岩田亨の短歌工房 -斎藤茂吉・佐藤佐太郎・尾崎左永子・短歌・日本語-

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干潟の日の歌:尾崎左永子の短歌

2022年09月01日 17時53分59秒 | 尾崎左永子(長澤一作・川島喜代詩)の短歌を読む
・死滅せし海苔のたぐひの漂はん干潟の沖は日をたたへゐる

「彩紅帖」所収。

「浦安周辺」と題する連作の一首。一首でも独立性がある。「短歌が一首でも鑑賞できるように」という作者の矜持だ。都市化が進み荒廃してゆく干潟を詠んだ。

「死滅せし海苔のたぐひ」がそれを象徴している。「海藻類と表現せずに、海苔のたぐひ」と表現したのが絶妙だ。


 都市化が進む1960年代。批判的な目を通して下の句の美しい表現で締めくくっている。これが作者の真骨頂。





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