「市気匠気(いちきしょうき)」

2021-11-21 11:16:01 | 従って、本来の「ブログ」

     「市気匠気(いちきしょうき)」

 

私自身の覚書として夏目漱石『文芸の哲学的基礎』より、

「文芸は感覚的な或物を通じて、ある理想をあらわすものであります。

だからしてその第一主義を云えばある理想が感覚的にあらわれて来な

ければ、存在の意義が薄くなる訳であります。この理想を感覚的にす

る方便として始めて技巧の価値が出てくるものと存じます。この理想

のない技巧家を称して、いわゆる市気匠気(いちきしょうき)のある芸

術家と云うのだろうと考えます。市気匠気のある絵画がなぜ下品かと

云うと、その画面に何らの理想があらわれておらんからである。ある

いはあらわれていても浅薄で、狭小で、卑俗で、も人生に触れてお

らんからであります。私は近頃流行する言語を拝借して、人生に触れ

ておらんと申しました。」(以下略)

        ――明治四十年四月東京美術学校において述――

「青空文庫」https://www.aozora.gr.jp/cards/000148/files/755_14963.html

 

※「市気匠気」・・・【市気】人々の歓心を得ようとおもねる気持ち
          【匠気】芸術家・職人などが技術・技巧に趣向
              をこらす気持ち


「手のひら返し」

2021-08-04 14:28:42 | 従って、本来の「ブログ」

   「手のひら返し」

 

 かつてベルリンでのオリンピック開催決定後にドイツの政権を握

ったヒットラーは、彼が率いる「ナチス党が、ドイツ国民の支持の

元にユダヤ人迫害政策を進めて」いて、「当初オリンピックを『ユ

ダヤ人の祭典』であるとしてベルリン開催に難色を示していたが」

(ウィキペディア)、ところが、国威発揚のプロパガンダになると諭

されて積極的にオリンピックを利用して大会は歴史的な成功を収め

、独裁政権の足掛かりにした。しかし、開幕前にはユダヤ人差別政

策を行なうナチス政権下での大会に異を唱えた西欧とアメリカは各

国にボイコットを呼びかけたが、するとヒットラーはまさに「手の

ひらを返して」強硬政策を緩和して、対外的に平和で寛容なドイツ

をアピールした。つまり、オリンピックとはたとえ人種差別政策を

行なうナチス独裁政権下であってもそんなこととは無関係に国民は

大きな関心を示すものなのだ。だとすれば、コロナ禍の下でのオリ

ンピック開催に反対することと、しかし開催されたオリンピックを

「手のひらを返す」ように声援することはまったく次元の違う話で

、それはオリンピックの成功がコロナ禍を終息させることなどない

ことからも明白である。

 別の話を繋げるものは感情である。 


「象徴天皇制と民主主義」

2021-07-28 08:05:07 | 従って、本来の「ブログ」

「象徴天皇制と民主主義」


 オリンピックの開会式で大会名誉総裁であられる天皇陛下による

開会宣言の際に、菅首相、小池都知事が起立を怠り、途中で気付い

て立ち上がったことが不敬だと物議を醸しているが、しかし、その

経緯はまさに天皇と民主主義の相容れない関係をそれこそ「象徴」

しているように思えてならない。作家三島由紀夫は「国体とは天皇

である」と断言し、当然それは民主主義とはそぐわないことを承知

して民主主義を拒絶した。敗戦後75年を経てアメリカから押し付

けられた自由と民主主義は遍く浸透したが、それに反して国体天皇

論は政治家たちの挙動からも窺えるようにすっかり影を潜めた。と

ころで、そもそもオリンピックの基本理念とは民主主義の理念にほ

かならない。つまり、厳密に言えばオリンピックの基本理念もまた

国体天皇論とは相反する。ただ、「この国は神の国である」と言い

ながらオリンピック委員会の会長をのうのうと務めていた国体天皇

論者も居たが、しかし、今回の東京2020(オリンピック)大会の

大会ビジョンは「多様性と調和」を謳い、それは現代日本社会にお

ける非民主的なジェンダーギャップ、世界経済フォーラムが発表し

た2021年度の日本のジェンダーギャップ指数は156ヶ国中1

20位、の改善がオリンピック開幕に合わせて議論されたが何一つ

決められずに終わった。男女共同参画社会の実現や性的マイノリテ

ィ(LGBT)への差別撤廃、或いは選択姓制度などなど、

ら男女差別の問題は何れもその根本つで、つまり、万世

継承する皇位男系男子に限って世されるいう伝統文化

、断じて系天皇を認めようとしない頑な伝統主者たち

によて阻まれている。つまり枝葉をいくら切り落としても根

を引っこ抜かない限り、つまり、皇室に蔓延る男尊女卑の伝統文化

改めない限り一歩も前に進まなだろう。ただ、にもかかわらず

彼ら伝統主義者たちは天皇制とは相反する義を拒もうとはし

ないので、淘汰されずに残る伝統文化と進化する近代社会のギャッ

プはますます広がるばかりだ


「コロナ五輪」

2021-06-20 09:12:36 | 従って、本来の「ブログ」

  「コロナ五輪」

 

