11/20 (木曜日) フリーランスの米倉涼子が活躍する人気医療ドラマを観る。
今回は、手術のタイムを競うシーンがあったのだが、スピードだけではない外科手術を垣間見た気がした。
和食板前と外科医。
特に、活き造り系の板前と外科医・大門未知子の仕事は、スピードを求められる。
ヒゲが独りで料理をしていた栄通りの田園は、しだいに固定客を増やしていきました。
その業績アップの両輪の片割れは、日本酒。
もうひとつが、天然白身の刺し身でした。
ビル新築の話しが立ち上がり、ヒゲ独りでは追いつかないと判断。
そこで “ 三顧の礼 ” で料理長を迎えたのです。
新料理長が、ヒゲの仕事を見せてくれと云う事で、平目の活き造りの注文に立ち合わせた。
生け簀から揚げて、五分も掛からずに、活き造りの出来上がりです。
この時、スピードの早さだけに目が行ってしまった。
やがて、田園ビルが出来上がり、同時に田園の店もオープンです。
開店から二週間ほど経った在る日。
K水産の専務とU運送さんが来店してきました。
前の店の常連さんで、天然白身刺しを楽しみにされていた方々です。
注文は、勿論、平目の活き造り。
新料理長も、ヒゲが出来るのだから簡単サとばかりに仕上げて、舟盛りを送り出した。
何しろ、ヒゲの仕事を一度しか見ていません。
「 早くするには、厚く切ればイイ訳さ! 」 とでも、思い込んだのでしょうか?
実は、肝心なところを見落としていたのです。
直ぐに、座敷からヒゲにお呼びがかかった。
クレームです。
魚を指差しながら、 専務 「 幸ちゃん(ヒゲの事)、こら何かい? 」
ヒゲ 「 ハイ、これは活き物の天然平目で御座います。 」
ヒゲには、とぼけるしか手が有りませんでした。
専務 「 そぎゃんとは、分かっとるタイ。 こん(この)刺身ば喰うてみ! (怒) 」
食べるまでもありません、見ただけで分かります。
スピードにとらわれて、雑に切っているのです。
その後、新料理長も座敷に呼ばれます。
専務 「 あんたナー、幸ちゃんから、よ~っと活き造りば習わなんイカンばい。 」
○戸にしてみれば、釈然としません。
同じ、活きた平目をさばいて、そんな味に差が出来る訳がない。
まして、俺様は、三顧の礼で迎えられた名板場だぞー。
店主より腕が良いから、迎えられたのではないかと、勘違いがあったのです。
それから二ヶ月程経った頃でしょうか、再び専務達が来店して来られました。
注文は平目。
やはり、再びヒゲが呼ばれます。
「 ○戸は覚えの悪かつかい? 前といっちょん変わらんタイ。 そっで、幸ちゃんに頼みがあるとタイ。 」
客の方から、驚きの提案が。
「 な、俺たちの刺し身の時だけ、あんたが刺し身を引いてくれんかい?
降ろしたりは、他の者にさせてよか。
仕上げのところだけ、ちょこちょこッと、幸ちゃんがしてくれんかい。
な~ン、他の客の分な○戸にさすっとよかタイ。 」
何という、大きな譲歩案でしょう!?
