ルクノス ~ともし火~

日本聖公会 北関東教区 宇都宮聖ヨハネ教会のブログです。

チャリティーコンサートについて

2006年05月16日 | クワイヤーアイノス
*根本昭雄神父と貧困とエイズに苦しむ南アフリカの人々

2006年4月24日、東京・六本木にあるカトリック・フランシスコ修道会にて、
今回のコンサートのチャリティー先でもある
南アフリカのエイズホスピスでお働きになっていた
根本昭雄神父にお会いすることが出来ました。 
南アフリカのエイズ(患者)のことや新しい赴任先であるロシアの現状など、
写真を交えてたくさんのお話しをしてくださいました。

根本昭雄神父は、宇都宮市出身です。
群馬県草津のハンセン病病院で6年間勤めた後のお別れ会の時、
「神父さんは私たちと一緒に1回もお風呂に入らなかった」と言われた言葉に
「自分だけが打ち解けたつもりだった」ことに気付かされました。
また、この言葉が根本神父をエイズのための働きへと向かわせる
きっかけとなりました。
「自分にとってそれは大変痛い言葉でしたが『その言葉』に気付かされました。
それを言ってくださった方にほんとうに感謝し、その言葉を大切にしています。」
と、根本神父はおっしゃっていました。

根本神父はその後、アフリカに渡りエイズの人々の
貧しさと苦しみの中へ歩み出されます。
病床70ほどの施設に毎日400人ほどのエイズ患者が運ばれ、
薬を与えても注射をしても助からずに、次々と亡くなっていきます。
そのなかには母子感染の子どもたちもたくさんいます。
今は、国が薬を何とか無料で配布する努力を続けていますが、
爆発的な患者の数に、いつまで無料配布か続けられるか
関係者は頭を抱えています。

また、国が認定しているHIV患者以外にもたくさん救いを求めている人がいます。
物質的供給(薬、施設、人)は、追いつかず、
薬は援助を受けても受けても足りず、
貧困の中での教育の遅れは、ますます病気を広げていきます。

このような絶望的な状況の中で、
根本神父は「なぜ、こんなに心のきれいな人々が
こんな目に遭わなくてはいけないのだろうか。
神さまは何をお望みなのだろうか。
わたしたちはこの人たちに何を与えられるのだろうか。」
と、問いかけ、祈り続けたそうです。

そんな時、米国で同じ病気の人同士が
E-メールを通じてやりとりしているところを見掛け、
根本神父は、「これだ!」と、思ったそうです。
治らない病気の人にとって必要なこと、
薬よりも『心』に対してのケアが必要だということを。

同じ病気(HIV感染者)の人同士が励ましあい、
HIVのキャリアのスタッフがHIVの患者の世話をする。
同じ痛みや苦しみを担うものどうしが、
彼らにしかわからない痛みや苦しみをともに分かち合い励まし合う・・・。
「同じエイズに苦しむ人々との心と心の触れ合い、
そこから生まれる連帯と慰め、それが今、何より必要なのではないか」と。

本当にエイズの苦しみを理解できるのは
同じエイズの苦しみを負っている人々です。
患者同士が、触れ合って、支えあい、励ましあい、人々がつながっていく。
そして、またエイズキャリアの人々の中からも
医師やスタッフが育つことを根本神父は望んでいます。
エイズの痛みを最もよくわかっているスタッフが存在すれば、
患者にとって大きな慰めになるのではないかと考えているからです。

また、それと同時に大切なことは、子供や若い人々に
「いのちの教育」を行っていくことです。
それが成されなければ、エイズはものすごい勢いで増え続けてしまう一方です。

また、このような悲惨な状況を生んだ背景・・・大国による植民地支配、
現地の部族間の闘争、アパルトヘイトによる差別、
それによる貧富の差、貧困層の教育の遅れなどの歴史など、
アフリカにエイズが蔓延した数々の原因にも
私たちは目を向けなければならないと根本神父はおっしゃいます。

今、根本神父はさらにアフリカと深く関わるためにアフリカを離れロシアに渡り、
その活動を国や地域を超えて広げていこうとなさっています。
たくさんの苦しみや悲しみの現実のなかでいのちを見つめながら、
根本神父は光のように美しい言葉を語ってくださいました。

「さまざまな困難な状況の中で、危険と隣り合わせの時、
逃げ出したいという気持ちも起こります。
もう絶対にだめだということも何回も起こりました。
でも不思議な力があたえられる、道が開かれるといったことがあるのです。
私たちは夢を持つべきだし、夢を貫くべきです。
正しい道であれば、神さまは必ずそのドアを開いてくださるのです。」

厳しい凛とした表情のその瞳の奥に、少年のような輝きを放ちながら、
いきいきと夢を語る根本神父を目の前にして、私たちは心が熱くなりました。

私たちは、根本神父のようには働けない小さな者です。
でも、なにか自分に出来ることを見つけて、どんなに小さなことでも、
すぐ隣りの「あなた」と手を取り合って、
「あなた」がまた「あなた」とつながって、
小さな働きが「わたし」と「あなた」が
鎖のように、ひとつひとつ、つながっていけたらいいなと思います。

最後に根本神父は、私たちのチャリティーコンサートのために、
そしてその活動が神さまに用いられますように、とお祈りくださいました。
私たち『宇都宮第九合唱団』と『クワイヤーアイノス』の
小さな「わたし」と「あなた」の1歩。
それは、6月のチャリティーコンサートです。
エイズ撲滅の活動と、患者さんたちのために募金を行います。
私たちは歌うことで、南アフリカだけでなく、
全世界に同じように苦しんでいる兄弟姉妹がいることを
たくさんの方に伝えることが出来たら良いな・・・と、思います。
                        【文責:Yoko.O Tomoko.S】


■募金をしてくださる方は■
詳細は、フランシスコ会海外宣教事務局(TEL03-3403-8088)。
支援先は、郵便振替00100-2-109446「フランシスコ会海外宣教事務局」まで。
通信欄に「南アフリカ援助(根本神父)」と明記のこと。

最新の画像もっと見る