普天間基地の辺野古移設を考える上で、鍵になってきそうなのがジュゴンの存在です。翁長知事は環境アセスで抵抗する構えのようですが、辺野古の自然が貴重であることは否定できず、安倍政権は苦戦を強いられる可能性もあります。そこで沖縄のジュゴンをどう考えるか考察してみました。
ジュゴン(ウィキペディア)
ウィキペディアを眺めると、ジュゴンの棲息地として圧倒的なのはオーストラリアです。モートン湾は「300頭もの群れで大集結する世界で、まれな海」(オーストラリア モートン湾 幻のジュゴン 大集結を見た(ワイルドライフ))、シャーク湾は「世界最大の生息地。その数は1万頭」(地球最古の生物とジュゴン生息地!西オーストラリアのシャーク湾 skyticket 観光ガイド)、ジュゴン漁で有名な木曜島もあります。いずれもジュゴンの主な棲息地である広大な熱帯や亜熱帯の浅海が広がる地形です。つまり沖縄に巨大なジュゴンコロニーができる可能性はないと考えられます。
モートン湾(スタンプメイツ)
シャーク湾(パースで手作りざんまい)
木曜島(木曜島の歴史)
仮に復活しても観光資源としてはジュゴンはやや厳しい感じです。モートン湾やシャーク湾でもジュゴンはそれほど観光資源になっていないようです。これはジュゴンが「極めて警戒心が強いため、「幻」と言われるほど目撃が難しい生きもの」(先のワイルドライフのリンク先より)であることが関係しているようです。世界遺産シャーク湾の売りはシェルビーチであり、ストロマトライトであり、ジュゴンが大規模に棲息していることであり、モンキーマイアで大規模に棲息しているイルカと触れ合えること、アボリジニの文化であるようです(モンキーマイア(カンタス航空))。数が極めて多いオーストラリアでもジュゴンとの触れ合いは売りになりません。実際に沖縄での目撃例は限られています。イメージ戦略にジュゴンは有効とは思いますが、過剰な期待をするべきではないと考えられ、結局は現在の棲息地をあまり壊さないようにして、仮に数が増えて他に手を挙げるところがあれば環境整備していくという方向性がいいのではないかと思います。あまり数が減りすぎると増やすことは困難になりますし、仮に例えばオーストラリアからジュゴンを連れてくると仮定してたとしても、棲息地の小ささなどを考慮すれば、あまり明るい展望があるやり方のようには思えません。
近年でたびたび目撃されている沖縄の残るジュゴンの棲息地は沖縄本島の辺野古が面する大浦湾や古宇利島周辺のようです。この内古宇利島では検索しましたが、いるにはいるようですが目撃例はやはり少なく、少なくとも観光で売りにはなっていません。2005年に開通した古宇利大橋がジュゴンにプラスと思えませんが、特に反対運動も無かったようです。今、辺野古でジュゴンの保護を騒いでいる人達も、辺野古移設問題の片がつけばスーッといなくなるんじゃないかと思いますね。ちなみに古宇利島で盛んなのはウニ漁のようです(今帰仁漁業協同組合)。ウニはジュゴンの餌のアマモを食べます。
漁業だけでは先細り… 辺野古新基地の請け負い目指す 会社を設立した漁師の胸中(沖縄タイムズ 2017年8月24日 06:00)
>子どものころから大浦湾で潜って魚を捕ってきた。海面から透けて見えるたくさんの魚やサンゴに「気持ちが晴れた」と振り返る。25歳で漁師となり、沖合でマグロ中心の漁をしてきた。しかし最近は漁獲量が減り、赤土の流出などで目に見えて大浦湾が汚れてきたと感じている。4月には基地建設のため大浦湾を埋め立てる工事も始まった。
辺野古基地反対もいいですが、本気でジュゴンを守る気があるのなら、赤土の流出対策とか他にもたくさんやることはあるのではないですか?所詮はジュゴンは基地移設反対の口実であるように見えます。どうも農業が不味いようで対策が必須のようです(なぜ、赤土等の流出が起こるのか NPO法人おきなわグリーンネットワーク)。
辺野古の住民は基地移設に概ね賛成です。大浦湾に臨む住民が環境保護に熱心だという話もないようですし、基地が出来たからと言って大浦湾の環境が決定的に損なわれる訳でもないでしょう。
基地はそれはそれとして、沖縄のジュゴンはそっとしておくのが良いのではないですか?本気で守る気があるのなら、基地だけに拘らずあらゆる方面で全力で保護に動く必要があると思いますが、そんな様子もないようですしね。
最後に沖縄の環境に暗い話題が続いたので、世界遺産の話をしておきますが、沖縄や奄美の自然で本当に希少なのは海の生物ではなく、陸の生物だと思います。海は繋がっていますしね。進化論はガラパゴスで生まれましたが、海で分断されることによって固有の生物が島に棲息することになります。また、島の固有の生物は生息数が少なく滅び易い条件にあると思います。世界遺産の主目的は保護であって、必ずしも活用ではないようです(そちらはジオパークがあります)。世界遺産に選ばれるにしろ選ばれないにしろ、ヤンバルクイナ(環境省)が棲むやんばるの森(やんばる野生生物保護センターホームページ)、イリオモテヤマネコ(環境省)が棲む西表島の原生林(西表野生生物保護センターホームページ)、アマミノクロウサギ(環境省)が棲む奄美大島(奄美野生生物保護センター)や徳之島の環境を守っていこうということですね。
※3月6日追記:分かり易いシンボルがいる環境を守ることが他にはない価値になり、地域のブランド力を高めると思います。
地域ブランド学序説(地域ブランド研究会 中嶋聞多)
>表2 ブランド・モデルの8要素
①ブランドの強み ブランドの核となる“地域性”の強みは何か? 他地域と比較して 明確な独自性・革新性はあるか?
