2009年1月21日午前2時(日本時間=現地時間1月20日正午)、米国史上初のアフリカ系(黒人)大統領(バラク・オバマ)が誕生した。
この米国史上初のアフリカ系(黒人)大統領の誕生する歴史的瞬間に立ち会おうとする人々が、現地時間20日夜も明けぬ早朝から首都・ワシントンに集まり、町は人で埋め尽くされ、オバマ氏の選挙中のキャッチフレーズであった「イエス・ウィ・キャン(そうだ、私たちはできる)」の声が町中にこだました。
同日正午(日本時間1月21日午前2時)、バラク・オバマ氏(47歳)は就任演説で、主に、ブッシュ政策を端から否定し、経済危機に直面する国民に対して、建国の理想に戻り、米国民一人ひとりが団結し、責任を共有し、希望を持って米国を再生させる「チェンジ(変革)」の一翼を担うよう呼びかけた。
その演説の前文翻訳は以下参考に記載の頭に(※1)印のあるものを見られるとよい。
就任式会場周辺に詰めかけた200万人にも及ぶ人達の期待はそれぞれに思いが違うのであろうが、やはり、最優先となるのは直面する深刻な経済危機の打開だろう。しかし、その経済危機の回復は、口でいうほど簡単には行かない難しい問題である。
オバマ氏は、ルーズベルトの「ニューディール政策」を踏まえ、財政赤字拡大を恐れず積極財政を展開し、環境・エネルギー対策にからめた雇用を創出を考えた「グリーン・ニューディール政策」(以下参考に記載の※2を参照)を計画。そして、中低所得者層への減税の配慮や医療制度改革、地球温暖化へにも取り組む姿勢も示しているが、いずれをとっても、なかなか早期の実現は困難なものばかりである。
演説の中で、今の経済危機の発生の引き金となった市場のことについては、”富を作り出し自由を拡大するためのものとして、市場ほど強力なものはないことは認めているが、今回の危機で、きちんとした監督がなければ、市場は無軌道で野放図な動きをしてしまうと、改めて思い知らされた。さらには、富める者しか厚遇しない国は、あまり長いこと繁栄できないのだということも、今回改めて分かった。昔からそうだったが、この国の経済がうまく行くために大事なのは、国内総生産の規模だけではなく、その繁栄がどこまで届いているかであり、大事なのは、やる気のある全ての人に私たちがいかにチャンスを提供できるかであり、それは、慈善でそうするのではなく、その方が確実に国民全員の利益にかなうからこそ、広くチャンスを提供できるかどうか。”・・であるといっている。そして、自動車産業などで多くの失業者が出ていることなどを念頭においてのものだろう、失業問題等については以下のよう事も言っている、”私たち全員に求められてるのは奉仕の精神”であること。そして、”政府は多くのことができるし、多くのことをしなくてはならないが、究極的には、この国が頼みにしているのは、アメリカ国民の信念と決意のほどであり、それはたとえば、防波堤が決壊したときに赤の他人を自分の家に迎え入れる優しさだったり。仲間が職を失うのを見るよりは自分の勤務時間を減らした方がいいという無私な労働者の思いやりだったり。真っ暗な時代を私たちが乗り越えていくには、国民のそういう心持ちが必要なのだ。”・・と。
つまり、政府が出来ることには限界があり、今まで実施してきたことも含めて、政府はやるべきことやらないでいい事をきっちりとを見極めた上で、国民の税金を賢明に使い、悪い習慣を改善し、透明性の高い形で仕事をするよう責任を負うことを誓っている。だから、国民全員が建国の理想に戻り、手を取り合って難題に取り組もうと言っているのである。
そして、成功するために今何が求められているかというと、それは、”勤勉や正直、勇気や公平、寛容と好奇心、忠誠と愛国心といった昔からの古い価値観つまり、真実の、本物の価値観の共有が必要であることを強く強調している。そして、これからは、全てのアメリカ人が、自分たち自身への責任と、国への責任と、世界への責任を認識することが必要であり、嫌々、不承不承に責務を担うのではなく。難しい仕事に全身全霊を尽くすことほど、心が充実し、人格を作り上げてくれるものはないのだとしっかり認識した上で、進んで喜んで責任を受けれることが要だと念を押している。オバマ氏がめざす「変革」とは、憲法に代表される米国民主主義の理想と伝統への回帰にほかならない。
米国型民主主義の場合、経済復活のための計画に沿って、その遂行に最も相応しい人事を決める。各省庁の高級官僚の多くは政治任用によって決まるため、過去の慣習や前例などに縛られることもなく、その人事を通じて、今までとは違った180度転換した政策つまり、思い切った変革が可能である。
しかし、現実がオバマ氏の理想を受け入れてゆくかどうかは微妙である。特に米国民が大事にする自由を損なわずに公正な社会を実現するのはそう容易なことではない。オバマ氏が公約した富裕層への増税や支持層の労組へのリストラやワークシェアリングのへに対する抵抗も強そうだ。いよいよこれから、オバマ新大統領の力量が試されるところである。
この日(現地1月20日)の米国株式市場は、英RBSの巨額赤見通しを受け金融機関への懸念が再度高まり銀行株中心に全面安の展開となっているが・・・。
因みに、米大統領選の時、民主党候補指名を目指すオバマ上院議員のキャッチフレーズとして、すっかり有名になった「イエス・ウィ・キャン(われわれはできるんだ)」を、人気R&Bグループ、ブラック・アイド・ピーズのウィル・アイ・アムが曲に乗せて音楽ビデオ化したところ、アクセスが殺到する人気となり、このビデオは、2008年、2月月5日のスーパー・チューズデーを前に無償公開され、インターネットの動画投稿サイト「ユーチューブ」などに転載されて話題を呼んだようだ。又、こうした人気をみて、共和党のジョン・マケイン候補を題材に「ノー・ユー・キャント(君にはできない)」と歌うビデオも登場したという。以下では、その動画が見れるよ。
【動画】オバマ氏応援歌「Yes We Can」(One Step ビヨ~ん!!)
