岩田亨の短歌工房 -斎藤茂吉・佐藤佐太郎・尾崎左永子・短歌・日本語-

短歌・日本語・斎藤茂吉・佐藤佐太郎・尾崎左永子・社会・歴史について考える

2010年の作品から5首抄出

2010年12月31日 23時59分59秒 | 岩田亨の作品紹介
「遠き雷鳴」5首抄


・わが涙乾かんほどに風つよく形定まらぬ雲動きをり・(以下「短歌」9月号より)

  雲の形が変わっていくのを見るのには飽きません。

・限りあるものの命をまざまざと見せて倒れし公孫樹の古木(こぼく)・

  鶴が岡八幡宮のイチョウが倒れたのは記憶に新しいところです。

・あら草が夕日を受けて揺れゐたり積まれし建設残土の上に

  王禅寺という古刹の近くに「建設残土受入」の場所がありますが、なぜか印象的なのです。

・公園の遊具取り払われし夜水銀灯の光つめたし・

 上の句、リズムを少し崩して不安感のようなものが出たでしょうか。

・わが内の何かが変わりゆく思ひ抑えて遠き雷鳴を聞く。

 これが一連の表題「遠き雷鳴」のもととなった作品です。屋外で聞く遠き雷鳴は何か暗示的です。本当は危険なことだそうですが。

 これらの作品は、来年上梓する第二歌集「オリオンの剣(つるぎ)」に収録します。





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