②ブランドの領域 何にブランドネームを付けるのか? ①地理的な範囲と、②“地域性”(何で括るのか、何のまちか)の両面で明確化する必要がある。
③送り手 当事者意識が高く、“競争の場”で実行力のある送り手主体となってるか? そもそも送り手は明確か?
④送り手の夢 理念はあるか? 受け手からも共感される夢か? 送り手の都合になっていないか? 共有できているか?
⑤受け手 受け手は誰か? 戦略夕一ゲットは誰か? 主要なターゲットは誰か?
⑥シンボル ブランドを一瞬で想起するシンボルはあるか? ブランドが提供できる価値を連想できるか?
⑦ステークホルダー ブランドの独自性を高める協力者はいるか? ブランドの一貫性を乱すことなく夢を共有できているか?
⑧約束 結果としてブランドは受け手に対し何を約束しているか? 送り手の夢やブランドの強みを“受け手価値(受け手の言葉)”に置き直すと何を提供できることになるか?
出典:二村宏志2004「地域ブランドはマネジメントして創る」商工ジャーナル30(8 353)
明確な独自性があり、領域もハッキリしており、夢も理念も受け手(自分で開拓しないといけない要素もあると思いますが)もシンボルも約束(他にない自然、癒される環境など)もあるでしょう。後は送り手がやる気を出してステークスホルダーを巻き込んでいけば、地域ブランドは確立していくと思います。地域ブランドが確立すれば、環境以外の要素にも波及すると考えられます。
ジュゴン(ウィキペディア)
ウィキペディアを眺めると、ジュゴンの棲息地として圧倒的なのはオーストラリアです。モートン湾は「300頭もの群れで大集結する世界で、まれな海」(オーストラリア モートン湾 幻のジュゴン 大集結を見た(ワイルドライフ))、シャーク湾は「世界最大の生息地。その数は1万頭」(地球最古の生物とジュゴン生息地!西オーストラリアのシャーク湾 skyticket 観光ガイド)、ジュゴン漁で有名な木曜島もあります。いずれもジュゴンの主な棲息地である広大な熱帯や亜熱帯の浅海が広がる地形です。つまり沖縄に巨大なジュゴンコロニーができる可能性はないと考えられます。
モートン湾(スタンプメイツ)
シャーク湾(パースで手作りざんまい)
木曜島(木曜島の歴史)
仮に復活しても観光資源としてはジュゴンはやや厳しい感じです。モートン湾やシャーク湾でもジュゴンはそれほど観光資源になっていないようです。これはジュゴンが「極めて警戒心が強いため、「幻」と言われるほど目撃が難しい生きもの」(先のワイルドライフのリンク先より)であることが関係しているようです。世界遺産シャーク湾の売りはシェルビーチであり、ストロマトライトであり、ジュゴンが大規模に棲息していることであり、モンキーマイアで大規模に棲息しているイルカと触れ合えること、アボリジニの文化であるようです(モンキーマイア(カンタス航空))。数が極めて多いオーストラリアでもジュゴンとの触れ合いは売りになりません。実際に沖縄での目撃例は限られています。イメージ戦略にジュゴンは有効とは思いますが、過剰な期待をするべきではないと考えられ、結局は現在の棲息地をあまり壊さないようにして、仮に数が増えて他に手を挙げるところがあれば環境整備していくという方向性がいいのではないかと思います。あまり数が減りすぎると増やすことは困難になりますし、仮に例えばオーストラリアからジュゴンを連れてくると仮定してたとしても、棲息地の小ささなどを考慮すれば、あまり明るい展望があるやり方のようには思えません。
近年でたびたび目撃されている沖縄の残るジュゴンの棲息地は沖縄本島の辺野古が面する大浦湾や古宇利島周辺のようです。この内古宇利島では検索しましたが、いるにはいるようですが目撃例はやはり少なく、少なくとも観光で売りにはなっていません。2005年に開通した古宇利大橋がジュゴンにプラスと思えませんが、特に反対運動も無かったようです。今、辺野古でジュゴンの保護を騒いでいる人達も、辺野古移設問題の片がつけばスーッといなくなるんじゃないかと思いますね。ちなみに古宇利島で盛んなのはウニ漁のようです(今帰仁漁業協同組合)。ウニはジュゴンの餌のアマモを食べます。
