観測にまつわる問題

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雇用の流動性で経済成長させるための基礎

2022-04-05 07:18:17 | 厚生労働
雇用の流動性で経済成長させるための基礎として、労働者がイニシアティブをとることの重要性が挙げられると思います。労働者に付加価値をつけるのは労働者自身でしかないからです。また、雇用の流動性の悪い例として理研の600人の雇い止めが挙げられるのではないでしょうか。

「理研600人リストラ」に中国人ITエンジニアは「不思議です」と繰り返した(NEWSポストセブン yahooニュース 4/3(日) 16:15)

これは雇用の流動性の実例ですが、賃金の上昇に繋がりそうにありません。どうもこれは民主党政権の「有期雇用5年経過で本人が希望すれば無期雇用に転換しなければならない」という改正労働契約法(2013年施行)に問題があるようです(なぜ理研は600人もの研究職を雇い止めするのか yahooニュース 3/29(火) 城繁幸)。賃金の上昇を岸田政権が掲げるなら、塊より始めよなのかもしれず、優秀な技術者や研究者に十分な報酬をもって答えるべきなのでしょう。たちまちは雇い止めを防ぐために2013年の改正労働契約法を撤廃し、理研の600人の職を確保することが考えられます。雇い止めにあって、600人が好待遇で転職できれば良いのですが、実態は研究者や技術者を安くこきつかうシステムの一部になりそうです(技術者・研究者としての仕事もどれだけあるのか良く分かりません)。有期雇用でも優秀な人は、理研にしがみつくのではなく、イニシアティブをもって転職すれば(あるいはヘッドハンティングで転職すれば)、賃金の上昇に繋がるのではないでしょうか(そうさせないために理研が無期雇用に切り替えたり給与を上げたりすることが考えられます)?まぁ無期雇用は雇用の流動性に繋がらず、セリで賃金上昇に繋げるという話の本筋に関係ないことも言うまでもありませんが。「敵性国」への頭脳流出問題に関して言えば、安全保障の枠組みで対応すると共に、雇用の流動性で賃金を上げておくことも重要になってくると思います。

リカレント教育の普及の遅れも日本の課題として指摘されていますが、これも(優秀な層が)無期雇用でクビになる危険性が薄いことが、大いに影響しているような気がします。(停滞している)GDPを上げるには(労働者を増やすと共に)労働生産性を上げるしかなく、労働生産性を上げるには、(新しい技術を身に着けようという)労働者一人一人の意欲が重要になってくると思われます。

科学研究者雇用における年齢差別の撤廃を(内藤豊 つくば生物ジャーナル 2002 1 122‐123)
優秀な研究者が年齢を理由に引退させられるのは問題ではないでしょうか。日本でも研究者の職は平均賃金より高いようで、(大学を渡り歩くような)雇用の流動性もそれなりにあるような気がしますが、優秀な研究者が残れば、労働生産性はそれなりに上がるものと思われます。問題は研究意欲の無くなった研究者に引導を渡せるかですが、それは公平な審査で対応するしかありません。年齢を理由に引導を渡しているようでは、優秀な研究者にまで引導を渡すことになり、本末転倒だと言え、始めから可能性を追求してない敗北主義のようにも映ります。

裁量労働拡大をいつまで先送りするのか(日経 2018年3月2日)
>時間をかけて働くほど賃金が増える現在の制度には、働き手自身の生産性向上への意識が高まりにくいという問題がある。戦後、長く続いてきた仕組みだが、国際的にみて低い日本のホワイトカラーの生産性を上げるには制度の見直しが不可欠だ。
残業ゼロ法案とも言われますが、適用範囲は重要なようです(【3分で理解】ホワイトカラーエグゼンプションとは? 残業代ゼロや長時間労働に…? カオナビ人事用語集 2017/07/01)。ホワイトカラーの給与の上昇は雇用の流動性で確保されると思われます(格差の拡大は言われても、その逆は言われませんから、高所得層の給与の上昇が抑えられることはあまり心配しなくていいのでは?)。逆に言えば、雇用の流動性が無ければ、残業ゼロで働かせる悪徳経営者に対する抑止力が無いとも言えますが、それを恐れて改革しなければ、何にもならないだろうとも言えます。ホワイトカラーの低生産性の理由は裁量労働制の未導入だと言われ、日本は生産性を上げていかなければ、今後生き残ることは出来ないかもしれません。

