じいの徒然日記

内野聖陽さんにfall in loveしたじいのおバカな毎日を綴った日記

音楽劇 わが町

2011-04-23 14:32:20 | 観劇記
地震のゴタゴタと公私共の多忙で遅くなってしまいましたが……っていうか遅すぎ 3月13日千秋楽の観劇記です

~あらすじ~

アメリカ・ニューハンプシャー州の小さな町グローヴァーズ・コーナーズ。ギブズ医師の息子ジョージと、隣に住む地方新聞の編集長ウェブ氏の娘エミリーは幼馴染み。穏やかで誠実な両親や町の人々に見守られ成長した二人は互いに恋をし、やがて結婚の日をむかえる。結婚式は町のみんなに祝福され新生活は幸せに満ちていた。だが9年の歳月が過ぎたとき、二人に思いもよらない出来事が……。 (シアターガイドHPより)

全3幕、1幕は高校時代、2幕は結婚式、3幕は……ネタバレしちゃいますね 2人目の子供の出産が原因で死んでしまったエミリーのお葬式と死後の世界という感じで時代ごとに幕を区切っていて、一幕=その時代のある1日を描くという舞台になっています。セットも衣装もとてもシンプル、、、っていうか敢えて“色”をつけていないように感じましたね~~始まるまで何っっっにも置かれていないんですよぉ~~舞台上に。これからお稽古ですか?と突っ込みたくなるほど でも、ただ1つ 真っ暗な舞台に下手側の袖から照らされた光の筋が何ともいえないいい雰囲気、これから舞台上で起こる“魔法の時間”を予感させるようでワクワクせずにはいられなかったですぅ~ 幕が開くと各キャストの皆さんが黒を基調にした何の変哲もないテーブルや椅子を持って登場!それを場面に沿って組み替えていろんな家具や建物に見立てているし、衣装は全員グレーと白の洋服でこれまた場面に合わせてエプロンだったりコートだったりジャケットだったり、様々な衣装を組み合わせていました。

ストーリーも至ってシンプル……フィクション特有の何もドラマチックな出来事は起こらない、ごくごく普通の、取るに足りない日常の、それはそれは見事なまでに平々凡々過ぎる話なのですが、決してつまらないのではない、そのシンプルさが思考&想像力を掻き立ててくれてめちゃめちゃ面白くて素晴らしい演目、もうぅ~~最後は心震えてしみじみ泣けてきましたわ 世の中こんなに素敵な舞台があるなんて、、、大感動 今回は音楽劇ということで随所に歌が織り込まれていて、それがまたいい雰囲気を醸し出していたんですよね~~ストプレの方は未見なので、比較できないので違いは指摘できないんだけど、元々作品自体に詩的な世界観があるので音楽劇にはもってこいの演目とのこと。むしろ音楽が奏でられることによって世界が広がっていくのがいいなぁと思いました エミリーを演じた土居さんの澄んだ表現力たっぷりの歌に癒され、普段は歌う姿を見られない役者さんたちの歌う姿にビックリ&そのレア感を楽しませていただき、、、ホント楽しかったですぅ~~

結婚も死も決して特別なことではなくて、誰の人生にも起こりうる当たり前のことで、人生の通過点の一つに過ぎない出来事として描かれている。でも、だからこそ!!!それがしみじみと、そしてずっしりと心に沁みてくるんですよね~~結婚式当日に両家の親たちが歌う「ウェブ夫妻の歌」 時代的なギャップ?!がないわけではないというか、現代では必ずしも正式な結婚をして子供を儲けて二人で手を携えて生きることだけが幸せとは限らない時代なので、そういう部分は違和感を感じました。でも、子供の幸せを願う親の心であったり、自立を促される若者たちの戸惑いだったり、そういう普遍的な人間の心模様というのは自分のことのようにリアリティを持って感じて心に突き刺さりました。特に、、、エミリーとジョージを後ろで見守るウェブ夫妻とギブス夫妻。特に父親の方がねぇ~~瀬戸口さんと川井さんがかっこよくて惚れた~~ それぞれ同性の親or異性の親としての強さと温かみに引きずり込まれました。。。

そして、目から鱗 だったのが3幕での死者たちの表現!エミリーが産褥で亡くなって死後の世界に行った時に、そこには生前に交流のあった懐かしい人たちがただじっと黙って椅子に座っている。。。ぱっと見それはまるで墓地のようだったんだけど、エミリーと先に逝った姑のギプス夫人の会話に驚かされました。病床から自由な体になって「いつでも戻れるんでしょう?」というエミリーに対してギプス夫人が「死者は前を向いて静かにその場に止まらなければならない」と告げるところで、思わず思考回路停止???死者と未来を結びつけているのが凄く不思議な感覚だったので。でも、その後にエミリーが1日だけ今まで送ってきた人生の中のごく普通の1日を見てきた場面で分かったような気がしました。死者がいくら過去を振り返っても悲しい思いをするだけ。生きている人たちはそういう死者の思いに気づかないし直接思いのやり取りが出来るわけじゃない。でも決して忘れたわけではなくて、ギプス氏がお墓参りをするようにいつまでも心の中に生きている。そして、それでも悲しみが癒えることはなくて、だからこそ生きている間は当たり前すぎて何にも感じなかった1日1日がこの上なく愛しい。ラスト2曲、エミリーのアリアと永遠不滅を聞きながら気がついたらハラハラと涙が流れていました。いや~~やられた!!!まさに秀作です

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