岩田亨の短歌工房 -斎藤茂吉・佐藤佐太郎・尾崎左永子・短歌・日本語-

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「星座α」25号:相聞5首(抄)

2021年07月07日 18時21分00秒 | 岩田亨の作品紹介
「星座α」25号:相聞5首(抄)

・夕暮れに汝(なれ)の家より帰りゆく散りし桜の敷き詰む道を
  
 北原白秋の作品(君かへす朝の敷道さくさくと雪よ林檎の香のごとく降れ)を意識した作品。素材は同じだが、表現方法が違う。「アララギ」ならこう詠むだろう。

・故国へと帰りし麗子を思う夜静かな部屋にコップ酒飲む

 人名は架空。だが事実に基づいている。空想ではない。  

・人を待つあたたかき日のさす真昼遠き山脈(やまなみ)かくまで青し
 
 山脈は丹沢山系。誰と待ち合わせたかは問題でない。相聞は恋愛関係だけでなく親しい人をおもんばかる歌である。

・住み慣れぬ異国の地にて暮らし居る女(おみな)二人を愛おしむわれは

 この場合「女二人」と作者がどういう関係だったかは問題でない。

・平均に水をたたえる湖を母なる海とマリコは言えり

  湖を詠いこんでいるが、作者とマリコが湖の岸辺にいたか、山麓から見下ろしていたかは、捨象した。もっと言えば電話の会話でも構わない。


「星座α」25号には相聞を8首出詠した。残りの2首は心理詠。







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