漁業だけでは先細り… 辺野古新基地の請け負い目指す 会社を設立した漁師の胸中(沖縄タイムズ 2017年8月24日 06:00)
>子どものころから大浦湾で潜って魚を捕ってきた。海面から透けて見えるたくさんの魚やサンゴに「気持ちが晴れた」と振り返る。25歳で漁師となり、沖合でマグロ中心の漁をしてきた。しかし最近は漁獲量が減り、赤土の流出などで目に見えて大浦湾が汚れてきたと感じている。4月には基地建設のため大浦湾を埋め立てる工事も始まった。
辺野古基地反対もいいですが、本気でジュゴンを守る気があるのなら、赤土の流出対策とか他にもたくさんやることはあるのではないですか?所詮はジュゴンは基地移設反対の口実であるように見えます。どうも農業が不味いようで対策が必須のようです(なぜ、赤土等の流出が起こるのか NPO法人おきなわグリーンネットワーク)。
辺野古の住民は基地移設に概ね賛成です。大浦湾に臨む住民が環境保護に熱心だという話もないようですし、基地が出来たからと言って大浦湾の環境が決定的に損なわれる訳でもないでしょう。
基地はそれはそれとして、沖縄のジュゴンはそっとしておくのが良いのではないですか?本気で守る気があるのなら、基地だけに拘らずあらゆる方面で全力で保護に動く必要があると思いますが、そんな様子もないようですしね。
最後に沖縄の環境に暗い話題が続いたので、世界遺産の話をしておきますが、沖縄や奄美の自然で本当に希少なのは海の生物ではなく、陸の生物だと思います。海は繋がっていますしね。進化論はガラパゴスで生まれましたが、海で分断されることによって固有の生物が島に棲息することになります。また、島の固有の生物は生息数が少なく滅び易い条件にあると思います。世界遺産の主目的は保護であって、必ずしも活用ではないようです(そちらはジオパークがあります)。世界遺産に選ばれるにしろ選ばれないにしろ、ヤンバルクイナ(環境省)が棲むやんばるの森(やんばる野生生物保護センターホームページ)、イリオモテヤマネコ(環境省)が棲む西表島の原生林(西表野生生物保護センターホームページ)、アマミノクロウサギ(環境省)が棲む奄美大島(奄美野生生物保護センター)や徳之島の環境を守っていこうということですね。
※3月6日追記:分かり易いシンボルがいる環境を守ることが他にはない価値になり、地域のブランド力を高めると思います。
地域ブランド学序説(地域ブランド研究会 中嶋聞多)
>表2 ブランド・モデルの8要素
①ブランドの強み ブランドの核となる“地域性”の強みは何か? 他地域と比較して 明確な独自性・革新性はあるか?
②ブランドの領域 何にブランドネームを付けるのか? ①地理的な範囲と、②“地域性”(何で括るのか、何のまちか)の両面で明確化する必要がある。
③送り手 当事者意識が高く、“競争の場”で実行力のある送り手主体となってるか? そもそも送り手は明確か?
④送り手の夢 理念はあるか? 受け手からも共感される夢か? 送り手の都合になっていないか? 共有できているか?
⑤受け手 受け手は誰か? 戦略夕一ゲットは誰か? 主要なターゲットは誰か?
⑥シンボル ブランドを一瞬で想起するシンボルはあるか? ブランドが提供できる価値を連想できるか?
⑦ステークホルダー ブランドの独自性を高める協力者はいるか? ブランドの一貫性を乱すことなく夢を共有できているか?
⑧約束 結果としてブランドは受け手に対し何を約束しているか? 送り手の夢やブランドの強みを“受け手価値(受け手の言葉)”に置き直すと何を提供できることになるか?
出典:二村宏志2004「地域ブランドはマネジメントして創る」商工ジャーナル30(8 353)
明確な独自性があり、領域もハッキリしており、夢も理念も受け手(自分で開拓しないといけない要素もあると思いますが)もシンボルも約束(他にない自然、癒される環境など)もあるでしょう。後は送り手がやる気を出してステークスホルダーを巻き込んでいけば、地域ブランドは確立していくと思います。地域ブランドが確立すれば、環境以外の要素にも波及すると考えられます。
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