悲しい春 チューリップ荒らし各地で被害
2008年04月19日02時22分
せっかく咲いた花が各地で切られたり、踏みつけられたりしている。最近は群馬県や静岡県で、大量のチューリップが被害に遭った。大事に育てた人たちの落胆、憤りは、はかり知れない。いったいだれが荒らしたのか。警察の捜査は続いている。
切り落とされたチューリップの花は、プランターに捨て置かれていた=14日、前橋市城東町、大井写す |
◆前橋
前橋市の最初の事件は、人が寝静まった8日夜から9日朝にかけて起きた。
JR前橋駅北口から群馬県庁に続く目抜き通りを中心に、約1キロにわたって道の左右に置かれた木製プランターのチューリップ計1050本が切り落とされた。
3月末から前橋市や高崎市を主会場に始まった「第25回全国都市緑化ぐんまフェア」に合わせ、地元の人たちが丹精込めて育てた花だった。
前橋署は器物損壊事件として捜査に乗り出した。しかし、現場は夜半ともなれば人通りがなくなる場所。目撃情報は得られていない。周辺の防犯カメラの映像も真っ暗で、手がかりがない。同署は2次被害が起きないよう、警戒を強めるしかなかった。
その矢先の13日夜から14日朝にかけて、2度目の事件が起きた。第1現場から約1キロの住宅街。217個のプランターに植えられたチューリップ766本が切られていた。
「14日午前2時ごろ、草木を切るような音がしました」
「14日午前3時ごろ、現場近くで若い男女4~5人が騒ぐ声を聞きました」
いくつかの証言が寄せられたものの、犯人に結びつくまでには至っていない。
犯人像は浮かばないなか、二つの事件について、群馬県全国都市緑化ぐんまフェア事務局の職員が、犯罪心理学者顔負けの分析を披露してくれた。「花だけをなぎ払っている感じの最初の事件に比べ、2件目は根に近い部分までえぐり取っているものもある。憎悪を感じますね」
県警本部のおひざ元で、事件が繰り返されたことに警察も怒り心頭に発している。二つの現場から持ち帰ったチューリップの茎の切断面を鑑定し、微小ながら 凸凹しているもの、平らなもの、完全に切れてなくて繊維がはみ出しているものを見つけた。この結果、傷つけた道具については、(1)棒状のもの(2)刃 物、と複数あったことがほぼ判明。しかも、同一犯による犯行の可能性もあるとみている。
15日、前橋市内のホテルで、鉢植えの観葉植物がもぎ取られる事件があった。県警は、容疑者の男(34)を器物損壊容疑で逮捕した。前の2件の事件との関連はなさそうだが、花荒らしを厳しく取り締まる姿勢を見せつけた。
緑化フェアが終わるのは6月8日。花荒らし事件を知ったチューリップの本場・富山県砺波市などから、17日までに約1320本のチューリップがプレゼントされた。被害を受けたプランターの横には、新しい花が立っている。
「嫌な事件が2回も起きた後なので、うれしい」。人情に触れ、被害にあった人たちの心も少しだけ癒やされた。(大井穣)
◆静岡
静岡県牧之原市の静波海岸で11日、約300本のチューリップのうち、約120本が荒らされているのが見つかった。茎が切られ、地面には踏みつけられたつぼみが散らばっていたという。
この海で昨年9月末、1人の女性サーファーが命を落とした。チューリップは、この女性サーファーの死を悼み、事故を忘れないように、と長さ200メートル、幅1メートルの植え込みに静波海岸ボランティアの会や、静波サーファーの会の仲間が植えたものだった。
牧之原署は「最近、他県でも同じようなことがあった。それを模倣した愉快犯の犯行では」。器物損壊事件として、手掛かりとなるような目撃情報などを求めている。
荒らされた現場を最初に見た静波サーファーの会の前田晃宏さん(38)は、悔しかった。「みんなで植えたことを知らずにやったのか。怒り
よりも悲しい。もし、知っていて荒らしたのなら、許せない。チューリップは球根を掘り起こして植えれば、また咲くと聞いた。秋に植え直し、来春、花を咲か
せたい」(遠藤真梨)
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