ワニなつノート

【専門家委員への意見聴取制度】という新たな制度について(その3)

さて、肝心の「実施要項」を紹介します。

この中で、私がすごいと思うのは2点。

一つは、【校長が実施対象受検者を教育振興部学習指導課長に電話で報告】し、【課長が専門家委員を選定する。 】としている点。

高校の入学許可の権限は「校長」だけにあります。

だから、今まで40年近く、「校長権限」「校長判断」で逃げられ、悔しい思いをしてきたのです。

それが、校長が課長に電話で報告し、課長が選んだ専門家委員の意見を聞いて、それで校長が判断する、というのです。うがった見方をすれば「介入」と捉えられることにもなります。校長と課長が「定員内不合格を出す気」なら今までと同じです。

でも、それならわざわざこんな制度を作らなくても、今まで通り「校長権限」で、定員内不合格を出し続ければいいとも思うのです。この仕組みだと、定員内不合格を出した場合、課長がわざわざ虎の尻尾を踏みに行くことになります。

            □

もう一つ。

【入学許可候補者の発表後に意見聴取した場合は、合否について再判定する。】

この一文は、合否判定を「やり直す」可能性がある、ということです。これは正直にすごいことだと思います。

「この子が不合格にされる理由は一つもない。取り消して、合格にしろ」と、これまで何百回叫んできたことか。本気で叫んではきましたが、一方で「裁判で校長判断が間違いだと認められなければ、不可能なこと」だとも思ってきました。

それが、この制度によって、「再判定」の可能性ができたこと、つまり、定員内不合格が覆る可能性が生まれたこと。それはつまり、子どもが「浪人しなくてすむ可能性」ができたことを意味します。

今年は、3月の合格発表が楽しみです(^^)v

 

   ◆     ◆     ◆     ◆

 

【別紙2】

入学者選抜における専門家委員への意見聴取制度 実施要領

制 定 令和5年12月20日

千葉県教育庁教育振興部学習指導課長

第1 目的

入学者選抜における専門家委員への意見聴取制度に関する要綱(以下「要綱」とい う。)で定める入学者選抜における専門家委員への意見聴取制度(以下「本制度」とい う。)の実施については、要綱に定めるところによるほか、本実施要領に定めるところ によるものとする。

第2 専門家委員及びその任期

専門家委員は、医師、大学教授、社会福祉士、青少年センター職員、国際交流 センター職員等から、千葉県教育委員会が選定する。 任期は、1年とする。

第3 対象となる学校

1 志願者数が募集人員に満たない県立高等学校

2 志願者数は募集人員を満たしているが、入学許可候補者数が募集人員に満たなくなる可能性のある県立高等学校

第4 制度の同意

要綱第3条の同意しない者とは、別紙様式の不同意書を受検する高等学校に提出した者をいう。

第5 実施時期

意見聴取できる時期は、以下に示す選抜の検査実施後から判定会議前日まで及び入学許可候補者の発表から1週間とする。

1 本検査(追検査)、第2次募集、追加募集

2 通信制の課程の三期入学者選抜、四期(秋季入学)入学者選抜

3 三部制の定時制の課程の秋季入学者選抜

第6 実施方法

1 校長が実施対象受検者を教育振興部学習指導課長(以下、「課長」という。)に電話で報告する。

2 報告内容により課長が専門家委員を選定する。

3 校長が資料を示し、専門家委員から意見聴取する。なお、意見聴取は、原則対面とし、状況によりオンラインでの意見聴取も認める。

4 校長が専門家委員からの意見も参考に判定会議の内容を踏まえ合否判定する(入学許可候補者の発表後に意見聴取した場合は、合否について再判定する。)。

第7 専門家委員への提示資料

提示できる資料は、次の1~5とし、いずれも受検者の受検番号、氏名、中学校名及び住所等の個人情報を黒塗りする。

1 調査書等の出願書類

2 受検者が志願する高等学校の校長に申請した書類

3 学力検査の成績

4 学校設定検査(面接、作文等)の結果

5 その他、当該高等学校の校長、県教育委員会及び専門家委員が必要と認めた書類等

第8 意見聴取する内容

1 資料に対する意見

2 学校生活における必要な支援に関する意見

第9 校長の責務

1 不同意書の提出の有無を入学者選抜の合否判定に影響させてはならない。

2 専門家委員から意見聴取する際、専門家委員に受検者の受検番号、氏名、中学校名 及び住所等の個人情報を伝えてはならない。

3 専門家委員から聴取した意見を当該受検者・保護者を含め他者に伝えてはならない。ただし、当該校における選抜に関わる教職員等は除く。

4 入学許可候補者数が募集人員に満たなかった学校において、入学許可候補者とならなかった者及びその保護者から、その理由について説明を求められた際、専門家委員への意見聴取の実施の有無について伝えること。ただし、意見聴取した相手、内容等については伝えてはならない。

附 則 (施 行 期 日) 1 この実施要領は、令和6年1月1日から施行する。

             □

 

※【写真】=仲村伊織

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