【助けづらい話】(3)
《「たすけにいく」と「たすけにくい」》
先日、U市の教育委員会への要望書提出に行ってきた。
要望内容は、中学校の「特別支援学級」から「普通学級」への転籍希望。
千葉県の他市ではスムーズに事が運ぶのに、なぜか校長も市教委も反応が鈍い。
本人と保護者が申し出ているのだから、断る理由はない。
私の住んでいる柏市では、要望書などなしで転籍できている。
親が中学校の担任と校長に、「2学期から普通学級に転籍したい」と希望を伝えただけである。
そして、9月1日に特別支援学級から普通学級に移っての学校生活が始まる予定だ。
U市の場合、「医療的ケア」を必要とするから等と言い訳をしていたが、それは理由にはならない。
なぜなら、その子は、今現在、その中学校の生徒であり、看護師も配置されている。
だから、「特別支援学級」から「普通学級」への転籍するだけ、のことである。
朝の9時から12時まで、約3時間話し合いは続いた。
9月1日からの転籍希望だが、さて結果はどうなるか。
8月31日の夕方にまた話し合う。
◇
ちなみに、上記の二人は、5月の「高校相談会」と、7月の「就学相談会」で出会った。
相談会に来て、会の人たちの「ふつう学級での生活の様子」を聞くことが転籍につながった。
「特別支援学級から普通学級への転籍はできます! 大丈夫です!」と話しているので、「大丈夫」じゃないと、私も困る。
…そういえば、去年、U市の隣のI市の教育委員会にも行った。
医療的ケアが必要な子の、「保育園入園」と「小学校入学」の件。
そのときの二人も、去年9月の就学相談会に参加された方たちだった。
「医療的ケアが必要な子も、保育園も小学校も入れます! 大丈夫です!」と話しているので、大丈夫」じゃないと、私が困る。
(゜o゜)そうだ、忘れてた!
去年の11月に、「気管切開とふつう学級への入学(予告編・その6)」で、途中経過を書いたきりだった。
結果。
小学校入学と学童保育は大丈夫(^^)v
保育園は少し時間がかかったが、いまはちゃんと通えている。大丈夫(^^)v
◇
平本歩さんの、『バクバクっ子の在宅記』を読みながら、改めて、歩さんや両親が歩んでくれた道のありがたさをかみしめている。
私が就学相談会で、どの子にも「大丈夫」と言えるは、どの子にも大丈夫な道を作ってくれた親たちがいたからだ。
この日本という社会では、赤ちゃんの命を必死で助ける。
生まれたばかりの赤ちゃんの気管切開をし、呼吸器をつけ、必死で命を助ける。
退院できた後でも、何度も救急車を呼ぶ生活がある。
それでも、救急隊の人たちも病院の人たちも必死で、子どもの命を守り助けるために、24時間365日がんばっている。
なのに、その助かった子どもが、保育園にいく、小学校にいく、となると、とたんに社会は子どもを助けなくなる。
それはどうしてなんだろう。不思議でならない。
昨日のブログにも載せたが、歩さんの両親が在宅を決意したときのこと。
「三歳の夏、……両親が家に帰ろうとした途端、私は家族と分かれることを感じ、大粒の涙を流し身をよじって泣いたそうです。
そして、パルスオキシメーターの心拍数が一八〇台に上がり、アラームが鳴りました。
…この涙を見た両親は、私を在宅生活にする決意をしたのです。」
子どもの命を助けたい、守りたいと願う親の思い。
子どもの子ども時代、子どもらしい生活を守りたいという親の思い。
両方とも、あまりに当たり前な親の思いだ。
だけど、「子どもの命はたすけにいく」のに、「3歳の子が家に帰りたい」「保育園に行きたい」願いはなかなか理解されない。
「たすけにくい」ことになっている。
本当にそれは、どうしてなんだろう。
(つづく)
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