「天童大人プロデュース 詩人の聲・岩田亨公演」(14回目)
於)NPO法人東京自由大学
11月17日
「(語り)本日は御来場いただきありがとうございます。新聞には発表した、5首の連作を元に長歌を作りました。これを聲に載せたいと思います。・・・(これは失敗だった。自分のリズムになっていない。読んでみると、何とも陳腐だ。そこで読むのは中断した。)・・・第一歌集『夜の林檎』から、90首を厳選しました。」
「ナルシス」
・ナルシスの末裔という推薦を活ける器にガラスを選ぶ
「青き水藻」
・湧き出ずる秋の泉の輝くは青き水藻にの揺れいるかたち
「神の手」
・神の手に日々鳴らされる心地してわが平安をことさら憎む
「夜の林檎」
・一人居の部屋に帰りてあてどなく夜の林檎を音たてて食む
「朝の交差路」
・蜘蛛の子が集まるごとく一瞬に人歩み来る朝の交差路
「石のオブジェ」
・風おもき心地す夜の公園に石のオブジェはに鈍く光りて
「砂丘の砂」
・砂丘(すなおか)のくぼみの砂を掘りゆきて指先湿る海近ければ
「虹の断片」
・風起こり滝の飛沫が動くとき現れ出ずる虹の断片
(これらは「詩人の聲」で、聲に出し、駄作、失敗作を排除して、残った作品である。聲に出すと、それが分かるので、作品の選択に役立つとともに、怖くもある。)
そのあと、第三歌集以降の作品を、聲に載せた。第四歌集に収録する作品を選ぶ積りだ。
だが、この公演のあと大きな転機がやってきた。短歌を始めたばかりの頃の作品を、見ていたら、作ったまま放置していた、30首、50首の連作が見つかった。表現は未熟だが、発想に見るべきものがある。これをモチーフとして、新作を作ることにした。今日で160首は、作っただろうか。
次回の公演(12月4日・自由が丘・キャシュキャシュダール)では、この新作を一気に読もうと思う。