「星座α」25号:相聞5首(抄)
・夕暮れに汝(なれ)の家より帰りゆく散りし桜の敷き詰む道を
北原白秋の作品(君かへす朝の敷道さくさくと雪よ林檎の香のごとく降れ)を意識した作品。素材は同じだが、表現方法が違う。「アララギ」ならこう詠むだろう。
・故国へと帰りし麗子を思う夜静かな部屋にコップ酒飲む
人名は架空。だが事実に基づいている。空想ではない。
・人を待つあたたかき日のさす真昼遠き山脈(やまなみ)かくまで青し
山脈は丹沢山系。誰と待ち合わせたかは問題でない。相聞は恋愛関係だけでなく親しい人をおもんばかる歌である。
・住み慣れぬ異国の地にて暮らし居る女(おみな)二人を愛おしむわれは
この場合「女二人」と作者がどういう関係だったかは問題でない。
・平均に水をたたえる湖を母なる海とマリコは言えり
湖を詠いこんでいるが、作者とマリコが湖の岸辺にいたか、山麓から見下ろしていたかは、捨象した。もっと言えば電話の会話でも構わない。
「星座α」25号には相聞を8首出詠した。残りの2首は心理詠。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/15/32/235247dc46ffe4d92b9985333740bcfd.png)