「ことばの掟」と「解放の呪文」
講演のタイトルが「普通学級の障害児のために知っておきたい大切なこと」と言われて、「それそれ、わたしも知りたい!」と思った。
でも、話すのはわたしだ(+_+)
こーんなに「知りたい!」とわたしが思っていることを、わたしは話せるのか?
そんなに「大切なこと」を、わたしは知っているのか?
答えは確かにイエスだ。
わたしは知っている。
ただ、それをことばにできるか?
それを、話すことができるか?
それを、物語ることができるか?
そう、わたしは「大切なこと」をたしかにみてきた。
たくさんの子どもの顔が浮かぶ。
ひとりひとりが、わたしに大切なことを教えてくれた。
でも、それは「ことば」を通してだけではなかった。
大切なことは、子どもの顔であり、その子をとりまく友だちや家族の顏だった。
わたしの「たいせつ」と「だいじょうぶ、まちがいじゃない」の確認は、ことばではなかった。
・・・名古屋に行く前、そんなことをずっと考えていた。
はじめに、気をつけなきゃいけないと思ったこと。
(1)「大切なこと」を大局から語ってはいけない。
たとえば、就学相談会で、わたしが話したい相手は、わが子の就学にゆれる親であって、障害児の教育を考える人、ではなかった。
ゆれる親と、考える人、に話すときと、ことばの何が違うのか。
障害児の教育を考える人、は、子どもの笑顔と涙でゆれることには、あまり興味がない。
算数の授業について語るときに、この子にはいつも笑っていてほしいと思う先生はいない。
国語の授業について語るときに、この子がさびしくないようにと願うことから考える先生はいない。
でも、・・・
だから、就学相談会では、私が議論したいM先生に語ってはいけない。
それは、言葉の違う世界の話だから。
特別支援教育の先生に語るときには、違う言葉が必要。
特別支援を選んだ親と話すときにも、違う言葉が必要。
違う言葉を、同時に話そうとしても、その言葉は、虚空に消えていく。
現実世界には、異世界が幾重にも入り込んでいる。
私が魔法使いだったとして、一番よく学んだのはこの「ことばの掟」だった。
いま、修行している魔法は、「解放の呪文」だ。
さてと。
ふざけている訳ではない(・。・)
コメント一覧
yo
ono
最新の画像もっと見る
最近の「こどものことば・こどものこえ・こどものうちゅう」カテゴリーもっと見る
最近の記事
カテゴリー
- ようこそ就園・就学相談会へ(468)
- 就学相談・いろはカルタ(60)
- 手をかすように知恵をかすこと(28)
- 0点でも高校へ(395)
- 手をかりるように知恵をかりること(60)
- 8才の子ども(161)
- 普通学級の介助の専門性(54)
- 医療的ケアと普通学級(90)
- ホームN通信(103)
- 石川憲彦(36)
- 特別支援教育からの転校・転籍(48)
- 分けられること(67)
- ふつう学級の良さは学校を終えてからの方がよくわかる(14)
- 膨大な量の観察学習(32)
- ≪通級≫を考えるために(15)
- 誰かのまなざしを通して人をみること(133)
- この子がさびしくないように(86)
- こだわりの溶ける時間(58)
- 『みつこさんの右手』と三つの守り(21)
- やっちゃんがいく&Naoちゃん+なっち(50)
- 感情の流れをともに生きる(15)
- 自分を支える自分(15)
- こどものことば・こどものこえ・こどものうちゅう(19)
- 受けとめられ体験について(29)
- 関係の自立(28)
- 星になったhide(25)
- トム・キッドウッド(8)
- Halの冒険(56)
- 金曜日は「ものがたり」♪(15)
- 定員内入学拒否という差別(88)
- Niiといっしょ(23)
- フルインクル(45)
- 無条件の肯定的態度と相互性・応答性のある暮らし(26)
- ワニペディア(14)
- 新しい能力(28)
- みっけ(6)
- ワニなつ(351)
- 本のノート(59)
バックナンバー
人気記事