瓜図小柄 後藤乗真

瓜図小柄 後藤乗真
室町末期の後藤の作。被せられたうっとり色絵が剥がれており、残念と言えばその通りなのだが、面白い景色となっていると考えればこれも許せる。考えてみれば、少しばかりの作業手順を省略して金板を固定しなかった故の状態である。こうなることが判っていて、うっとり色絵の手法を採った。普通であれば理解に苦しむ。剥がれた部分を拡大観察すれば壊れかけた雰囲気だが、全体を見渡せば、面白いじゃないかと、当時の人々も考えたであろう。利休が求めた茶に、使用によって変質してゆくその状態をそのまま楽しんでしまうという意識があるのに似ている。先に紹介した山銅地金色絵の兎図目貫や牡丹図目貫のように、剥がれたことによって生じた面白さである。目貫も共に後藤宗家三代乗真と極められている。

瓜図小柄 後藤乗真
室町末期の後藤の作。被せられたうっとり色絵が剥がれており、残念と言えばその通りなのだが、面白い景色となっていると考えればこれも許せる。考えてみれば、少しばかりの作業手順を省略して金板を固定しなかった故の状態である。こうなることが判っていて、うっとり色絵の手法を採った。普通であれば理解に苦しむ。剥がれた部分を拡大観察すれば壊れかけた雰囲気だが、全体を見渡せば、面白いじゃないかと、当時の人々も考えたであろう。利休が求めた茶に、使用によって変質してゆくその状態をそのまま楽しんでしまうという意識があるのに似ている。先に紹介した山銅地金色絵の兎図目貫や牡丹図目貫のように、剥がれたことによって生じた面白さである。目貫も共に後藤宗家三代乗真と極められている。
