21世紀の定員内不合格 (№01)
《孤立・無力・透明》
「季刊仏教」という雑誌で「いじめ」の特集を読んだことがある。
そこに書かれていたのが、中井久夫さんの「孤立化・無力化・透明化」という話だった。
まず「孤立」させられ、「無力」だと思いこまされ、やがて「透明」にされてしまう。
そこから、命が失われるまで近いと受け取った。1996年のこと。
それ以来、「孤立・無力・透明」を呪文のように唱えてきた。自分に。忘れないように。忘れないように。
自分のやっていることが、子どもを「孤立」させないように。
子どもを「無力」だと思わせないように。
子どもを「透明」にしないように。
あのころ私は定時制高校と中学校の不登校の教室にいた。
不登校の教室だから、週に一度来るか来ないかの子たちだった。
それでもほぼ全員が高校に行こうとした。
どちらも同じ区内だったので、中学でつきあっている子に、「うちにおいで」と言えた。
「受験勉強の心配はしなくていいから」
「願書を出して、受験の日に来てくれれば大丈夫だから」
「定員がいっぱいになることはないから、受けに来てくれさえすれば大丈夫だから」
「だから、うちにおいで」と言えた。
あのころ、そう言えたことが、どれほど私にとっての「安心と自信と自由」を支えていてくれたことか。10年経っても、20年経っても、その思いは変わらない。
いや、むしろ、そのことに私自身がどれほど支えられていたかをかみしめている。
(№19につづく)
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