「あほリズム」(879)

2022-01-24 08:00:14 | アフォリズム(箴言)ではありません

         「あほリズム」

 

          (879)

 

 いまやわが国も「格差社会」が顕著化して、去年就任した岸田総理

はこれまでの新自由主義的な経済政策を見直して「成長と分配の好循

環」の下で「分配」を重視した「新しい資本主義」を掲げているが、

かつて政府が近代化を目指していたおよそ100年ほど前、思想家北

一輝は、当時の「格差社会」を『生きるとより死に至るまで脱する能

わざる永続的飢饉の地獄は富豪の天国の隣りにて存す』と社会的不平

等を憤ったが、1896年、官立大学教授、金井延・福田徳三・桑田

熊蔵らが、『社会主義には反対だが、貧富の差の激化を放任しておく

わけにもいかない』と、国家による社会政策の必要をといて『社会政

策学会』を作って運動したが、しかし北一輝は「情けによる救済は事

態を誤らすばかりで、法の理想によって政治の現実を変えることは不

可能だ」と断言した。限界に達した経済成長を前提にするかぎり「分

配」など生まれるはずがなく、その結果「寡(すく)なきを患(うれ)いて

、而(しか)も均(ひと)しからざるを患う」ことになる。