田園酔狂曲

二人三脚の想い出と共に!!

沁みる夜汽車⑤〜長い旅路

2021-08-28 18:24:55 | ヒゲの毒舌
さて、駅弁相手にコップ酒を楽しんだ学生ヒゲ。
壁にもたれて聴こえる枕木のリズムは、酔いどれ共の子守唄。  
ヒゲはたちまち眠りに落ちて、夜行列車はそのまま広島〜山口へと進みます。
        
但し、うつらうつらの長い旅路は、楽なものではありません。
最近の豪華カシオペア号の優雅な座席を思い浮かべるのとは大違いです。 (笑)
もっと悲惨な・・・そう、松本清張のTVドラマ『点と線』に登場するような狭苦しく、
蒸し暑い座席をイメージして下さい。
刑事たちが乗った、風通しも悪く、汗臭い国鉄の列車内を。
            
そんな乗客たちが黙り込んだ夜汽車は、やがて関門海峡を通過します。
トンネルを抜けると、アラッ! 不思議? 列車内が少し明るくなる。
ちょうど、夜明けに近いのでしょう。
         
眠り込んでいたオジさんは、あくびの後、ポケットからタバコを取り出し火を着ける。
やれやれのため息が聞こえそう。
さぁ、眠気覚ましの一服を終えて、窓際に設置されているポケット型の灰皿に捨てます。

トンネル通過から暫くすると、列車内の雰囲気が徐々に変わります。
なるほど、朝の光もあるでしょう。
しかし、客席のざわめきが違ってくるのです。
故郷が近づいて、福岡の女性たちの華やいだ声が聞こえてきます。

だが、熊本県が目的地の客は、まだ押し黙ったままです。
これからが、長〜い筑豊線が始まるのを知っているから。
各駅停車だけでも時間がかかるのに、時々は待機線で車輌通過待ちさせられることも。
           
まるで鈍行列車並みの進行を数時間経たら、空気が変わります。
山々の緑色が一気に増えるのです。 「 やった~、やっと熊本県に入ったゾー! 」
そそくさと荷物を棚から降ろす人たちが、妙に嬉しそう!
やっとやっと、故郷の人たちに逢える。
更にそこそこの時を経て、列車がゆっくりスピードを落とすと、終着駅が近づくのが分かる。
          
やれやれと、学生ヒゲも連絡橋の階段を踏みしめて、改札口を出ます。
其処には、彼女(現・カァちゃんです。念のため)が待っているはず。
姿が見えると、13時間という長旅の疲労感も吹き飛ぶのでした。
           
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