令和3年12月19日(日)
藪柑子 : 深見草
山林の湿地などに自生するヤブコウジ科の常緑小低木。
地下茎を伸ばして繫殖し、茎は直立して殆ど枝別れせず
高さは10~20cm。
光沢のある厚みのある長楕円形の葉は互生し、茎の
上部に1,2層の輪生状に付く。
夏に、茎の間に白い小さな花を付ける。
冬、光沢のある葉の間から真っ赤に熟した丸い実が覗く。
観賞用として庭や盆栽、鉢植え等として育てられる。
藪柑子は慶事や縁起物として用いられ、特に新年の飾り
には、「仙寥」(千両)や万両と伴に無くてはならない
ものである。
また、冬季の花材としても多くに重用されている。
古来から、赤い実を付けた植物は縁起物としてお正月飾
りに使用され、万両、千両、百両、拾両等と言われる。
万両は葉の下側に実を付け、鳥に実を食べられないので
多く実が在る。高さ1m位でクササンゴという。
千両は葉の上に実が付き、鳥に食べられ易い。温暖な
地域に多く分布する。高さ50cm、クササンゴという。
百両は、江戸時代たちばな」といわれとても高価な物と
して「百料金」と呼ばれた。1m、カラタチバナという。
十両は古くはヤマタチバナといわれ、近代にヤブコウジ
と呼ばれるようになった。
一両は、腋に長く鋭い棘があるが手軽(安価)に正月用
として用いられた。アリドオシ(有り通し)と言われた。
千両、万両のお金持ちでもこの有り通しがないとどうにも
ならぬと「千両、万両,有り通し」と囃されたようである。
寒さが厳しい今朝、散策に出掛ける。(気温は8℃)
先日、落語会が催された寺の前を通り、何気なく境内を
覗いて見ると、日陰の片隅に小さな赤い実を付けた植木
を見つけた。藪柑子で、ひっそりと日陰がよく似合う。
今日の1句
檀家寺訪ふ人なく藪柑子 ヤギ爺