テーマⅡ
「普通学級に当たり前に居続けるために知っておきたい大切なこと」
(あるいは普通学級を手放さないために知っておきたい大切なこと)
《強力な固定観念!!!》
ふつう学級を手放すのは、「障害」が理由ではない。
では、何が理由か。
答えは、私たちの中にある「強力な固定観念!!!」だ。
私が37年間、耳にしてきた「理由」は、「障害」ではなかった。
障害のある子どもの話でもなかった。
私が聞いた言葉はいつも、「強力な固定観念」だった。
いわく、障害のある子が、ふつう学級なんて無理。
障害のある子がかわいそう。
障害のある子と、ふつうの子がともだちになるなんて無理。
障害のある子がかわいそう。
障害のある子と、ふつうの子が「対等のつきあい」ができる訳がない。
そこあるのは同情と哀れみか、せいぜいボランティア精神でしかない。
障害のある子がかわいそう。
障害のある子が、ふつう学級で、ふつうの先生や、ふつうの子どもたちに大切に思われる訳がない。
そんなところにいるのは、この子がかわいそう。
障害があるのだから、ふつうの子どもと出会わせるのはかわいそう。
障害があるのだから、ふつうの子どもと比べられるのはかわいそう。
これ以上かわいそうなことをさせることはできない。
障害があるのだから、みんなと同じにはなれない。
みんなと同じ競争をさせるのはかわいそう。
だから、「分ける」とか「隔離」するのではなくて、この子の障害に合った無理のない教育が必要。
無理なことや無理な競争をさせられず、自分の能力を伸ばし、いつも笑顔で満足していてほしい。
そのための「特別」な教室や学校なんだから。
「共に」とか「共生」という言葉はいいけど、この社会で「障害児」がふつう学級で、喜んで迎えられるなんてことがある訳がない。
だって、誰もが「障害」や「病気」を恐れているはず。
障害者になりたい人なんていない。
認知症になりたい人なんていない。
障害児の親になりたい親なんていない。
障害児になりたい子どもはいない。
だから、障害児を好きになる子なんていない。
だから、障害児と友だちになる健常児なんている訳がない。
…以上。
これらが、障害児者を分け続けてきた歴史しか持たない私たちの社会に根付いた「強力な固定観念」に基づいた言葉だ。
この固定観念から抜け出せなければ、子どもを守るには次のように考えるしかない。
「障害のある子を大切に思うからこそ、差別的な社会から守ってあげなきゃいけない。」
「障害のある子の幸せを願うなら、無理解な世間から守ってあげなきゃいけない。」
「だから、子どもの笑顔を守るということは、ふつう学校から守ること。」
「ふつう学級の子どもたちから守ること。」
「それが、この子を守ることになる。」
以上。
(つづく)
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