ワニなつノート

『4回目の誕生日』(№1)


ホームN通信
『4回目の誕生日』(№1)



《3.11とホームN》

ホームを始めて5年になる。
3.11が近づくと、ホームを始めるきっかけはこれだったと思い出す。

あれから、ホームを気にかけてくれている人たちに、
「通信」を送りたいと思い続けてきたが、まだ形にできない。

居場所を秘密にしておかなければいけない子もいるし、
プライバシーと守秘義務との兼ね合いも微妙だし…。

だけど伝えないと、この社会ではないことにされる。
外見上、障害もなく、大人になった姿だけをみて、一人で働いて生きていくことは誰でも当たり前と思われる。

そこでは、こんなにも必死に生きている子どもたちの思いが、ないままにされる。
そしてうまくいかないときだけ、責められる。
他人の責めより、自分への責めはさらに苦しい。

でも、社会に訴えるよりは、自分の毎日を言葉にしたい。
いつもホームと子どもたちを気にかけてくれる人たちに、
お礼の思いを通信という形で返したいと思ってきた

         ◇

《同級生》


2年前、中学のクラス会で、ある夫婦がホームの話を聞きたいといってくれて、「yoらしいな」と言った。

意外だった。

二人は絵に描いたような優等生の「よい子」で、私は漫画に出てくるような「悪い子」だった。

なのに、子どものころの私しか知らない二人が、「らしい」という。


保育園でいつも廊下に立たされていた私は、どんな「yoらしい」子どもだったんだろう?

ふつう学級は無理と、教育委員会に送られた私は、どんな「yoらしい」子どもだったんだろう?

私のせいで登園拒否になった子が何人もいる。
女の子の髪にジャムを塗っていた「子ども」と、ホームの仕事と、どこに同じ「らしさ」が見えるんだろう??

その答えを知りたくて、二人にもホームのことを伝えたいと思った。


            ◇

《ホームN》



好きな子を応援するのはかんたんだ。
がんばっている子を応援するのはかんたんだ。

がんばらない子を、見続けていられるか。
がんばれない子の、じゃまにならずに支えられるか。

こいつ嫌い、絶対「合わない」と感じる子に、敬意を持てるか。
嫌われ、疑われている子に、ふつうに話せるか。
日々、ただ待つ、あいまいさに踏みとどまれるか。

そんなことを自分に問い続ける。
とにかく今日一日の時間稼ぎをすれば、
かならず春はくる。

子ども一人ひとりに、
それぞれの春がはじまる。
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