新人さんが「やさしくない」中身を語る。
《「明け方に思わずお婆さんに言ってしまいました。『そんなふうだから家にいられないのよ』と」
「感情的に気持ちをぶつけてしまったあと、私、泣いてしまいました。こんなことじゃあ務まらない。私は介護に向いていないんじゃないかと思うと、涙が止まりませんでした。お婆さんのそばにいられなくなって、離れました」》※
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あああぁぁぁ。そうそうそう。
私もそんなふうに思ったことが数えきれないほどある。
そばにいられなくなって離れたことが星の数ほどある。
しかもこっちは「子どもに対して」だから格段にひどい。
虐待され保護された子に「そんなふうだから!」なんて。
「やさしくない」どころか「冷酷非道」というか「極悪非情」というか。
でも、思ってしまった事実は自分に消せない。だから別の言葉を思い浮かべる。
「奇想天外、四捨五入、出前迅速、落書無用」♪♪♪・φ(゚-゚=) 。
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新人さんの話は続く。
《早出の職員が来る前になんとかしなきゃと思いました。お婆さんに謝ったんです。
『さっきはすみませんでした。私、心にもないことを言いました』
「謝ったとき、また、涙が出てきました。
泣きながら謝る私に、お婆さんが言いました。
『あんた、なんか、あったとね』
『あなたにひどいことを言ったんです』
そうしたら、『あんたがひどいことなど言うもんか。あんたはそんな人じゃなか』って慰められてしまいました。」》※
※「シンクロと自由」村瀬孝生 医学書院2022年