今日のことあれこれと・・・

記念日や行事・歴史・人物など気の向くままに書いているだけですので、内容についての批難、中傷だけはご容赦ください。

煙突の日

2006-11-11 | 記念日
今日(11月11日)は「煙突の日」だそうだ。
「1111」が煙突が4本立っているように見えることから・・・だそうだが、日本記念日協会の記念日には、なかったが、まあ、数字の語呂合わせの記念日なんだね。
煙突)は、工場、事業場、家庭などから燃焼等の過程で排出されるガスを屋外に導くための長い筒状の突起物である。煙突の高さが高いほど、排出ガス中に含まれる大気汚染物質濃度は、地表に到達するまでに拡散されるということから、排出ガス濃度そのものの低減対策として、煙突の高さを高くする対策が広く推奨されてきたが、煙突の高さを高くしても大気汚染物質の総量削減効果はないという。(以下参考のEICネット[環境用語集:「高煙突」:「有効煙突高」)
昔はよく見られた煙突も、この頃では殆ど見ることもなくなってきた。
日本の環境問題は時代の流れに応じてその重点が大きく変わってきたが、昔、栃木県の足尾銅山から出てくる鉱毒の問題や、別子銅山の煙害事件などがあったものの、これらは、極めて地域的な問題としてとらえられていた。また、以下参考の環境白書にも書かれているとおり、その後の重工業を中心とする日本経済の興隆期においては、工場から排出される黒煙が地域の繁栄、日本経済の発展の象徴としてとらえられており、第2次大戦終了までは、公害問題についての認識はほとんどなかったといえるだろう。
振り返ってみると「4大工業地帯」の一つである、私の地元、大阪・神戸市を中心とする阪神工業地帯も海浜側には、戦後、大きな工場の煙突が林立し、煙がもうもうと出ていたが、当時は、そのような情景が繁栄のシンボルとしてとらえられ、讃えられていた時代があったわけだが、京浜・阪神等の地域などでは昭和20年代には早くも公害の発生が問題とされ、昭和24年の東京都における「工場公害防止条例」の制定をはじめ、地方公共団体による条例の制定が見られれるようになった。
振りかえってみると、戦後の経済成長期の公害といえば、コンビナートの大きな工場の煙突が大気汚染の元凶であった時代がずいぶんと長かったような気がする。
ずいぶんと前だが、NHKの放映だったと思うが、「煙突の見える場所」(1953年) という映画を見た。監督は、五所平之助。上原謙 、 田中絹代 、芥川比呂志 、 高峰秀子 などそうそうたる役者が出演していた。東京の下町・北千住、の“お化け煙突”と呼ばれる煙突が見える界隈の安い貸家に住む緒方隆吉と弘子の夫婦は2階を仙子と健三というふたりの独り者に貸している。映画は、これらの人々の日常を描いたヒューマン・ドラマで、非常にコミカルで面白い映画だったが、この映画の始まりから最後まで、見る場所によって一本にも二本にも、又三本四本にもみえる”おばけ煙突”が映画のバックに出てくる。まるで、「おばけ煙突」がいつも、この人達をおかしげに見下している感じである。タイトルに「煙突の見える場所」とあるように、この映画の主役は、出演者よりも、むしろ、この“お化け煙突”であるともいえるだろう。
この映画に出てくる煙突は、かつて隅田川沿いに存在した東京電力の火力発電所「千住火力発電所」をモデルにしている。東京電力の前身となる東京電灯が、1905(明治38)年に現在の荒川区南千住第二中学校の位置に建設した発電所が始まりで、関東大震災後の1926(大正15)年に電力の需要増加に合わせて足立区に移転した。当初25,000kwの出力を持っていたが、順次増設されて最終的には75,000kwの発電能力を持つまでに至った。しかし当初は予備発電所で、本格稼動するようになったのは戦時中から。燃料は石炭であったが発電所の立地が悪かったため貨車による乗り入れができず、千住の停車場まで運んだ石炭は筏に積み替えられ、川船頭により筏にのって運ばれる姿が当時は見られたという。戦後になって石炭の質が低下したことから、1953(昭和28)年にはボイラー1つが重油使用に切り替えられた。しかし施設老朽化と石油を使用する新発電所が各地に建設されたため、1963(昭和38)年5月に稼動を停止し、1964(昭和39)年には取り壊されたそうだ。現在、跡地は東京電力足立支社となっているという。
この千住火力発電所は巨大な4本の煙突を持っていたが、この煙突は付近住民などからは「お化け煙突」と呼ばれ親しまれていたそうだ。その理由としては、建設当初は予備的な発電所であってめったに稼動しなかったため、煙突から時たま煙を吐く姿が「お化け」のようだったから・・とか、また、見る方向によって、煙突の数が1~4本と変化するから「不思議な煙突」ということからとか言われているようだ。
