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日常

中村元先生

2012-10-13 14:42:37 | 
テレビをつけたら、仏教・インド哲学の大学者である中村元(はじめ)先生の回想がNHKで放送されていて、とても感銘を受けました。

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こころの時代~宗教・人生~「東洋の智慧(ちえ)をたずねて~中村元博士の世界~」

従来、漢訳教典だけに基づく研究が多かった、インド思想や仏教思想などの東洋の思想。それを中村元は、インドのサンスクリットやパーリ語、チベット語の経典にまで目を通した上で、一般の人にも分かるような平易な言葉で、しかも世界の学問水準を超えた研究成果として次々に発表し、世界の思想界に東洋思想が持つ独自の意味を知らせた。番組では、中村の碩学(せきがく)の豊かな世界を紹介する。
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Youtubeにあった動画
仏教の本質 哲学者「中村元」
(聴き手で河合隼雄先生が出られている!)



中村先生は学問のセクショナリズムを超え、難解な学問用語を多用する業界を超え、平易で分かりやすい言葉でブッダの教えを訳された。

「ブッダの真理のことば、感興のことば」(中村元:訳)(2012-09-17)



平易な言葉で訳された他の例

サンスクリットのニルヴァーナ(Nirvāṇa)およびパーリ語のニッバーナ(Nibbāna)を「涅槃」と訳さず「安らぎ」と訳した。

「ここでいうニルヴァーナは後代の教義学者たちの言うようなうるさいものではなくて、心の安らぎ、心の平和によって得られる楽しい境地というほどの意味であろう。」




中村元先生が20年かけ1人で執筆していた『佛教語大辞典』が完成間近になったとき、ある出版社が原稿を紛失してしまった。
中村先生は「怒ったら原稿が見付かるわけでもないでしょう」と怒りもせず、翌日から再び最初から書き直し、8年かけて完結させた。別の出版社(東京書籍)から全3巻で刊行(完成版は4万5000項目の大辞典)。



印象的だったエピソード。
博士論文に提出したものは、リアカーで運ばなければいけないほどの膨大なものだった。



中村元「自己の探求」より

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個体としての行動は、他から隔絶されている<個体>が行動するのではない。
<大宇宙>の無限の条件付けの一つの<結び目>が行動しているのである。

こういう視点にまで到達すると、自分が真理をさとるのだと考えることはできない。
全宇宙が自分をして真理をさとらせてくれるのである。
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中村元
『思想は種種の形で表明されるけれども人間性はひとつである。
今後世界は一つになるであろう。

世界の哲学宗教思想史に関するこのような研究が、
地球全体にわたる思想の見通しに役立ち、
世界の諸民族のあいだの相互理解を育て、
それによって、
人類はひとつであるという理念を確立しうるに違いない。』
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中村先生が生前につくられたご自身のお墓の墓記
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ブッダのことば
慈しみ

一切の生きとし生けるものは
幸福であれ 安穏であれ 安楽であれ
一切の生きとし生けるものは
幸であれ
何びとも他人を欺いてはならない
たといどこにあっても
他人を軽んじてはならない
互いに他人に苦痛を与えることを望んではならない
この慈しみの心づかいを
しっかりと たもて
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