
今回のイタリアワインは、ロッソ コーネロ “クマロ(Rosso Conero Cumaro)” 2003です。現在は呼称変更に伴いConero Riserva Cumaroになっています。2003年のイタリアは猛暑で、去年の日本のように夜になっても温度が下がらない年でした。夜に温度が下がらないと酸が不足すると言われています。この産地は海岸に程近く、本来は穏やかな酸が特徴であると私は認識しています。
さて、内容はというと、充分に鑑賞に耐えられると思います。濃密な香りは華やかさがないものの、ふっくらしていて陰影に富んでいます。酸は果実味に隠れるように、やんわりと存在感をアピールし。鞣されたようなタンニンは、その滑らかになった様子を存分に楽しむことが出来ます。濃厚に思われる果実味は輪郭のくっきりした、重層的な味わいがあります。外観はリリースされた当時の様子をそのままに、シミも皺も無く、歳月を感じさせない無垢な色をしています。
香りと味わいは張りがあり、くたびれたところが感じられないので、まだ熟成させることが出来ると思います。