観測にまつわる問題

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少子化問題(「上方婚」と「下方婚」)

2017-07-02 12:24:46 | 政策関連メモ
少子化を考えるにあたって面白いのが「上方婚」と「下方婚」の議論です(日本では女性が収入が多い男性と結婚する上方婚で、男性が収入が低い女性と結婚する下方婚だと言うのですが・・・)。

「上方婚」と「下方婚」(nikkei BP net 2006年3月14日)

リンク先の表を見てほしいのですが、男性は収入がある方が結婚し、女性は収入がない方が結婚しています。こういう分かり易い構図を検討することで見えてくるものがあります(グーグル検索「上方婚」上位で見つけたページなので、少子化問題に関心のある方々は結構知っている話なのではないかと思います)。記事も10年前の記事で、元ネタも20年前の1995年の人口問題基本調査(厚生省人口問題研究所)とかなり古いデータ(続く調査は今のところないようです)なのですが、国民の意識はそう変わらないものとして考えます。これも古いですが三高という言葉もあり、日本の女性が男性に収入を求める意識は否定できないでしょう。男性の方も女性の社会進出が少子化の原因なのでは?などと元に戻したがる意識がチラホラみられます。

これは少子化問題の常識でもありますが、ドイツ・日本・イタリア・韓国など「伝統的価値観」が大切にされているところほど出生率が低いという現象があります(例えば、少子化対策は、国家の「最優先課題」NHKスペシャル)。リンク先にもあるように良妻賢母思想の専業主婦が大切にされている国ほど出生率が低いんですね。これは一見伝統を重視しているようですが、元々は女性も働いていたこと(農村で農業しているのは誰でしょう?)、家電の普及が女性を家事労働という仕事から解放したことを考えると、わりと新しい現象だとも言えます。それはともかく、筆者は特に少子化対策のためにはこういうマインドがいいなどと旗をふる気は全くありません。専業主婦の方が子供に時間をかけられるというのも事実です。子供の教育を重視するから、専業主婦というのも有り得るでしょう。他にもいろいろな考え方があります(家に帰ってきたら女性にいてほしい男性もいるかもしれません)。ただ、事実を知らないと物事が分かり難くなりますからね。分からないものの対策はたてようがありません。

ともあれ、日本に男性は稼いで女性が家を守るという価値観が根強くあって、これが少子化の原因になっていることは疑いようがないと思います。何故なら、女性が男性に収入を求めるなら(結婚して生活レベルを落とさないことを意識するなら)、限られた高収入の男性の取り合いになって、未婚化が進むしかないからです(収入に差がつく以上、高収入を求める三高志向が何を生むか算数ができれば誰にでも分かります)(社会主義じゃあるまいし、今更みんな公務員にして給料を揃える訳にもいきません。競争から開放されたユートピアを筆者は求めていません。てか、可能じゃないでしょ?既に失敗した社会実験にしがみつく発想は筆者にはありませんので、悪しからず)(三高なんて古い?今の女性が男性に収入を求めていないというなら謝りますがw)。

女性の社会進出を止めて逆回しにしていくという発想も筆者にはありません。どう考えても家電で「家事から解放された」女性を家に縛り付けておくという発想は疑問でしょう。

子育てのコストを下げて少子化対策!というのがひとつの方策ではあります。ですが、それはそれでいいとして、ここでは議論しません。バラ撒きに財源論がついて回るからですが、ひとつの現実的な証拠としてアメリカが少子化にお金をかけずに比較高い出生率を保っているからです。(高等教育の無償化ですが、アメリカ型のローンで高等教育を日本で導入すると、更に子供が生まれなくなる予感はします。誰も個人のローンでやれとは言っていませんが。アメリカの出生率は減少傾向もあるといい、特に白人(ヒスパニック除く)は低めではありますが、金をかけてもいないのに、それでも諸外国に比べ高い数値を保っており、かなり謎なところがあります。ありますが、誰も考えていないようなので(?)、専門家でない筆者も特には考えません。)

