人生は今生で終わりではないのは当然だが、そうは言っても今生には今生での自分が果たすべき課題や役割がある。
そのために、いまここに生まれてきている。
それは昨日でも明日でもなく、今のことだ。
過去世でも来世でもなく、今生のことだ。
ひとつの人生は生と死の間に挟まれているからこそ、その中に自分で折り返し地点を決める必要がある。
自分は35歳が折り返し地点と決めている。70歳以上生きたらもうけものだし、70歳より手前で死んだら少し計算ミスをしたというだけだ。もちろん、人生は常にライフサイクルとして完結しているので、便宜的なことでもある。
今からあとの35年は死という人生の完成へと向かう。
アートは暫定的にでも完成地点を決めないといけない。
死はマイナスの意味だけではなくプラスの意味もある。すべては両義的なものだ。
今までの自分のinputは、すべてこの世界から無償でプレゼントされたもの。
そのお返しを、自分なりのoutputという形でお返ししていきたい。そうしないとこの世界のバランスは崩れる。
それは次の世代への贈り物として、形を変えつつも循環していく。
そうして、いのちを紡いできたのが、いのちの歴史でもあり、それは全ての人の人体に深く強く刻まれている。
■村上春樹『プールサイド』
「35歳になった春、彼は自分が人生の折りかえし点を曲ってしまったことを確認した。
いや、これは正確な表現ではない。
正確に言うなら、35歳の春にして彼は人生の折りかえし点を曲がろうと決心した、ということになるだろう。
もちろん自分の人生が何年続くかなんて、誰でもわかるわけがない。
もし78歳まで生きるとすれば、彼の人生の折りかえし点は39ということになるし、39になるまでにはまだ4年の余裕がある。
それに日本人男性の平均寿命と彼自身の健康状態をかさねあわせて考えれば、78年の寿命はとくに楽天的な仮説というわけでもなかった。
・・・
だから35回めの誕生日が目前に近づいてきた時、それを自分の人生の折りかえし点とすることに彼はまったくためらいを感じなかった。
怯えることなんか何ひとつとしてありはしない。
70年の半分、それくらいでいいじゃないかと彼は思った。
もしかりに70年を越えて生きることができたとしらた、それはそれでありがたく生きればいい。
しかし公式には彼の人生は70年なのだ。
70年をフルスピードで泳ぐ-そう決めてしまうのだ。
そうすれば俺はこの人生をなんとかうまく乗り切っていけるに違いない。
そしてこれで半分が終わったのだ
と彼は思う。」
そのために、いまここに生まれてきている。
それは昨日でも明日でもなく、今のことだ。
過去世でも来世でもなく、今生のことだ。
ひとつの人生は生と死の間に挟まれているからこそ、その中に自分で折り返し地点を決める必要がある。
自分は35歳が折り返し地点と決めている。70歳以上生きたらもうけものだし、70歳より手前で死んだら少し計算ミスをしたというだけだ。もちろん、人生は常にライフサイクルとして完結しているので、便宜的なことでもある。
今からあとの35年は死という人生の完成へと向かう。
アートは暫定的にでも完成地点を決めないといけない。
死はマイナスの意味だけではなくプラスの意味もある。すべては両義的なものだ。
今までの自分のinputは、すべてこの世界から無償でプレゼントされたもの。
そのお返しを、自分なりのoutputという形でお返ししていきたい。そうしないとこの世界のバランスは崩れる。
それは次の世代への贈り物として、形を変えつつも循環していく。
そうして、いのちを紡いできたのが、いのちの歴史でもあり、それは全ての人の人体に深く強く刻まれている。
■村上春樹『プールサイド』
「35歳になった春、彼は自分が人生の折りかえし点を曲ってしまったことを確認した。
いや、これは正確な表現ではない。
正確に言うなら、35歳の春にして彼は人生の折りかえし点を曲がろうと決心した、ということになるだろう。
もちろん自分の人生が何年続くかなんて、誰でもわかるわけがない。
もし78歳まで生きるとすれば、彼の人生の折りかえし点は39ということになるし、39になるまでにはまだ4年の余裕がある。
それに日本人男性の平均寿命と彼自身の健康状態をかさねあわせて考えれば、78年の寿命はとくに楽天的な仮説というわけでもなかった。
・・・
だから35回めの誕生日が目前に近づいてきた時、それを自分の人生の折りかえし点とすることに彼はまったくためらいを感じなかった。
怯えることなんか何ひとつとしてありはしない。
70年の半分、それくらいでいいじゃないかと彼は思った。
もしかりに70年を越えて生きることができたとしらた、それはそれでありがたく生きればいい。
しかし公式には彼の人生は70年なのだ。
70年をフルスピードで泳ぐ-そう決めてしまうのだ。
そうすれば俺はこの人生をなんとかうまく乗り切っていけるに違いない。
そしてこれで半分が終わったのだ
と彼は思う。」