観測にまつわる問題

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佐賀空港とバードストライク(安全保障と環境の調和)

2018-02-01 23:58:53 | 政策関連メモ
陸自導入オスプレイの佐賀空港配備、来年秋の駐屯地整備「極めて困難」と防衛相(産経ニュース 2017.11.24 12:38)

>小野寺五典防衛相は24日の記者会見で、陸上自衛隊が導入する輸送機オスプレイの佐賀空港(佐賀市)配備計画を巡り、駐屯地予定地を保有する漁業者らの反対で調整が難航していることから、来年秋ごろの米国からの輸送までに駐屯地整備が間に合わないとの認識を示した。

>佐賀空港への配備計画自体に変更はないとした。

ちょっと前のニュースですが、南西諸島防衛でオスプレイを考えていた時に佐賀空港のことを思い出しました。調べてみると佐賀空港ってバードストライクの確率が高い空港みたいですね。干潟で有名な有明海に面している空港(NAVITIME 地図)ですから然もありなん。



有明海を埋め立ててしまえば・・・などとちょっと考えてしまったのですが、「国内での記録が有明海だけに限られる種を有明海特産種と呼び、有明海以外ではごく限られた海域にしか生息しない種を有明海準特産種と呼びます。有明海特産種が23種、準特産種は40種以上が確認させています。我々になじみの深いムツゴロウ、ワラスボ、エツ、ハゼクチなどは特産種に、シオマネキ、アゲマキ、ウミタケなどは準特産種に入ります。これほど大量の特産種、準特産種がいる海は他にありません。海水と淡水が混じり合う汽水域にすむ生き物も含まれますが、多くは泥干潟に住んでいるか、泥干潟の豊富な生き物を餌にしている生き物たちです。」(有明海のいきもの 特定非営利活動法人有明海再生機構)ということですから、干潟は守るという前提すなわち鳥が山ほど近くを飛んでいる空港という前提は変えられないようです。有明の干潟の特殊な生き物を守るなら、生態系を守ることがセットで、空は繋がっていますからそこまで希少ではないにしろ、有明の鳥を守ることもセットになってしまいます。また、佐賀ほどでないにしろバードストライクの確率が高い宮古・奄美・石垣といった南西諸島の空港の名前が挙げられていることは気になります。3空港ともバードストライクの確率が高まっています。注意が必要でしょう。南西諸島の貴重な鳥を守る必要もあると思います(南西諸島の野鳥紹介 群島鳥類研究会)。

バードストライクの発生の危険性が高いのは航空機が低空を飛ぶことになる離発着時のようです。鳥は低空を飛んでいるからです。離発着しないと航空機は飛べない訳ですから、航空機を飛ばせば飛ばすほどバードストライクの発生数は増えることになることは避けられません。バードストライクの件数が断トツで多いのは羽田です。でも数が多いからこそ対策はとられてきた訳です(各空港における鳥衝突防止対策 国土交通省)。ただ、防止策pdfの49ページ目を見ると佐賀空港・宮古空港・奄美空港・石垣空港でバードパトロールが行われていないことが気になります。バードパトロールは実施されるとバードストライクの発生確率を下げることは確実なようです。



ちなみに世界にはRobirdなるドローンで飛行場周辺に集まる鳥を追い払うバードコントロールを行う会社もあって、このドローンに必要な羽ばたきシステムを開発して特許を持っているR.J. Musters氏は鷹匠で鳥類学者だそうです(RoBird 2010/09/24)。バードストライク対策は大きなビジネスチャンスですから、発明にチャレンジし会社をつくったんでしょうが、世の中には凄い人もいるもんですね。Robirdはほとんど本物の鳥と見分けがつかないようです。

有明海を守る意義としては、有明海の魅力と課題(有明海再生機構)参照。何でもコンビニおにぎりが有明海苔を救ったのだとか。

また、有明海を守るには佐賀だけでなく、福岡・熊本・長崎・大分の協力も必要ですね(有明海・八代海 流入一級河川水質等データ 国土交通省 九州地方整備局)。河川からの土砂供給が少なくなれば、干潟はやせていきます(山川海のつながり(土砂編) 国土交通省 中国地方整備局 港湾空港部)。諫早湾干拓事業に関しては、もう今更な気はしますね。 先にリンクした有明海の魅力と課題に言及がありますが、諫早湾干拓事業の環境に対する影響はあるものの、それほど決定的とは思えないところもあります。開門しないと有明海が維持不可能で開門して逆効果にならないなら開門を考えるべきかもしれませんが、時間が経ってみるとそこまででもないんじゃないですか?寧ろ有明海の維持には筑後川を筆頭とした流域面積の84%を占める8 本の一級河川が重要で、これらは佐賀・福岡・大分・熊本の川ですから、地形的に長崎の川はまだ影響が少ない方ではないかと思います(有明海と筑後川 (有明海再生機構)。

ただ、自然環境を守るためにあまり工事してはいけないとなると、気になるのは治水です。過去から学ぶ高潮災害への備え(東京海上日動リスクコンサルティング株式会社)によると、「ハリケーン・サンディは経済の中枢であるニューヨークを直撃し、インフラや金融機関等の都市機能を麻痺させたが、関係機関が実施すべき対策をあらかじめ時系列でプログラム化した計画(「タイムライン」)に基づいた行動が功を奏し、被害を抑えることが出来たと考えられている」「高潮は上陸までにある程度予測が可能な現象であり、タイムラインの導入が減災のためには非常に有効である」そうです。また、タイムライン(国土交通省)によると、「平成27年9月関東・東北豪雨災害で氾濫危険情報が発表された市町村のうち、「避難勧告の発令等に着目したタイムライン」を策定した市町村における避難勧告または避難指示を発令した市町村の割合は72%、未策定市町村は33%となっており、タイムライン策定済みの自治体の方が、発令率が高い傾向となりました」とのことです。

佐賀は対策を進めているようですが(佐賀平野大規模浸水危機管理対策検討会 国土交通省 九州地方整備局 武雄河川事務所)、福岡や熊本・長崎・大分も協力して水害対策はやった方がいいと思いますね。防災対策が環境に直結する面もありますから、利害が異なる自治体がバラバラに個別の利害で対策を進めることに問題はあると思います。

環境が錦の御旗とも思いませんが、漁業者の反対で実際に安全保障計画が進まないということのようですから、安全保障政策と環境問題は必ずしも無関係ではないようです。


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