MSN産経ニュース(【日中首脳会談】温首相「釣魚島(尖閣)は中国の領土」と主張 関係修復も反日世論収拾には時間)
何か意外に早く歩み寄ってきたというニュース。タイミングが悪いというか、さぁ戦うぞと書いた直後だけに些か拍子抜けしたことは確か。まぁいいや。
日本としてはやるべきことをやらないといけないということに変りは無い。以下、課題を振り返ってみる。
①領海侵犯の扱い
②危険行為の扱い(公務執行妨害?)→逮捕は正当。処罰も当然。①と同じ扱いには出来ない。必要なら法律の整備。体当たりまでして直ぐ釈放は有り得ない。本当に釈放しかなかったのかの検討は必ずなされるべき。ビデオがあるとされ行為の立証は容易であるのが周知の事実である以上(隠しておくべきだったとも勿論思わない)、説明するべきは説明しなければ、日本の司法の信頼性は損なわれることになる。
仮に日本の領土でなくても海保の船相手でなくとも、船が船に体当たりしてくるという行為自体、裁きの対象であるべきだろう。①と関連して、海保の作戦の実態も検証されてもいいと私は思う。ただ、実際問題上陸阻止をやる以上(やらなければ既成事実を創られる)、明らかな過剰防衛で無い限り、海保のアグレッシブさは許容されると考えられる。
③情報戦略→「領土問題化しない」ということに拘らない方が得策だろう。現実問題、日本の領土問題は存在しないという公式見解は、何の役にも立たなかった。せめて事実上領土問題は存在すると考え、対策を練ることをしなければ、次は日本の間抜けさが天下に鳴り響くことになるのではないか。
愛国無罪という言葉がある。「国を愛することから行われる蛮行に罪はない」を意味する中国語の言葉(ウィキペディア)だそうだが、今回の船長の行為が中国で英雄視されるのは、こうした背景があるだろう。中国政府の無法が世論に迎合するためであったならば、その世論に如何に中国の尖閣領有の主張に理が無いかを分からせるかの戦略を考え実行しなければならないだろう。
外務省は竹島・北方領土と違い、尖閣においては目立った主張はしていない(少なくともHPにおいて宣伝していない)。私は竹島問題のように政府(関連)HPにおいて、信頼できる情報を元に、何ヶ国語にも翻訳して載せておくべきだと思う(北方領土問題も同じだ)。少なくとも「領土問題化しない」は無策(だから、こうなった)の言い訳にはならないはずだ。中国国内において情報はシャットアウト出来るかもしれないが、日本やその他民主主義国では宣伝は基本的に自由のはずである(海外に中国人は多く、それなりの影響力もあると聞いている)。
日本の主張が正当であるならば、きっちり主張はしなければならない。これは望まざるとは言え、一種の「戦争」なのであって、勝てる戦をしないという選択肢は存在しない。普通の読解力があれば、主張の優劣は大体分かると考えていいだろう(当事者にはバイアスが有り勝ちではあるが)。なるべく国際世論に中国が無理を言っているということを理解してもらうべきであって、中国サイドにももしかして自分達は無理やり因縁をつけているのではないかということに少しでも気付いてもらえるよう努力すべきである。それが出来ないとは私は思わない。(何も怒っている相手に理を説けと言っているわけではない。冷えた頭に理解してもらうのである。念のため)
工作船の話あったが、情報に関連して要検証だろう。
④地元密着→石垣市も沖縄県も尖閣のことは大事にしているようで、いいことだと思う。やはり地元との連携は大切だ。日本が尖閣を見捨てるなら、沖縄も見捨てられると考えて不思議は無い(中国国内の領土意識は警戒が必要)。中華人民共和国政府においては、尖閣は台湾省に属するとの見解を採っているので、尖閣の「地元」は事実として統治していないことも付け加えていいと思う。台湾が絡むとややこしいが、これは日本側の強みでもあるのではないか。
⑤島嶼防衛→極めて重要。何もしないと、南シナ海で実際そうしたように、本当に占領されて既成事実を創られてしまう可能性がある。きちんと政府が島嶼防衛の計画をたて、実行に移すことによって、中国の抑制を狙っていくべきだ。
⑥指揮権・司法の独立→私は司法の独立絶対派ではない。指揮権がある以上、慎重に慎重を重ねれば発動は有り得るとは考えている(ただ、政治家が自分(達)を助けるために使うのは論外だと言い切っておく)。しかしながら、今回の釈放はないだろう。ニュースをあまり見れない時期があったが、仙谷・柳田指揮権発動を匂わせた説はどうなったのだろう。私は今回の釈放に政治(外務省・経済界も)の関与は明らかだと思うが、問題は関与したことそのものではなく、何故司法は公正にやるべきだと勇気づけるようなことを強調しなかったことにあると思う。いろいろと(解放すべきとの)圧力があった以上、司法の判断に従うという当たり前の見解では足りないのであって、逆に圧力は無視してきっちりやれというメッセージを出すべきだったという考えだ。それでも早く解放される見込みだったのであれば(どうだか知らないが)、そういう相場観みたいなものも、介入と見られてもいいから、あらかじめ言っておくべきだっただろう(何も言わず釈放すれば、中国の圧力に屈して釈放したと誤解を招きかねない)。要は実質的に司法は独立しているのだと示すように政府は関与すべきであったと思う(あえて繰り返すが、関与が無いほうが司法が政治的圧力に左右されたと見られるだろう)。
⑦中国の報復措置→無視(友好団訪日中止の類)ないし逆手に取る(レアアース問題など)。やらせておけば良かったと思う。いろいろ言ったりやったりするだろうが、そもそも中国のやり方は今回無理筋だった。である以上、時間は味方したのではないか。無理を言えば言うほど聞く耳持たないようにしなければ、どんどん図に乗られるのは避けられない。
ちょっと整理されていない感じもあるけど、今回はこの辺で。後日、追加変更等あるかも。