分で配置や色遣いを考えながら、自分でも満足できる絵に仕上げていった。
それを見ていた△△君は、先週下書きの紙を破ってしまい書き直しを渋っていたのだが、
「先生、俺にも紙ください」
と言ってきたので、新しい紙を渡したら、なんとか頑張って描きだした。
ざっと書いてすぐスクラッチをしたがるのを、○○君が
「ちゃんと塗りつぶさないと、削った時にきれいな色が出ないよ。」
と教えてくれ、それからの△△君はものも言わずに塗りつぶしに専念していた。
みんなも仕上げに入ってきて、仕上げのスタンピングのやり方をバラバラに聞いて来た時に、私が
「○○先生に教えてもらって。上手にできていたから」
と言ったら、みんなに
「○○先生、教えて~」
とか言われて、○○君はすっかりその気になって、みんなに上手にスタンピングの仕方を教えていた。
△△君をはじめ、みんなも3時間で仕上げ、片付けまで終わらせることができた。
特に、○○君は、私から借りた道具を全部きれいに洗って、
「ありがとうございました」と言って返してくれたのだ!!!
それを周りの子どもたちが、ビックリしながらもちゃんと見てくれていた。
最後に、
「子ども県展の出品申し込みに、もう一人追加できるのだけれど、誰か出す人はいますか?」
と聞いたら、みんなが
「○○君出せば~!上手に描けてるよ~!」
と、○○君を推薦してくれたのだ。
○○君は、
「先生、俺、子ども県展に出す!どうすれば出せんの?」
と、真顔で聞いて来たので、
「申込用紙に書いて、出品料150円払うんだけど、お母さんに相談してみてくれる?先生からもお母さんにお願いしてみるけど。」
と言ったら、
「俺も、お母さんにお願いしてみる!」
と言ってくれた。
果たして、夕方、お母さんに電話をしてお話をすると、○○君からすでに話を聞いていたのか、二つ返事でOKしてくださった。
お母さんは、絵が上手にできたことだけでなく、○○君が自分から「県展に出したいから、150円を払ってください」と言ってきたことや、授業中に集中して絵を描いて仕上げ、先生の手伝いをし、遊びをしかけてきた子に対して注意をしたり、友達にやり方を教えてあげたということがうれしかったらしい。
このところ、私は鬱状態で、自分の指導力の無さや、教師としての資質の無さに、自信喪失→自己肯定感の喪失→自己嫌悪の負のスパイラル状態から抜け出せないでいた。そこに自分が怪我をし、娘が病気になり、悪いことが次から次へと重なってばかりいた。
身体が弱ると、心まで弱り、心身ともにボロボロだった。
いろいろな人に、心配や迷惑をかけ、私はいつも、誰かに会うと謝ってばかりいた。
図工の授業は、自分としては満足できる状態ではなく、むしろかえって自信を失くしてしまうくらい、授業自体は成り立っていなかった。
けれど、夜、みんなが描いた絵を見ながら、本当によく3時間でこんなにいい絵に仕上げてくれたと、みんなの絵を見ながら涙が出てきた。
せめてもの自分の専門分野で頑張ろうと、意気込みすぎて挫折していた私を救ってくれたのは、またしても子どもたちだった。
私はまだ終わってはいない。
諦めたらだめた。
逃げてはいけない。
まだ、ベストを尽くし切っていない。
物言わぬ子どもたちの絵は、私にたくさんのエールをくれた。
つづく…
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