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循環器徴候6 連載 その46

2014-05-12 | 症例集

 今回は前回その45、例19の続きです

 静脈圧の推定は中心静脈ラインを用いて行うこともできるが、その推定は身体所見で行うことができる。 身体所見での静脈圧は一般的に、頚静脈圧 jugular venous pressure (JVP) を測定する。 頚静脈には内頚静脈と外頚静脈があるが、静脈圧を正確に測定する場合には、上大静脈と直接直線的に接続している「内頚静脈」を用いる。

 外頚静脈の観察が容易な患者の場合、外頚静脈を用いた静脈圧の推定を行ってもよい。 ただその場合は正確度が落ちる。 外頚静脈は上大静脈に直通しておらず(2回の分岐でつながる)、静脈弁もあり、かつ内頚静脈より細いからである。

 内頚静脈と外頚静脈のいずれも観察が困難な場合には、手背静脈を利用してもよい。 まず、手背面を上部に向けたまま手を心臓の高さより低い位置に置く。 しばらくすると、手背静脈が怒張してきます。 手背面を上部に向けたまま、徐々に手の高さを上げていき、心臓の高さを超えて高くしていくと、急に手背静脈が虚脱するポイントに到達する。 そのポイントの高さから右心房までの垂直距離が静脈圧となる。

 骨折術後の経過中に突然発症する呼吸困難でCXR正常のときは肺塞栓を考慮し、高度の肺動脈圧増加でP2亢進していることを確認する。 この患者では、ECGでも、四肢誘導のS1Q3T3、胸部誘導の inverted T を認めた。 造影CT検査で左肺動脈幹部に血栓陰影を認め、重症肺塞栓に対する治療(血栓溶解療法+抗凝固療法)が開始された。 その後、症状軽快した。

 肺塞栓の原因となる血栓の由来は下肢や骨盤が多い(約90%)。 上肢の静脈系には局所のt-PAが多いために血栓ができにくい。

 ・最終診断:重症肺塞栓

 今回は以上です、身体所見、大事ですね。

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