日常

日本民藝館

2011-03-08 19:42:53 | 芸術
静岡市美術館での「棟方志功 祈りと旅」展には心を動かされた。

棟方志功さんの版画のすごさを感じてから、つながりがありそうな日本民藝館に行ってみた。
日本民藝館は駒場にあって、すぐ近くに住んでいたはずなのに一度も行った事がなかった。

日本民藝館の創設者は柳宗悦。
柳宗悦は、日本各地の焼き物、染織、漆器、木竹工・・・、地方に散在していて無名のひとがつくった優れた日用雑貨や木製の仏像とか。そういう評価されていなかったものに光を当てた人。


民芸は、ほんとうにふつうのひとのなかから、センスのいい作品を直観だけで選びまくって陳列している。
たしかに、高尚な感じはしなくて、だからこそユーモラスで親しみがある作品が多い。
家の中に飾っていつまでも見ておきたくなるような、そんな親しみ深い作品が多かった。

仏も、すがたかたち自体がやわらかく、母性的。
それでいてすべてがユーモラスな雰囲気に満ちていた。


民藝館では『特別展 日本の古人形 -三春・鴻巣・堤など-』というものを丁度やっていた。

三春人形(福島県)、土人形の堤人形(宮城県)、相良人形(山形県)、布や紙や木の鴻巣人形(埼玉県)。
ご存知でしたか?僕は知りませんでした。

その土地その土地で土着的につながっている民藝作品。
すべては素朴で、あたたかく、日本の美のすごさをあらためて感じた。
見てよかった。なんだかあたたかい気持ちになった。

日本は、「美と祭りと祈りの国だ」と、どこかで聞いたことがある。
それは、どんなに科学技術が発達した日本でも、間違いなく地方の中に残っているのだと思う。


「大津絵」というものにもかなり興味を持った。
大津絵は、東海道を旅する旅人たちの土産物。
当時はお守りのような役割も果たした民俗絵画のこと。 

そこには、カミサマもホトケサマも、オニもヒトもドウブツもなんでもかんでも登場する。
そこではすべてが優劣なくユーモラスに親しみやすく表現されている。
とてもよかった。

たとえば、『女虚無僧』、『鬼の三味線』とか。


これを描いたひとは、有名になりたいとか、名を残したいとか、
そんな俗なことを考えず、一心に無邪気に描いたのだろう。
落書きのような絵の中に、生き生きと魂が息づくような感動的な絵がたくさんあった。

そういう名もなき優れた芸術たちに、時代を超えて光を当てた民藝運動というものにとても共感する。
自分も、そういう仕事がしたいな。
名が残ることよりも、センスがキラリと光るような、地道で確実な仕事を。


日本民藝館は、建物自体もとても素晴らしくて、自分もこういう古民家に住みたい!って思いました。
(もちろん手入れは大変だろうし季節の変化に大変なのはもちろんだけど。それを超えても、有り余る魅力がある。)

民藝にすごく興味を持ったから、友の会の会員に入っちゃおうかな!と少し思ったけど、冊子のようなものを熟読すると、自分にはそれほど入るメリットがなさそうで、今回は入るのを見送りました。(そこは現実的で冷静な自分。)

P.S.
ちなみに、表紙の写真は青森県の下川原人形。民藝の「鳩笛」です。
もちろん、笛なのです。ひとりで家で鳴らしてみました。ホロッホー。
近所迷惑ですね。ホロッホー。
民芸館で一目ぼれして購入。ホロッホー。
ひとつひとつ全て表情が違うって言うのもいいではないですか。
ね?そう思いません?ホロッホー!