先日、会社の用事で常磐道を通り新潟まで行ってきた。
前回行ったときには会津から新潟まで田んぼが黄金色に輝いていたのですが、今回はすでに刈取りが進んでいる田んぼが多くありましたね。それが本来の田園風景なんですよね。
南相馬市は原発事故の影響により、野菜や果物の作付は許されていますが、本来日本人の主食であるコメの作付は許されていません。雑草に覆われ荒廃した田園風景が広がっています。雑草があまり伸びないように何回も耕運を繰り返しているんですが、雑草は強くてすぐに伸び放題になってきます。稲の作付をした方が管理が楽かもしれませんね。
今年は、放射能の影響を調べるために市内の約130ヶ所で「試験水田」が作付されています。将来の農業に希望が持てるのか試されているんです。
私の近所でも「試験水田」に協力しました。もう刈取り適期を過ぎているような気がします。荒れた田んぼに作付をしたのでだいぶ病気も見られますね。
重たそうに頭を垂れながら下を向いている稲穂を見ているとなぜか懐かしさがこみ上げてきます。これまでの人生で40年近く米作りに携わってきましたが、それが中断して2年が過ぎてしまいました。これまで大変な思いをして作付を繰り返してきた稲作ですが、この荒れ果てた田んぼではたして以前のような稲作ができるのだろうか。
10アールの「試験水田」からサンプルをとり放射線量を測定するようです。後のせっかく実った米は全て廃棄されるそうです。狭いながらも1年間育ててきて少しのサンプルを取って廃棄されてしまうのは本当にさびしい気持ちですよね。
放射線量の結果は出ているんでしょうがまだ公表されません。その結果次第で来年の作付を開始するようですが、一部の話では「除染」が進まないうちは作付はできないだろうと言われています。正式に決定するのは12月になるそうです。来年の種もみは確保できるんだろうか?
来年で3年目、来年の作付いかんによっては南相馬市の稲作の方向性が大きな岐路にたたされることになるでしょう。