 連日ニュースは「コロナ五輪」のことばかりでうんざりしています

が、ひとつ気になったニュースがありましたので、これもまた「コロ

ナ五輪」関連ですが、朝日新聞デジタルより、

ウガンダ選手団、PCR検査1人陽性 成田空港で判明」2021/06/20 00:41

要点だけを述べると、                         「東京五輪・パラリンピックに出場する東アフリカ・ウガンダの選手団9人が19日夕、成田空港に到着して、このうちの1人が、空港での新型コロナウイルスのPCR検査で陽性だったことがわかった。彼らは全員が出国前にアストラゼネカ社製ワクチンを2回接種、出国96時間以内に2回のPCR検査を受け陰性証明書を持っていた。選手団は19日午後6時すぎ、一般客約80人が降りた後、マスク姿で1列になって到着ゲートに姿を見せた。その後、空港検疫で唾液による抗原検査を受けたが1人は結果が出なかったためPCR検査を受けたところ陽性だとわかった。残りの選手らは20日未明、事前合宿地の大阪府泉佐野市へ夜行の貸し切りバスで移動を始めた。」

さて、ここにはいくつかの問題点があります。まず、アストラゼネ

カ社製ワクチンの有効性の懐疑、そして参加国が発行する陰性証明

書の信頼性、そして何よりも信じ難いのは主催国であるわが国が行

った水際対策である。そもそも「濃厚接触者」の定義は、 ①患者と

同居、あるいは長時間の接触(車内・航空機など)があった人、②

患者と1メートル以内の距離で、必要な感染予防策(マスクなど)なし

で15分以上接触があった人(国立感染症研究所「積的疫学調査実

要領」より)のことで、ウガンダ選手団は「陽性者」との長時間の

接触(車内・航空など)があったことは間違いなく、ただ「陽性

者」が「患者」つまり感染者かどうかだけで、だとすれば、濃厚接

触者は2週間隔離して健康観察が求められるはずだが、「残りの選

手らは20日未明、事前合宿地の大阪府泉佐野市へ夜行の貸し切り

バスで移動を始めた。」とある。更に、彼らはチャーター機ではな

一般客約80が同乗する民間機で来日している。調べてみれば

ウガンダのエンテべ国際空港から成田空港までの飛行機による移動

時間は優に24時間を超える。当然密室化した機内での長時間の接

触は避けられない。つまり、同乗していた一般客80人も「濃厚接

触者」に違いない。にもかかわらず彼らは2週間の隔離観察を強い

られたという報道は見当たらない。楽観的なオリンピックムードに

引きずられた科学的根拠の乏しい寛容論に委ねることは「あかんや

つ」やろ。もしもそれが忖度を得意とする役人によるオリンピック

関係者への特別な配慮だとすれば、今後大挙して推しかけてくる関

係者による感染再拡大(リバウンド)は避けられないのではないか。

そうなれば、将に東京五輪は競技者同士の闘いだけではなく、蔓延

化するコロナ禍という厳しい条件下での「コロナ五輪」と呼ぶにふ

さわしい大会になるだろう。


「処理水と通常の原発排水はまったく違う」

2021-04-17 06:14:06 | 従って、本来の「ブログ」

      「処理水と通常の原発排水はまったく違う」

 

 いざ、原発事故で発生した処理水を海へ放出すると決めてから

今更こんな基本的な事実が公にされずに見過ごされていることに

驚かされるばかりですが、その全文を以下に載せます。

        *        *        *

 

原発処理水にはトリチウム以外に12の核種が残留…「国民に事実を」と指摘したのは自民・原発推進派(日刊ゲンダイDIGITAL) - Yahoo!ニュース

 

 国民の反対を押し切って、東京電力福島第1原発の敷地内に貯蔵

されている「汚染水」が、海に捨てられることになった。

 海洋放出する汚染水について、麻生財務相は「飲んでもなんてこ

とはないそうだ」などと安心安全を強調しているが、放射性物質に

汚染された水を捨てて本当に大丈夫なのか。

 専門家が危惧しているのは、トリチウムだけがクローズアップさ

れていることだ。大新聞テレビは、汚染水を多核種除去設備「ALPS

」で浄化しても、トリチウムだけは除去できないと報じ、原子力ム

ラは「トリチウムが放出する放射線は弱い」「自然界にも存在する

」「通常の原発でも発生し、基準を満たせば海に流している」と、

海洋放出は問題ないと訴えている。

 しかし、大手メディアはほとんど問題にしていないが、「ALPS」

で取り除けないのは、トリチウムだけではないという。トリチウム

以外にもヨウ素129、セシウム135、セシウム137など、12の核種は

除去できないという。

 自民党の「処理水等政策勉強会」の代表世話人・山本拓衆院議員

がこう言う。

「断っておきますが、自分は原発推進派です。菅首相も支持してい

ます。ただ、原発処理水に関する報道は、事実と異なることが多い

ので、国民に事実を伝えるべきだと思っています。東京電力が2020

年12月24日に公表した資料によると、処理水を2次処理してもトリ

チウム以外に12の核種を除去できないことがわかっています。2次

処理後も残る核種には、半減期が長いものも多く、ヨウ素129は約

1570万年、セシウム135は約230万年、炭素14は約5700年です」

さらに「通常の原発でも海に流している」という報道も、誤解を招
くという。

「ALPS処理水と、通常の原発排水は、まったく違うものです。ALPS

でも処理できない核種のうち、11核種は通常の原発排水には含まれ

ない核種です。通常の原発は、燃料棒は被膜に覆われ、冷却水が直

接、燃料棒に触れることはありません。でも、福島第1原発は、む

き出しの燃料棒に直接触れた水が発生している。処理水に含まれる

のは、“事故由来の核種”です」(山本拓議員)

一度、海に捨てたら取り返しがつかない。

 

         *       *      *

 更にこんな記事もありました。

原発処理水の海洋放出「トリチウム水だから安全」の二重の欺瞞