Kバレエ・カンパニーの新作公演『ベートーヴェン 交響曲第9番』を赤坂ACTシアターで観賞。昨年5月に右膝の靱帯を損傷した熊川哲也の復帰作です。
『第9』をバレエで表現するとどうなるんだろう・・と思っていたのだけど、さすが哲ちゃん!わかりやすい演出とダイナミックな振付で楽曲に負けない独自の世界観を作り出していました。第4楽章で哲ちゃんが登場した瞬間、劇場の空気が一変。やっぱりコノ人はバレエの神様に選ばれた人なんだなぁ・・・と改めて実感しました。オーラが違うんですよ。芸術監督でもある哲ちゃんが表現したい世界観を一番理解して体現できるのは哲ちゃん自身ですからね。
でも哲ちゃんが舞台に戻ってきたことを喜んでるだけで終われなかったのも事実。完璧主義者の哲ちゃんが彼の美意識に基づいて作られる舞台は彼自身のこだわりに満ち溢れています。観客を満足させるパフォーマンスと空間を提供しているという自信からのチケット価格設定だと思うのだけど(実際Kバレエの公演は他に類を見ない出来ですし)、バレエ鑑賞者や哲ちゃんファン以外の人が「試しに見てみようかな」と簡単には思えない価格だと思います。特に今公演は通常のツアー時よりも高めの価格設定でした。
今公演『第九』は公演時間65分。生オケ・合唱有り。25分間の第4楽章で哲ちゃんは登場。ピルエットもジャンプもあったけど、「ダンサー熊川哲也」観賞としては物足りない感有り。座席はSS・S・Aの設定でA席の価格は18000円。復帰のお祝儀としても今回の公演は高かったな・・・というのが観賞後の感想です。
一目で「チケットが売れていない」とわかる2階席の有様を舞台上から見た哲ちゃんは何を感じたでしょう・・・。次回作「白鳥の湖」での哲ちゃん完全復活と今後のKバレエの進化に期待します。