仏日庵で戴いた抹茶の器は、肌理の細かい緋色が散った、
垂れ桜を際立たせる志野焼だった。
ここは
円覚寺を開いた方の正式の墓所であって、
開基廟の門をくぐると、
ネコノメソウ(?)が石垣のそばで咲いて、
紅梅院の階段から
男、平幹二郎さんが若尾文子さんに冷たい視線を配っているのが見えた。
幹二郎氏の父が亡くなるまで、父の愛人の関係だった若尾さんと、
初めて言葉を交わした場所。
(御免!これは50年前の映画のワンシーンです)
円覚寺仏日庵は、川端康成氏の文学「千羽鶴」のモデルになった場所です。
映画は2本あって、
◎ 小暮美千代さんと杉村春子さん、森雅之さん。
◎ 若尾文子さんと京マチ子さん、平幹二郎さん。が演じた2本。
映画の撮影は円覚寺の建物をふんだんに使って、いるのが分かります。
京マチ子さんがお茶会を開いた茶室から、
垂れ桜から、講堂を見下す、小高い場所で今はひっそりと。
増村保造監督が、脚本新藤兼人氏と組んで、
愛と肉欲の錯綜を志野焼に絡めて作った「千羽鶴」
時を越えいま、志野茶碗を持てば、
キャストの足跡が見えるようです。