toshiの「読書日記」

忘備録を兼ねて読んだ本の感想などを書いています。個人的な感想なので不快に思われたりすることも有るかもしれませんがご容赦。

「オリンポスの果実」 田中英光

2024年07月03日 | 読書日記

ローイング(ボート競技)の小説として紹介されていたので調べてみたら図書館に有ったので予約して借りてきた。
実物を見てびっくり。ボロボロで読んでるうちに壊れそう。図書館の人も驚いていた。
タイトルは横書きで左から読むようになっていて、「青春の書 3」とある。
奥付を見ると昭和21年11月5日、出版社は鎌倉文庫。ちょっと調べたら遠藤周作がいた出版社らしい。

読みはじめたら旧仮名遣いどころか活字も旧字体で読めないので、折角だけど青空文庫で読むことに。

内容はロサンゼルスオリンピックにエイトの選手として出場する主人公が、ロスに向かう船の中で女子選手に一目ぼれするところから始まる物語。
船の中の様子、アメリカでの様子が描かれているけれど、肝心のレースの場面はほんのわずか。


並んだ、剣橋(ケンブリッジ)クルウのオォルの泡あわが、スタアト・ダッシュ力漕三十本の終らないうちに、段々小さくなり、はては消えてゆく。敵の身体からだがみえていたのは、本当に、スタアト、五六本の間で、忽たちまち、グイグイッとなにかに引張られているような、強烈な引きで彼等かれらの身体は、ぼくの眼の前から、消えてゆき、あとには、山のように盛もりあがった白い水泡みなわがくるくる廻まわりながら、残っている。それも束つかの間ま、薄青うすあおい渦紋かもんにかわり、消えてしまった。

私がはじめて強いチームと一緒になった時、まさにこんな感じだったことを思い出した。

で、肝心のストーリの方は・・・、とにかく歴史を感じました。

 

 

 

1946.11.5

鎌倉文庫

 

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「ある翻訳家の 取り憑かれた日常」 村井理子

2024年07月03日 | 読書日記

日記形式の小説かと思ったら、ただの日記だった。
全く知らない人の日常を読まされても・・・。
3月の最後からところどころに「原田とエイミー」という話が入って来て最後におまけのように完結する(?)。

 

 

 

2024.6.20

大和書房

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「毒母ですが、なにか」 山口恵以子

2024年07月03日 | 読書日記

第一章のりつ子は姑や小姑達にいじめられる可哀相な嫁として描かれていたので、計算高い第二章のりつ子は似た境遇で同じ名前の別人の話かと思ったら同じ女性の前日譚になっていた。
その後の展開に予想がつかなくなってモヤモヤしながら第三章に入ると、それまでの話はもうほとんど関係なくなってりつ子と双子の子供たちの物語になっていく。
宗教にのめり込むようなお受験をはじめとするりつ子の教育に応える兄倫太郎と、ついて行けないながら必死に頑張る妹星良。
理不尽な母に対して、けなげな星良が可哀相でならない。
最後に星良が鮮やかに逆転するけれど、単純にスカッとする展開ではない。

ラストの一行はどういうことなのかな?
皮肉が効いて面白いけれど、りつ子は絶対自分が毒母とは思っていない。

 

 

 

 

 

2017.10.20

新潮社

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