日常

バレエダンサー 岩田守弘さん (+M1グランプリ 2008)

2008-12-22 15:40:00 | 芸術
■M1グランプリ 2008

M1はnon styleが優勝しましたね。わしは「爆笑レッドカーペット」で見た時から、彼らの完成度が高い正統派漫才は気に入って一押ししてたんで、優勝して嬉しかったなー。 オードリーもナイツも勿論面白かったけど、テレビで見慣れたネタな感じがあって、真新しさがなかったのがよくなかったのかもしれんね。
オードリーのすかし漫才(とろサーモンみたいに)が新しいスタイルであるのは間違いないし、そこは高く評価したいね。


笑いって、松本人志と小学5年(10才)くらいに出会ってからずっと好きですけど(20年来になる!)、自分にとって松本人志を超えるお笑い芸人ってなかなか出ないです。爆笑問題の太田とかは好きだけど、笑いの求道者としてはなかなかいない。
そういう意味で、松本人志と同時代に生きてるってほんと嬉しい!
今年の大晦日も楽しみー。今年は両親と姉をみんな東京に呼んだんで、大みそかはみんなでダウンタウンのガキの使いを見て、年を越す予定です。ネットでレンタル布団も注文したし。


松本人志論は、いつか書きたいんだけど、なかなか気合い入れて書く暇がなくて・・。Is氏が昔書いてた松本論もおもろいよねー。
「松本人志の転向 ~存在の祭りの中へ~」(070709)

俺も松本ファンとして、彼の関連本やDVDなどはほぼ全部読んできた一ファンとして、この果てしない愛情を、ささやかながら言語に変換させときたいもんですな。



■バレエダンサー 岩田守弘さん

ほんとはM1を書くつもりじゃなくて(笑)、この前NHKプロフェッショナルでやってたバレエダンサーの岩田守弘さんの回がすごくよかった。そこを書くつもりだったのです。

岩田守弘さんは、クラシックバレエの最高峰と言われるロシア・ボリショイバレエ団で、史上初の外国人ソリストとして活躍している。しかも年齢は38歳。いわゆるアスリートしては峠を越えているのかもしれないけど、彼はそれをネガティブにはとらえていない。38歳だからこそ踊れる味を出そうとしていた。それを極限まで追求しようとしていた。

年齢をとることは一般的にワルイことと思われていることが多いけれど、わしは全くそう思わない。年をとり、顔の皴が増えるのは、心にも皴が増えて深みが増す。老いには、若さでは絶対に到達できない深さがある。
自分の中に時間が刻印されていくから、必然的にそうなるのかな。
これは、日々心臓病をもったお年寄りと接することが多い自分には絶対的な確信がある。

年齢をとることがワルイと思っている人は、岩田さんの発言はpositive thinkingに聞こえるかもしれないけれど、老いることをイイともワルイとも思っていない、自然のコトワリと思っている人間にとっては、老いたからこそ醸し出る深みを表現すればいい。その発想は素直で自然な流れ。

岩田さんはこう言った。
=============================================
「バレエは体が動かないと表現できない。だけど、人間性とかは熟してくる、それは年齢に伴ってくるものだから」
=============================================


ロシアでは完全な異邦人であった岩田さんは、当初はソリストとして屈辱的な小さな役しか与えられなかったそうだけど、どんな役でも断らずに、とことん練習し、最後まで踊りきっていて、そのひたむきな姿勢が周りの評価を徐々に変えたようだった。

それって、すごく当り前のことのようだし、過去をこうやって一言で表現しちゃうと、あまり実感を伴わないかもしれない。でも、ほんとうに血ヘドが出るような屈辱の時代とか、どん底の挫折の時代とか、いろんな苦しみがあったんだろうなーって思わせる、そういう眼差しが彼の表情に出ていた。そういう時の重みが刻印されていた。


彼の発言ですごく好きだった台詞
=============================================
「人間って、いい時は結果が出るけど成長しない。悪い時に、成長していると思う。そういうのを経てきた人が、本当に感動させられる踊りをする人。自分もそう生きたい」
=============================================
別に悪い時を無理やり作る必要はないんだけど、そういう悪い時に、どれだけモガイタかということや、それでも自分の軸をぶらさず、むしろ自分の根っこを固めて生きてきたかってこと、その生き様のプロセスそのものが、人に感動としてエネルギーが変化し伝播してしまうんだろう。



=============================================
「僕は、なんか自分の力じゃないものに動かされているなと思う。大きな波があって、その波の上に乗っているなと感じることがすごくある。いいときもあるし悪いときもあるんです。踊りもそう、なんでもそう。自分にはどうしようもない。ほんとに波があるから。
 そんなときに自分にできることは、同じことをずっと続けることだけ。悪いときに一生懸命、同じことを続けるというのが大切。
悪いときにだめだと思って止めちゃったら、そこで終わっちゃう。悪いときも続けてやっていると、必ずいいときがあって。いいときに、ちゃんと自分が用意できていないと、 これはもうね、できないから」
=============================================
波があるっていうのは、わしの中では「揺らぎ」という概念に近い。
自分の力じゃないものに動かされているっていうのは、周りの人や今の時代の気分とか・・・自分では絶対に制御できない、この世界そのものなんでしょうね。この世界そのものが、過去から未来へと向けて大きくうねってきている一つの大きな生命体のようなものだから。
それは、過去の映像や過去の書物を読んで、過去を追体験するとよくわかる。ものすごくダイナミックに動いている。


継続すること。続けること。
大事ですね。時には誰もがめげてしまいそうになりますね。

でも、何か大切なものがあれば、とにかく続けていくこと。それこそ、他の人は見て評価しているのかもしれない。 難しいことを考える精神的余裕がないときは、「続ける」という一念だけで続ければいいんでしょう。それは現在と未来を信じることなのかもしれんけど。


「生きる」というのも同じかもしれん。「生き続ける」ということが大事で、それだけ考えればいいんじゃないのかと思う。 生きていることを「続ける」こと、そこに一番価値があって、そこから色んな枝がニョキニョキ派生してくるだけ。続けてるだけで、十分!

そういう「続ける」っていう基本的な概念を根っことして、そこから茎が生えて、そして葉っぱが出てみたりして、栄養があればきれいな花が咲く。
栄養は、自分以外の人間とか芸術とか文学とか笑いとか音楽とか自然とか食事とか生活とか・・・・・・・そういう全ての要素ですかね。

もちろん、花はいづれ枯れるし、そうやって老いていくんだけど、枯れた花は土に帰って腐葉土みたいになって次の花につながる。それを虚しいと捉えるか、それで十分!と捉えるかは、まあ自分次第なんでしょうけど。


自分もそういう、続けている人や、続けているモノを、大切にしたいと思う。
そして、そういう人たちと共感して共鳴して呼応していきたいものだとも思います。
それで、十分!

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (miyuki)
2009-01-08 22:23:19
私もこのNHK番組を偶然見て、
久しぶりにとても感動したので、
嬉しい記事でした。☆☆
ちなみに
岩田守弘さんのブログはこちらみたいです。
http://ibashika.exblog.jp/
返信する
バレエダンサー (いなば)
2009-01-08 22:44:21
あのストイックに体の限界まで酷使して踊り続けている岩田さんはかなりかっこよかったよね。バレエの世界で、あの年齢であのポジションにいるってのは相当なことなんでしょうね。吾が肉体だけを使う美術表現に根本的な何かを感じました。
そこで出る言葉も、踊りを生業にしている人だから、言葉に変な不純物が入ってなくて力強かった。

ジャンルは違えども、ああいう人と同じような想いを持って仕事に励みたいもんです。
返信する