一般の客は、味がわからんから○戸板長にさせてよいが、味にウルサイ俺たちの分は、
ヒゲに刺し身をして欲しいと。
大変ありがたい話しです。 しかも、実に面白いアイデア。
今の時代なら、ヒゲもアクセプトしたでしょう。
しかし、時代は80年代、板場の気質もまだ時代がかった封建的な頃です。
このアイデア、例えれば、4番バッターに代打を出す様なモノ。
プライド的には、非常に微妙。
とても、三顧の礼で登用された料理人には、耐え難いことでしょう。
専務の提案に、ヒゲは頭を縦にふる事は出来ませんでした。
それから、専務は二度と来店する事はありませんでした。
田園最後の日に、お出でになるまでは ・・・
http://blog.with2.net/link.php?1046790
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今回は、手術のタイムを競うシーンがあったのだが、スピードだけではない外科手術を垣間見た気がした。
和食板前と外科医。
特に、活き造り系の板前と外科医・大門未知子の仕事は、スピードを求められる。
ヒゲが独りで料理をしていた栄通りの田園は、しだいに固定客を増やしていきました。
その業績アップの両輪の片割れは、日本酒。
もうひとつが、天然白身の刺し身でした。
ビル新築の話しが立ち上がり、ヒゲ独りでは追いつかないと判断。
そこで “ 三顧の礼 ” で料理長を迎えたのです。
新料理長が、ヒゲの仕事を見せてくれと云う事で、平目の活き造りの注文に立ち合わせた。
生け簀から揚げて、五分も掛からずに、活き造りの出来上がりです。
この時、スピードの早さだけに目が行ってしまった。
やがて、田園ビルが出来上がり、同時に田園の店もオープンです。
開店から二週間ほど経った在る日。
K水産の専務とU運送さんが来店してきました。
前の店の常連さんで、天然白身刺しを楽しみにされていた方々です。
注文は、勿論、平目の活き造り。
新料理長も、ヒゲが出来るのだから簡単サとばかりに仕上げて、舟盛りを送り出した。
何しろ、ヒゲの仕事を一度しか見ていません。
「 早くするには、厚く切ればイイ訳さ! 」 とでも、思い込んだのでしょうか?
実は、肝心なところを見落としていたのです。
直ぐに、座敷からヒゲにお呼びがかかった。
クレームです。
魚を指差しながら、 専務 「 幸ちゃん(ヒゲの事)、こら何かい? 」
ヒゲ 「 ハイ、これは活き物の天然平目で御座います。 」
ヒゲには、とぼけるしか手が有りませんでした。
専務 「 そぎゃんとは、分かっとるタイ。 こん(この)刺身ば喰うてみ! (怒) 」
食べるまでもありません、見ただけで分かります。
スピードにとらわれて、雑に切っているのです。
その後、新料理長も座敷に呼ばれます。
専務 「 あんたナー、幸ちゃんから、よ~っと活き造りば習わなんイカンばい。 」
○戸にしてみれば、釈然としません。
同じ、活きた平目をさばいて、そんな味に差が出来る訳がない。
まして、俺様は、三顧の礼で迎えられた名板場だぞー。
店主より腕が良いから、迎えられたのではないかと、勘違いがあったのです。
それから二ヶ月程経った頃でしょうか、再び専務達が来店して来られました。
注文は平目。
やはり、再びヒゲが呼ばれます。
「 ○戸は覚えの悪かつかい? 前といっちょん変わらんタイ。 そっで、幸ちゃんに頼みがあるとタイ。 」
客の方から、驚きの提案が。
「 な、俺たちの刺し身の時だけ、あんたが刺し身を引いてくれんかい?
降ろしたりは、他の者にさせてよか。
仕上げのところだけ、ちょこちょこッと、幸ちゃんがしてくれんかい。
な~ン、他の客の分な○戸にさすっとよかタイ。 」
何という、大きな譲歩案でしょう!?
一般の客は、味がわからんから○戸板長にさせてよいが、味にウルサイ俺たちの分は、
ヒゲに刺し身をして欲しいと。
大変ありがたい話しです。 しかも、実に面白いアイデア。
今の時代なら、ヒゲもアクセプトしたでしょう。
しかし、時代は80年代、板場の気質もまだ時代がかった封建的な頃です。
このアイデア、例えれば、4番バッターに代打を出す様なモノ。
プライド的には、非常に微妙。
とても、三顧の礼で登用された料理人には、耐え難いことでしょう。
専務の提案に、ヒゲは頭を縦にふる事は出来ませんでした。
それから、専務は二度と来店する事はありませんでした。
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