日常

ボルゲーゼ美術館展

2010-01-19 17:08:42 | 芸術
上野の東京都美術館で、ボルゲーゼ美術館展を見てきた。

ボルゲーゼ美術館自体は、イタリアのローマにある、当時の金持ちのおじさんが集めた絵のコレクション。
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第一章:15世紀・ルネサンスの輝き
第二章:16世紀・ルネサンスの実り―百花繚乱の時代
第三章:17世紀・新たな表現に向けて―カラヴァッジョの時代
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こういう流れで展示は続く。


ルネサンス(Renaissance)は、「再生」(re- 再び + naissance 誕生)を意味するフランス語。
十字軍の遠征で、イスラム圏の東ローマ帝国で大切に継承されていたギリシャ文化を知り、その衝撃から古代ギリシャ・ローマを復興しようという大きな動きとして、14~16世紀に起こった。
ミケランジェロ、レオナルド・ダ・ヴィンチ、ラファエロの巨匠は有名ですよね。
万能の天才とも言われて、縦糸で専門化されず、横糸でどんどん横断していった時代。
活版印刷術、羅針盤、火薬が発明されたのもこの時期。


その後、腐敗したカトリックのキリスト教に対抗する動きとして、激動の宗教改革の時代があった。カラヴァッジョは、ルネサンスの後のバロックの時に活躍した画家。


ルネサンスのラファエロの絵は美しくて均整がとれていて、光に満ちている。
その反面、バロックの時代は、カラヴァッジョのように鮮烈に光と影を使い、影の暗闇から浮かび上がるような光を描く。異常にリアリティーを感じる。
バロックは、もともとポルトガル語で「歪んだ真珠」の意味なのです。
ルネッサンスで輝いた真珠を、歪みとして見た。


静的な芸術から、動的な芸術へ。

ダヴィデ像の彫刻という同じ対象でも、ルネサンス時代のミケランジェロと、バロック時代のベルニーニでは、同じダヴィデ像でも明らかに違う。
ものの見方が大きく変わった、ヨーロッパの大きいうねり。
世界が変わり、ものの見方も変わる。同時に、ものの見方が変わり、世界も変わる。


「動物と植物から見た人体」(2010-01-13)の世界で言えば、植物から動物へ。という違いのようにも見える。


カラヴァッジョは、口論の末に殺人を犯し、38歳という若さで亡くなった。
その逃避行のなかで描かれた絵がある。
暗闇に浮かぶ《洗礼者ヨハネ》の絵は、とても怪しいオーラを放つ。
死を予感した天才画家の、なんとも言えない心境が絵にあふれている。


他に興味深かったのは、慶長遣欧使節(1613年)で、伊達政宗がバチカンのローマ教皇パウルス5世に、支倉常長を派遣した。
その時の支倉常長をイタリア人が描いた絵。
当時のイタリア人から日本人を見ると、こう見えるのかと驚くと共に、あの時代に海を渡った日本人に敬意を感じる。
1613年って言うと、400年前かぁ。ご先祖10人分以内かなぁ。



ボルゲーゼ美術館展は、結構人が少ないのでゆっくり絵を見れる。それがよかった。
寧ろ、あまりにガランとしていて驚いた。主催者も驚いているかも。

宣伝豊富で話題になっている展覧会は、あまりにも人が多すぎてゆっくり見れないことが多いんですよね。


同じく上野の東京国立博物館でやっている「国宝 土偶展」と共にお奨めです。


他に見に行きたいのは、
○国立科学博物館「深海探査と微化石の世界」(~02/28)
○国立科学博物館「大哺乳類展-陸のなかまたち」(03/13~06/13)
○東京大学総合研究博物館「命の認識」(~03/28)
○東京都写真美術館「躍動するイメージ。 石田尚志とアブストラクト・アニメーションの源流」(~02/07)
○日本科学未来館「‘おいしく、食べる’の科学展」(~03/22)
○国立新美術館「ルノワール―伝統と革新」(01/20~04/05)
○東京都庭園美術館「マッキアイオーリ展」(~03/14)

色々行きたいんだけど、土日が全然休みなくて悲しいわー。