いよいよ天婦羅の主役、エビの登場です。
さて、当時の京都、ボーズ(見習い坊主)には、包丁を握る機会はありませんでした。
早く仕事を覚えたいけど、包丁を持っては、させて貰えないのです。
見て、凝視して、盗み見、記憶する事を、叩き込まれるのです。
早く実地で覚えたいと云う、枯渇が染み込みます。
例えば、砂漠を歩いてきて、一杯の水の美味しさに感動するように。
枯渇して、やっと水のありがたみを覚えます。
同じように、仕事をさせて貰えない時期を耐え忍ぶことで、
仕事のありがたみを覚えるのです。
今は、さすがに違うそうですが。
そんな中、唯一、包丁を使ってイイ時がありました。
天ぷら用のエビを仕込む時です。
だから、ヒゲ達ボーズは、嬉しそうに直ぐに集まります。
先ず、36~40の冷凍エビの皮と尾の三角突起を剥きます。
そして、背わたを取る作業で、初めて包丁を使う事が許されます。、
しかし、使う包丁は大出刃包丁です。
ほら、大きな鯛の頭なんかをカットする時使用する包丁。
背わた(黒っぽいヒモ状の)は、ごく細い部位です。
そんな細い所に、大きな出刃包丁を使う。
まるで、『鶏を捌くのに、いづくんぞ牛刀をもちいん』 の見本みたい。
なるほど、馬鹿げた修行ですが、この工程がのちのち効くのです。
そんなこんなで、ヒゲ達ボーズには、使い勝手の良いはずの合出刃や小出刃は
許されません。
しかも、背わた取るにも、左指とのコンビで、一度に作業する様に言われます。
それが上手に出来る様になると、やれ包丁を入れるのが深いの浅いの小言を受けます。
そんな工程を通して、ボンさん達は、大出刃包丁の重さを指先で、或いは体で覚えるのです。
この経験も又、非常に大事なカテとなるのです。
やっとこさ背わたを取ったら、タテ塩(海水程度の塩水)でもみ洗いして、
乾燥ふきんで水気を取って、揚げ場の先輩に託します。
しかし、こんな作業でも、やがて競争を求められます。
もうボーズ達がおしゃべりしながら、ゆっくり楽しく海老の皮を剥く事が
許されなくなります。
いかに早くむき終えるかの競争を強いられる。
早く終わった者が、背わた取りの作業を許されます。
更に、その後のコシ折りの仕事も、早い者勝ちに。
いや~、世の中厳しいですネ。
~~~ つづく ~~~
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さて、当時の京都、ボーズ(見習い坊主)には、包丁を握る機会はありませんでした。
早く仕事を覚えたいけど、包丁を持っては、させて貰えないのです。
見て、凝視して、盗み見、記憶する事を、叩き込まれるのです。
早く実地で覚えたいと云う、枯渇が染み込みます。
例えば、砂漠を歩いてきて、一杯の水の美味しさに感動するように。
枯渇して、やっと水のありがたみを覚えます。
同じように、仕事をさせて貰えない時期を耐え忍ぶことで、
仕事のありがたみを覚えるのです。
今は、さすがに違うそうですが。
そんな中、唯一、包丁を使ってイイ時がありました。
天ぷら用のエビを仕込む時です。
だから、ヒゲ達ボーズは、嬉しそうに直ぐに集まります。
先ず、36~40の冷凍エビの皮と尾の三角突起を剥きます。
そして、背わたを取る作業で、初めて包丁を使う事が許されます。、
しかし、使う包丁は大出刃包丁です。
ほら、大きな鯛の頭なんかをカットする時使用する包丁。
背わた(黒っぽいヒモ状の)は、ごく細い部位です。
そんな細い所に、大きな出刃包丁を使う。
まるで、『鶏を捌くのに、いづくんぞ牛刀をもちいん』 の見本みたい。
なるほど、馬鹿げた修行ですが、この工程がのちのち効くのです。
そんなこんなで、ヒゲ達ボーズには、使い勝手の良いはずの合出刃や小出刃は
許されません。
しかも、背わた取るにも、左指とのコンビで、一度に作業する様に言われます。
それが上手に出来る様になると、やれ包丁を入れるのが深いの浅いの小言を受けます。
そんな工程を通して、ボンさん達は、大出刃包丁の重さを指先で、或いは体で覚えるのです。
この経験も又、非常に大事なカテとなるのです。
やっとこさ背わたを取ったら、タテ塩(海水程度の塩水)でもみ洗いして、
乾燥ふきんで水気を取って、揚げ場の先輩に託します。
しかし、こんな作業でも、やがて競争を求められます。
もうボーズ達がおしゃべりしながら、ゆっくり楽しく海老の皮を剥く事が
許されなくなります。
いかに早くむき終えるかの競争を強いられる。
早く終わった者が、背わた取りの作業を許されます。
更に、その後のコシ折りの仕事も、早い者勝ちに。
いや~、世の中厳しいですネ。
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まぁ、戦力の促成栽培ってやつでしょうか。
このクソボーズが小さな包丁が大好きなんですね。
ほとんどペティと8寸の牛刀にスジ引きでしょうか。
海老は洋食もソテや揚物にオードブルなど重要食材。
とある熊本のホテルで、フノコ海老の背ミソをワタと勘違いしてた馬鹿料理長がいました。
むか~し、初めて和出刃で伊勢海老を梨割したときの
ずれる感覚が懐かしいですね。