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4 コメント

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岸田首相のシティー講演 (管理人)
2022-05-06 20:55:24
岸田首相のシティー講演要旨 「強く持続的な資本主義へ」(https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA043HO0U2A500C2000000/?n_cid=SNSTW005&unlock=1 日経 2022年5月5日)>単位時間あたりの労働生産性の伸びは諸外国と比べて悪くない。賃金の伸びが低いことが日本の大きな課題だ。>日本企業の研究開発投資は先進諸国と比較して圧倒的に少ない。設備投資も同様だ。・・・企業がお金を貯め過ぎなんでしょうね。まぁ少子高齢化対策もあると思いますが。>ストック面での人への投資は職業訓練、学び直し、生涯教育などへの投資が重要だ。この分野への日本企業の投資は諸外国と比べて格段に少ない。>教育訓練投資を強化し人的資本の蓄積を推進することで労働移動、雇用流動化を積極的に支援していく。兼業・副業の推進とともにリスキリング(学び直し)に力を入れる・・・良い方向性のような気がします。・・・デジタルは兎も角、グリーンは日本の消費者がグリーンを志向していないという問題があるようです。その中でも詰め替えボトルなんかは日本発祥らしく、企業の工夫が求められると思います。日本市場の性向として安くすればいけるのかもしれませんが、デフレ傾向は依然課題ですね。
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名ばかりフリーランスと偽装請負(偽装業務委託) (管理人)
2022-05-18 20:28:55
所謂「名ばかりフリーランス」問題って結局 「偽装請負」が起こらないよう摘発・啓発していくってことに尽きているんじゃないですかね。偽装請負が多発していたら、上がる給料も上がらないでしょう。デフレ脱却のためには、一つに企業の不正なコストカットをどうにかするべきでしょうね。偽装請負問題はかつて社会問題になったと思いますが、今は請負を業務委託と呼び変えて継続しているようではあります。「労働者」(フリーランスは労働者じゃないんですが)が啓発されたら困る人がいるんでしょうか。偽装請負をしなければ存続できない会社・業界があるとすれば、淘汰されるべきではあるんでしょう。それは労働力不足の解決の一助になるとも考えられます(IT移民やブルーカラー移民も必要かもしれませんがね)。
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無期転換ルールの撤廃検討を (管理人)
2022-05-18 21:09:00
無期転換ルールは基本的に廃止するべきかもしれませんね。有期雇用でも無理な雇い止めからは労働者は保護されるようになっています。年功序列型が行き詰っているのは明白では?理研は600人もの研究者を雇い止めにするのではなく、有期雇用で継続すべきなのでは?新しく理研が600人雇うことがなくなるかもしれませんが、10年近く理研で働いてきた人の技術と経験を重視すべきであって、大量雇用・大量雇い止めのような無駄は持続可能でないと感じます。賃上げの流れに反するように見えるかもしれませんが、年功序列終身雇用型の持続はいずれにせよ無理なはずです。何でもかんでも労働者保護すればいいというものではなく、既存の保護政策の活用で済ませられるケースもあるということでしょう。
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高プロその後 (管理人)
2022-10-11 22:41:43
 日本型雇用慣行の壁は高いんでしょうが、日本全体の発想で言えば、逆ピラミッド型の人口構成と年功序列の相性は悪いと思います。高プロは対象者には好評のようですが、アウトプットは実際のところ増えているんでしょうか。気になるところです。
 高プロの導入時の騒ぎを考えると、導入後に話題になってない感じがありますね。政策は導入するかしないかではなく、その後の検証が重要だと思うのですが、日本人は流行に乗るのは得意なのか分かりませんが、飽きっぽいのでしょうか。
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