「閑話放題」②
「そーか?」
すると、それまで黙って焼酎を飲んでいた知り合いの男が私の言っ
たことに反論した。
「そんな大袈裟なことかね、ただ国内の人種問題が代表チームにも
表れただけのことじゃねえの」
私は裏を掻かれたことに慌てふためいて、彼の口撃を封じようと彼
をマークした。
「もちろんそれもあるさ、しかし、その背後にはEU統合という大
きな時代転換の流れがあるんじゃないかって言ってんだよ」
「じゃあ何で他の国はあっさり勝ち進んでいるんだよ。オランダな
んて人種の坩堝だぜ。それでも何の問題もなく戦ってるじゃんか。
チームが纏るかどうかはさっき誰かが言った中心になる選手が、例
えばフランスならジタンがボールコントロールして前を向けば、全
員が『さあ攻撃だ!』って攻め上がるじゃない、ただ、そういう選
手が確かに居なくなったとは思うけど」
私もムキになって言い返した。
「そりゃあ、国によってチーム事情が違うことは判り切ったことだ
けど、これまでなら差別的な扱いをされても定住する為に耐えてき
た移民たちが、世代を重ねて社会に定着し、そして自己主張をする
ようになった背景には統合が影響しているんじゃなかって言ってる
んだ」
「大体EU統合なんて上手くいく訳ないさ」
「もちろん簡単な訳ないさ、地域紛争は絶え間なく起こるだろう。
それでも世界はグローバル化したんだから、何時までも民族だ国家
だなんて言ってられなくなるさ」
「そんなこと言ったら、人種が混合してしまうで」
「そうだよ、何れ人類の皮膚の色は混血を繰り返して褐色になる。
その主な原因はオゾン層の破壊によって紫外線量が爆発的に増加し
て、色素を持たない白人は致命的なプレッシャーを受けて真っ先に
淘汰され黒人だけが生き残る。そもそも『国家』なんて白人の創っ
た概念だからね、やがて人類は混血化した褐色人種だけが生き延び
て世界を支配し、そこでは民族や人種といった違いが無くなり、唯一
の褐色人種の下で国家なんて消滅するだろう」
「そっ、そんなことになったら商売上がったりだよ!」
「ところで、あんた何屋さんだっけ?」
「タトー屋!」
「・・・」
閑話休題、ハーフタイムが終わって後半戦が始まった。
(完)②
「そーか?」
すると、それまで黙って焼酎を飲んでいた知り合いの男が私の言っ
たことに反論した。
「そんな大袈裟なことかね、ただ国内の人種問題が代表チームにも
表れただけのことじゃねえの」
私は裏を掻かれたことに慌てふためいて、彼の口撃を封じようと彼
をマークした。
「もちろんそれもあるさ、しかし、その背後にはEU統合という大
きな時代転換の流れがあるんじゃないかって言ってんだよ」
「じゃあ何で他の国はあっさり勝ち進んでいるんだよ。オランダな
んて人種の坩堝だぜ。それでも何の問題もなく戦ってるじゃんか。
チームが纏るかどうかはさっき誰かが言った中心になる選手が、例
えばフランスならジタンがボールコントロールして前を向けば、全
員が『さあ攻撃だ!』って攻め上がるじゃない、ただ、そういう選
手が確かに居なくなったとは思うけど」
私もムキになって言い返した。
「そりゃあ、国によってチーム事情が違うことは判り切ったことだ
けど、これまでなら差別的な扱いをされても定住する為に耐えてき
た移民たちが、世代を重ねて社会に定着し、そして自己主張をする
ようになった背景には統合が影響しているんじゃなかって言ってる
んだ」
「大体EU統合なんて上手くいく訳ないさ」
「もちろん簡単な訳ないさ、地域紛争は絶え間なく起こるだろう。
それでも世界はグローバル化したんだから、何時までも民族だ国家
だなんて言ってられなくなるさ」
「そんなこと言ったら、人種が混合してしまうで」
「そうだよ、何れ人類の皮膚の色は混血を繰り返して褐色になる。
その主な原因はオゾン層の破壊によって紫外線量が爆発的に増加し
て、色素を持たない白人は致命的なプレッシャーを受けて真っ先に
淘汰され黒人だけが生き残る。そもそも『国家』なんて白人の創っ
た概念だからね、やがて人類は混血化した褐色人種だけが生き延び
て世界を支配し、そこでは民族や人種といった違いが無くなり、唯一
の褐色人種の下で国家なんて消滅するだろう」
「そっ、そんなことになったら商売上がったりだよ!」
「ところで、あんた何屋さんだっけ?」
「タトー屋!」
「・・・」
閑話休題、ハーフタイムが終わって後半戦が始まった。
(完)②