第1098回「詩人の聲」 岩田亨公演(第8回)
「イヨマンテ」
・みずからを咎める朝の来し封書差出人の名前はあらず
・イヨマンテその厳かなる祭礼を今は写真に見るほかはなし『星座選集1』
「記憶辺々」
・噴水の水の高さや みずからの丈のあわせて生きんとぞ思う
・間断のなき波音を夜半に聞き増し行きぬべし耳の感度は『星座選集2』
「本日はご来場いただき有難うございます。今日で「聲を撃つ」のは八回目。前回までに旧作を読み終えたので、新作と制作中の作品を中心に読もうと思います。」
「アルルの風」50首詠 (2011年の角川短歌賞予備選通貨作品)
・風やまぬ冬の真夜中どこからかアルルアルルと呼ぶ声がする
「若きめん鶏」30首詠 (2013年運河賞次席作品・辞退)
・せわしなく歩きまわりて何を見る羽毛よごれし若きめん鶏
「春」12首詠 (制作中)、「夏」13種詠 (制作中)、「秋」13首詠 (制作中)、「冬」12首詠 (制作中)。
「心鎮めて」「猛禽類」「博徒」「流言」「血流」「ブログ更新」(歌集未収録作品)
「無題」50首詠 (制作中)、「無題」30首詠 (制作中)
「褐色の陶器」11首詠 (2008年運河賞佳作作品)
・雨脚が激しくなりて暮れ方のゼブラゾーンに水とどこおる
「ミカエルの翼」 (2008年運河年間賞次席10首詠)
・大理石の床までわずか届かざるミカエルの像の翼の長さ
「社会詠」43首詠 (角川「短歌」投稿欄の入選作)
・爆風も上りゆきしやナガサキのここなる坂に白猫歩く(吉川宏志選)
散文「函館」900字 (これは以前このブログの「紀行文」に収録したもので、文章にリズム感があったので、「聲に載せて」みた。
このプロジェクトでは、初経験だったが、汗をたっぷりかいた。天童大人からは、「汗をかくのは、真面目に聲を出しているという証拠だ」と言われた。聲を出しても咽喉に負担がかからなくなった。腹から声をだせるようになった。
リズム感がつかめて来た。角川「短歌」8月号に新作を発表するが、今までとは作品が様変わりしてきたのを感じる。
懇親会では、詩歌の芸能人化の問題、戦争と詩歌の問題、外国語に翻訳し得る作品を目指せというアドバイスを天童大人から頂いた。翻訳詩を読む様にすすめられた。
このプロジェクトに参加して、うつ病の症状が消えたのは以前の記事に書いたが、病気が治ったお祝いだと、大学時代と高校時代の友人が駆け付けてくれた。そのうち一人は、僕の歌集を熱心に読んでくれて、短歌を本格的にやりたいとまで言ってくれた。友達とは有り難いものだ。