《自己を守る技術の話》A
(1)《やっぱりおおかみ》
『やっぱりおおかみ』という絵本がある。
学生のころ、「あなたはこういうの好きだと思う」と渡された。
ひとりぼっちのおおかみの子どもが、仲間を探す物語。
「どこかに だれか いないかな」。
町をめぐり、窓をのぞく。
「おれに にたこは いないんだ」。
「け」とつぶやいて終わる。
「なんだこれ」と思いつつ。手放せず四十年・・・。
先日、ああ、これ「自己を守る技術」の話だったんだと気づいた。
(2)《わたしはあなたをまもれない》
わたしは あなたを 守れない。
わたしがわたしを 守れるあいだ しか守れない。
わたしのいのちある あいだだけ。
それはわかっている のだけれど。
わたしはあなたを 守りたい。
守れるあいだの あるかぎり。
「つぎは?」
あなたがじぶんを 守れるように。
わたしが守れなくなった あとに。
あなたがあなたを 守れるように。
だいじょうぶ。
あなたには あなたを守るちからがある。
あなたにも だれかを守るちからがある。
(3)《「安心できる人」を見分ける技術》
「自分の守り」は、「自分の気づき」から始まる。
「おや? あれ? いったいどうなってるんだ?」
「この子の安心」は、この子にしか感じることができない。
おおかみは安心できる仲間をさがした。
「どこかに おれに にたこは いないかな」。
でも、みつからない。
代わりに見つけたのは、「自分」だった。
「おれに にたこは いない」ことに気づく「自分」だった。
「け」
「安心できる人」を見分ける技術は、とても大切だ。
ただ、外見が「にている」とか、「おなじなかま」というだけでは足りないこともある。
この子の「安心」は、この子のもの。
この子の安心は、この子にしか感じることができない。
「け」といえる自分に気づくこと。
それこそが、この子が「安心できる人」に出会うために大切なことだった。
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