できるところから行きましょう。高い山も登らなければ頂上に辿りつくことはありません。

最初の話題に戻りますが、何故高収入女性が結婚しないのかということです。高収入女性はそもそも少ないのですが、そのキャリア優先志向は明らかです。キャリアを優先するから収入が得られ、逆に子供をつくらないということになるでしょう。現実的に考えれば出産・育児に時間がとられれば、それから解放されている男性と対等な競争ができるはずがありませんよね。少子化が問題と認識するならば(どう考えても縮小する市場で経済が上手く回るとは考えられませんし、実際に拡大する市場に金や人が集まる傾向も明らかです)(そもそも少子化を受け入れるべきでは?な~んて敗北主義の議論に筆者は与しません)、女性が出産しても男性と対等に戦える環境が必要だという結論にならざるを得ません。あくまで出産してもです。ただ単に男女の結果の平等を言うだけでは、物事の本質が逆にみえなくなるでしょう。何故なら、単純に結果の平等を重視して女性の社会進出を推し進めるという方向性では、出産しない女性の方が出産する女性より有利になるからです。

国民の意識・会社の意識の問題に深入りはしません。知識も不足していますし、国や政治がガンガン旗をふることでもありませんから。確実にやれることは、保育所をつくることですね。特に保育所が不足しており、高収入の女性が多い東京で。子供を預けて女性が働きに出れば、別種の問題が出る可能性は否定しませんが(その辺はちゃんと専門家が議論することを望みます)、女性のキャリア形成と出産の両立の大きな助けになることは明らかです。

中小ほど女性に休まれるとキツいでしょう(極論すると、ひとりで仕事をするなら、産休中は仕事を畳むしかありません)。ですから、大企業が多い大都市圏ほど保育所が必要ですしまた不足しています。出生率も低い傾向も明らかです。上流が変われば、川下に流れる可能性もありますしね。

先の都知事選も筆者が支持した候補であるところの増田氏は保育所を増やすことについて一家言あったようで政策論争も求めていたのですが、政策議論にならなかったのが残念ですよね。増田氏は勝てそうだったから議論を望んだのだと思いますが、負けそうな方が逃げてしまうと、議論になりません。議論にならないと、都民も何処に問題があるのか分からないでしょう?逆に小池氏はお得意の国際金融都市論みたいな議論を挑めば良かったし、豊洲も最初から議論していれば、迷走もなかったかもしれませんよね?まぁどうにも政治家が政策論争を避ける態度が問題だと思います。安倍首相なんか政策議論にならない!ってしつこく言ってるでしょう。あれが正解と思うんですがね。そもそも資格ガーとか言ってるのが問題でしょう。一歩でも政策論争を先に進めろよって感じです。あ、時には資格論も必要ですからね?二重国籍の首相がもうひとつの母国に利益誘導しないかの議論を避けて通ることはできません。

最後に収入が無い女性が結婚しているというのは、収入が無いから結婚願望が強いのでは無く、専業主婦だから収入がないことを示しているに過ぎないと思います。「上方婚」と「下方婚」のイメージで図を見ると逆に誤解する可能性もあります。また、日本の結婚は職縁型(職場で知り合って結婚するということです)で、その衰退が未婚率を高めているという議論があります(出生率の高いアメリカ・フランス・スウェーデンは学校や幼馴染・サークル活動といった生活圏型なのだそうです:人口減少時代の日本社会(原書房)66p)。衰退したとは言え職縁型は同類婚ですから、「上方婚」「下方婚」の議論も詰めないと疑問の余地はなくもありません。エリート男性はコンパとかで低学歴女性と知り合っているとでもいうのでしょうか?まぁ多分ですが特にはそんなことも無さそうです(【男性編】合コンでテンションが上がる大学ランキング マイナビニュース)。リンク先を見ると、例外はあっても偏差値の高い女子が好まれているようです。まぁ普通に考えれば、同類婚が幸せなはずです(テキトー)。

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