「安倍元首相の政治信条に対する恨みではない」
そもそも政治家は自らがよって立つ政治信条のためなら我が身を
犠牲にすることさえも厭わないが、ところが凶弾を放った犯人が、
「安倍元首相の政治信条に対する恨みではない」と供述し、そして
「えっ、そっち?」と言いたくなるような的外れな動機だったこと
から、安倍元首相の政治信条は置き去りにされ、屍と共に葬られる
ことなく、思想は実現化を求めて新たな宿主を捜して彷徨っている。
すぐに思いだしたのは、かつて反戦を訴えていたジョン・レノン
が勘違いしたファンの凶弾に倒れた時と同じような何ともやりきれ
ない虚しさだけが残った。