煙突は、菱形に配置されており、また中心に2本並列していた煙突と前後にあった煙突が重なり合って1本に見えることから、真横から見ると1本、斜めから見ると2本ないしは4本、真正面から見ると3本になったと言われる。また常磐線・京成本線からもこの煙突は良く見えており、2本から4本へ(その逆も)変化する姿も眺められたという。先に紹介した映画「煙突の見える場所」でもその様子が、写されており、私もこの映画を見たとき驚き、不思議に思ったものだ。この煙突は、よほど、珍しかったようで、多くの映画や小説、漫画などに登場している。(千住火力発電所が登場する作品参照)
このような工場の煙突ではなく、煙突と言えば、私は、やはり、ジュリー・アンドリュース主演の映画「メリー・ポピンズ」を思い出す。
♪チムチムニー チムチムニー チムチムチェリー
わたしは 煙突そうじやさん♪・・・
映画の劇中歌として歌われた歌「ChimChimCheree」。映画では、煙突だらけの屋上に上ると、煙突の中からメリー・ポピンズが現れ、あちこちから煙突掃除夫が飛んできて、皆で踊りつづける。本当に楽しい映画で、印象に残っている。歌はここで聴けるよ。↓
http://www.sa.il24.net/~cthulhu/midi.htm
煙突のある家と言えば、普通暖炉のある家と言うことになるよね。私も、若い頃はロマンティストだったので、今の家を新築する時、是非欲しかったのが、この暖炉とホームバーであった。家には、私の親と子どももおり、3世代が同居するには、それだけの部屋数も必要だし、設計の段階でいろいろ考えたが、やはり、都会の真ん中であり、敷地の問題もありどちらも作るのを断念せざるを得なかった。飲兵衛で映画好きの私は、洋画などを見ていて、暖炉の燃えている部屋のホームバーで酒を飲むのが本当に夢だったのである。折角、洋酒のグラスは一通りセットで揃えておいたのに・・・残念・・・。
”あたしの赤い煙突。なぜ煙を吐かないのかしら? お父さまとお母さまの煙突からは、あんなに沢山煙が出ているのに……”
”彼女は七つの秋、扁桃腺炎を患って二階の窓の傍に寝かされた時、はじめてその不思議を発見した。
 秋晴れの青空の中に隣の西洋館の屋根の煙出しが並んで三本あった。両側の二本は黒く真中のは赤い色をしていた。そしてその赤い色の一本はずっと小さくて何処か赤い沓下をはいた子供の脛のような形であった。彼女にはまるでその様子が父親と母親との間に挟まった自分であるかのように見えた。けれども、おかしいことにも、彼女は毎日々々寝床の中から殆どそれらの煙突ばかりを見ていたのだが、赤い色のはついぞ一度も煙を吐かなかった。……彼女は感動しやすい子供だったので、その小さな煙突をひどく可哀相に思って、しまいには泪を浮かべて眺めた。・・・”
渡辺 温著「 赤い煙突 」の冒頭部分であるが、赤い煙突からは、何故煙が出ていなかったのだろうね~。以下の青空文庫で読める。本当に短い短編だし、興味があったら読んでみて。
赤い煙突  ↓
http://www.aozora.gr.jp/cards/000020/files/2572.html
又、 夢野 久作著「けむりを吐かぬ煙突」という短編もあったので以下に紹介しておこう。  
けむりを吐かぬ煙突  ↓
http://www.aozora.gr.jp/cards/000096/files/43780_24358.html
(画像はDVD・映画「煙突の見える場所 」)
参考:
EICネット[環境用語集:「高煙突」]
http://www.eic.or.jp/ecoterm/?act=view&serial=760
EICネット[環境用語集:「有効煙突高」]
http://www.eic.or.jp/ecoterm/?act=view&serial=2606
環境白書
http://www.env.go.jp/policy/hakusyo/honbun.php3?kid=150&serial=1735&bflg=1
4大工業地帯
http://db.gakken.co.jp/jiten/ya/705420.htm
京浜工業地帯 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%AC%E6%B5%9C%E5%B7%A5%E6%A5%AD%E5%9C%B0%E5%B8%AF
EICネット[環境用語集:「公害防止条例」]
http://www.eic.or.jp/ecoterm/?act=view&serial=775
煙突の見える場所 - goo 映画
http://img.movie.goo.ne.jp/movies/PMVWKPD23651/index.html
足立 区 のち れ きみ ん
http://www.adachi.ne.jp/users/a.trm/rokusyu.htm
作品名: 赤い煙突,著者名: 渡辺 温(青空文庫)
http://www.aozora.gr.jp/cards/000020/card2572.html
作品名: けむりを吐かぬ煙突、著者名: 夢野 久作 (青空文庫)
http://www.aozora.gr.jp/cards/000096/card43780.html