ヨーロッパではバカンスのシーズンである。フランス人のバカンスとはいかなるものか、本当の夏休みとはいかなるものか、フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』で垣間見てみた。
1.バカンス(仏:vacances)、とは、主としてフランス人、あるいはフランス人のそれを意識しつつ長期休暇を指す人。 バカンスでは、ほとんどの人が夏季に連続1ヶ月ほどの休暇をとる。
フランス人は、組織で勤務する人も、経営者も、学生も、資産家もそうでない人々も、皆がそのような連続休暇を毎年とるのである。法律がそれを許しており、彼らは当然の権利としてそれをとる。
2.「何もしないでいる贅沢」を堪能。 フランス人は、平素の煩瑣な仕事や学業の世界からすっかり解放されて、それらをすっかり忘れ去り、完全な休暇を、そして思い思いのライフスタイルを経験することになる。
地中海岸のリゾート地のホテルに3週間滞在する。マリンスポーツをしたり、乗馬をしてみたり、ともかく好きなことをして毎日過ごす。あるいは、毎日毎日砂浜(ビーチ)でねそべって過ごす。
あるいは行ってみたことのない(彼らにとって未知でエキゾチックな土地である)アジアのとある国に数週間滞在してみる。
あるいは情緒あふれるヨーロッパ・アルプスの山中にコテージを数週間借り、家族全員で過ごす。毎日、アルプスの美しい山々を眺めながら、土地の美味しいものを食べたり、ハイキングをしてみたり、スポーツをしたりして過ごす。
あるいは南フランスの情緒あふれる民家を数週間借りて、家族全員で田舎暮らしを楽しむ。
パリは北緯48度、札幌は北緯43度。つまりパリのほうが札幌より北にあり冬が長い。したがって、ヴァカンスとなれば、太陽の光と、あたたかい風を求めて、南へ南へと行きたくなるのが人情というものである。
したがって、毎年ヴァカンスが始まる時期になると、パリおよびパリ近郊に住む人々の大半が(フランスの総人口のかなりの部分を占める人々が)一斉に、高速道路を使って南フランス(南仏)へと移動を開始する。 フランス人はそれを冗談めかして「民族大移動」などと呼んだりする。その時期の高速道路は当然のことながら大渋滞である。
3.連続1ヶ月の休暇ともなれば、とてつもない喜びをもたらすものであり、それは時として、その後の人生を変えてしまいかねないほどのインパクトがあるものである。 そのため、フランス人は一年の大半を、次のヴァカンスを一体どのようにして楽しく過ごそうか、などと思い描きながら過ごしている、そのため「フランス人はヴァカンスのために生きている」とすら言われる。
4. お金があろうがなかろうが、フランス人はヴァカンスを目一杯楽しむ。お金がなければないなりに、最初から豪華な宿などには泊まることなど考えず、アウトドア志向に切り替え、テント村などでテントを張って楽しく過ごすなど、工夫すればいくらでも選択肢があるのである。
もっとも、学生などでも、より楽しいヴァカンスを過ごすために、アルバイトでお金をためておくことを忘れない者は多い。
5.夏のヴァカンスのあいだだけはパリ近郊の人々に自宅などをそれなりの金額で貸し、その代わりに、自分たちは他の地方へ遊びに行ったりする、という人がいるのである。
首都パリの人々と、南フランスの田舎の住人の間に、ギブ・アンド・テイクの関係が生まれているのである。(このように自宅をバカンスの期間他人のバカンスの為に貸すなども日常的に行われているようである )
しかし、いかにすれば1ヶ月も仕事を休める日本社会が出来るのか分からないのである。
また、もしこれが実現したとすると、自宅を丸ごと貸すなどと言うことがそんなに抵抗なく出来るのだろうか・・・。
さらに、いたるところが休暇中で、買い物、諸手続き、などの多くの日常的な必要不可欠のサービスが受け難くなるのでは、いざと言うときに大変困りそうである。
その上、この季節はどうしても空き巣による被害が多くなると言う。
バカンスにも悩みが色々出てきそうである。