HalとNaoちゃんの待ち時間(9)
以前、≪失くしたものは≫(SCENE1~SCENE6)を書きました。
中身はHalそのものドキュメントではありませんでしたが、
Halのことも含めて、出会ってきた子どもたちのことを
考えたいと思ってきました。
それを、もう一度、読み直してみたいと思います。
【SCENE1 子どもが泣いている】
一人の子どもが泣いている。
学校に行きたくないと、泣いている。
みんながいじめると、泣いている。
勉強が分からないからいやだと、泣いている。
ぼくもみんなとドッジボールがしたいんだよと泣いている。
ぼくも100点がとってみたいんだよと、泣いている。
朝になると、お腹が痛くなる。
休んでいいよと言われると、少しほっとして、
だんだん元気になる。
週に一日、二日と学校を休みがちになり、
いつしか、登校できる日が一日二日になり、
その一日もなくなる…。
この子がそこで失くしたものは何だったのか。
いじめられて、仲間に入れてもらえず、
勉強も分からず、この子が失くしたもの。
あこがれの百点を一度も取れず、
この子がそこで失くしたものは、何だったのか。
☆ ☆ ☆ ☆
このとき、「この子が失くしたものは何か」と問いながら、
「もう一つの問い」は見えていませんでした。
「この子が失くしたものは何か」と問うと同時に
「この子からそれを奪った仕組み」を問うことを
忘れていました。
それがちゃんと見えていないと、
その子だけに、責任を求める考え方をしてしまいかねないし、
この子が失くした、もう一つのものを見過ごしてしまいます。
そしてまた、その仕組みを変えていかなければ、
一人の子どものせいにされ、同じことがくり返されます。
(考えあぐねながら、つづく)
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