新笠通信 奄美電信版

 Copyright (C) 2010 shinkasatsushin All Rights Reserved.

ムラを求めて3千里

2007-07-25 11:57:53 | B4

教育機関は学校組織から社会組織へ人材を引き継ぐ役割を担っている

将来的にも市民が組織に所属していることを前提とした指導が行なわれる

日本で水準以上に安定した組織の一員の立場を希望するのであれば現在でも労働組合が機能している団体の一員を目指すことが有力である
業界団体の影響力によって組織の一員の生活レベルが水準以上に守られている産業界の一員となることに関心が集中する

水準以上の生活レベルを実現できるということをアピールしている強い組織には求心力があり人気が高い
このような強い組織の一員になることが目指されているから学生の間で就職活動期に競争が発生している

戦後の日本の団体組織の雇用慣行は永久就職が前提とされていた
団体組織は大家族であり定年時までは家族の一員のようなものであった
団体組織は行政単位の村にあたる機能を持った
大きな団体組織は行政区画上の村にかわる村的存在であり村人が多数在籍していた

雇用慣行に激変が訪れるまでは住み心地のよい村を探し求めて定住を行なうことが一般的な人々の行動だった
雇用慣行に激変が訪れるまでは住み心地のよい団体組織を探し求めて就職活動を行うことが一般的な人々の行動だった

学校組織から社会組織へと所属が変わるときには強い組織の一員となることが目指された
組織が持つ強さに寄り添えば生活水準を高めることがある程度できた

バブル崩壊後に日本に存在していたあらゆる神話が消え去った
土地の値段が下がった!
所得が下がった
ムラが消えた!

大企業という大きな村が消えてなくなってしまうことが多発したわけです
ムラが村人を村外へ追放し始めたわけです
大きな組織に対する信頼がもっとも低下した時代だったわけです

景気後退を乗り切らなければならないという危機に直面したときに大企業が示したものは早期退職優遇プランです
村から出て行くのであれば現金を割り増ししておつけしますよと言ったわけです
しかも意思決定時期を段階的に区切り決断が遅くなればなるほど手取り現金の額が減少するしくみをつくったわけです

日本は景気後退期であったからどの村も過剰な村人をかかえていていったんムラからでてしまえば出身のムラより待遇のよいムラに落ち着ける確率などまったくなかったわけです
年功序列型という日本型賃金体系概念がほとんど機能しなくなった時代を迎えたわけです
いったん住民とした村人を簡単には追放できなくなるような労働法というものが存在しているわけです
労働組合は労働法を機能させることによって組合員を守っていたわけですが産業再生法が適用されたならば大企業は何千人単位で早期退職をさせることができるわけです

どんなに大きな企業でも近いうちにもつぶれてしまうという状況になってしまったのならば労働組合活動どころではなくなるわけです
景気後退期には労働組合がまったく機能しない団体もあるということがはっきりとわかったのです

日本の終身雇用慣行はバブル期を境にゆさぶりをかけ続けられているわけです
大組織の本音をあらゆる場所で噴出させられてしまったわけです
組織の非情さを露呈してしまったわけです
従業員を犠牲にして組織を守るという方向性が具体的に見えてしまったわけです
組織は従業員のために存在しているのではなく従業員は組織のために存在させられているという実態が明らかにされてしまったわけです

それでも1990年よりも前からのシステムに守られている世界があるわけです
早期退職優遇制度の利用をせまられずに村人として残ることができた人たちの待遇が依然高水準にあるということです

早期退職した人たちの分の穴埋めを外部発注で補っているわけです
早期退職を余儀なくされた人たちとアウトソーシングに従事している人たちに水準以下の生活を担当してもらっているわけです
派遣社員の特徴は年功序列型社会の村人ではない定期昇給型の賃金体系ではない村人としては永久就職できない状況に置かれている身分の者達であるといわけです
景気後退後に市場経済社会は雇用慣行にゆさぶりをかけたわけですが戦後型のシステムをかろうじて踏襲することができた組織もありその組織員の待遇を維持するために現在でも待遇の悪い雇用条件におかれている大勢の人たちをそのまま放置しているというわけです

戦後型雇用慣行的好条件におかれている人たちが歩み寄りを見せない限り生活水準の幅が埋まることはないわけです
戦後型雇用慣行的好条件に置かれている人たちは事実上社会的弱者への生殺与奪権を握っているといえます

一度つかんだ好条件を手放す者などはいないから説得してまわる人が必要になるわけです
そういう人がお仕事をサボっていたらおしおきされてしまうわけです

1980年型の雇用慣行と賃金体系を2010年型にうまくシフトさせる能力が求められているわけです

国内ほとんどの団体の中にあった1980年代型のムラ社会に壊滅的な混乱がもたらされたわけです
賃金的負担が大きい村人をよそへ追い出して村の事情をよく知らない安い賃金労働者を大量に招きいれたわけです
日本の組織がとった行動です
人が組織を信用しなくなってしまいました
組織の中にいる人も同じ組織の人でさえ信用できないような疑心暗鬼に陥るような状況になってしまいました
2010年代型のムラ社会は果たしていったいどのような姿となるのかということです
どこの村にも古株がいるわけです
古株がやっていることは弱い村人を外に追放して低賃金労働者を雇い入れているわけです
こんな殺伐とした状況がいつまでも続くわけないということです
どの団体も守っているのは古株であるということです
古株を守るために組織を露骨に利用しているということです

再び人が組織を信用して人を信用するようにするにはどのようにすればよいかを考えることが大切だということです
組織はよいムラを継続していくために存在しているわけです
顔色の悪い村人を見て声をかけてやるぐらいの余裕をもってほしいということです