http://onestepbeyooond.blog57.fc2.com/blog-entry-2005.html
しかし、アメリカは国民の80%以上の支持を得た大統領が、これから本格的にこの難局に立ち向かおうとしているのに対し、日本の国民の20%の支持も得られない首相が、政権の座にしがみ付いているのを見ると、今後の日本がどうなるか?・・・心配で仕方のないのは私だけではないだろう。兎に角、1日も早く、選挙をして国民の審判を仰いだ上で思い切った政策を講じてほしいものだ。
(画像は、1月20日正午、リンカーンが1861年の大統領就任式で使った聖書に手を置き「私は合衆国大統領の職務を忠実に遂行して合衆国憲法を維持、保護、擁護することを厳粛に誓う」と宣誓しているところ。写真は、1月21日朝日新聞2面より)。
参考
(※1)努力と責任感で「どんな嵐にも耐えよう」オバマ大統領の就任演説 全文翻訳 <特集・オバマのアメリカ>2009年1月21日(水)07:51
http://news.goo.ne.jp/article/gooeditor/world/gooeditor-20090121-03.html?fr=rk
ニューディール政策 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%83%87%E3%82%A3%E3%83%BC%E3%83%AB%E6%94%BF%E7%AD%96
(※2)グリーン・ニューディール――オバマ次期米大統領が担う大変革への期待(日経エコロミー)
http://eco.nikkei.co.jp/column/iida/article.aspx?id=MMECcm000010112008
環境省:「グリーン・ニューディール」日本版の施策公募(毎日JP)
http://mainichi.jp/select/science/news/20090117k0000m040058000c.html
ウィル・アイ・アム - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A6%E3%82%A3%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%82%A2%E3%82%A4%E3%83%BB%E3%82%A2%E3%83%A0
バラク・オバマの2004年7月スピーチ全訳
http://news.ohmynews.co.jp/news/20080222/21306
ロイヤルバンク・オブ・スコットランドーWikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AD%E3%82%A4%E3%83%A4%E3%83%AB%E3%83%90%E3%83%B3%E3%82%AF%E3%83%BB%E3%82%AA%E3%83%96%E3%83%BB%E3%82%B9%E3%82%B3%E3%83%83%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%89
この米国史上初のアフリカ系(黒人)大統領の誕生する歴史的瞬間に立ち会おうとする人々が、現地時間20日夜も明けぬ早朝から首都・ワシントンに集まり、町は人で埋め尽くされ、オバマ氏の選挙中のキャッチフレーズであった「イエス・ウィ・キャン(そうだ、私たちはできる)」の声が町中にこだました。
同日正午(日本時間1月21日午前2時)、バラク・オバマ氏(47歳)は就任演説で、主に、ブッシュ政策を端から否定し、経済危機に直面する国民に対して、建国の理想に戻り、米国民一人ひとりが団結し、責任を共有し、希望を持って米国を再生させる「チェンジ(変革)」の一翼を担うよう呼びかけた。
その演説の前文翻訳は以下参考に記載の頭に(※1)印のあるものを見られるとよい。
就任式会場周辺に詰めかけた200万人にも及ぶ人達の期待はそれぞれに思いが違うのであろうが、やはり、最優先となるのは直面する深刻な経済危機の打開だろう。しかし、その経済危機の回復は、口でいうほど簡単には行かない難しい問題である。
オバマ氏は、ルーズベルトの「ニューディール政策」を踏まえ、財政赤字拡大を恐れず積極財政を展開し、環境・エネルギー対策にからめた雇用を創出を考えた「グリーン・ニューディール政策」(以下参考に記載の※2を参照)を計画。そして、中低所得者層への減税の配慮や医療制度改革、地球温暖化へにも取り組む姿勢も示しているが、いずれをとっても、なかなか早期の実現は困難なものばかりである。
演説の中で、今の経済危機の発生の引き金となった市場のことについては、”富を作り出し自由を拡大するためのものとして、市場ほど強力なものはないことは認めているが、今回の危機で、きちんとした監督がなければ、市場は無軌道で野放図な動きをしてしまうと、改めて思い知らされた。さらには、富める者しか厚遇しない国は、あまり長いこと繁栄できないのだということも、今回改めて分かった。昔からそうだったが、この国の経済がうまく行くために大事なのは、国内総生産の規模だけではなく、その繁栄がどこまで届いているかであり、大事なのは、やる気のある全ての人に私たちがいかにチャンスを提供できるかであり、それは、慈善でそうするのではなく、その方が確実に国民全員の利益にかなうからこそ、広くチャンスを提供できるかどうか。”・・であるといっている。そして、自動車産業などで多くの失業者が出ていることなどを念頭においてのものだろう、失業問題等については以下のよう事も言っている、”私たち全員に求められてるのは奉仕の精神”であること。そして、”政府は多くのことができるし、多くのことをしなくてはならないが、究極的には、この国が頼みにしているのは、アメリカ国民の信念と決意のほどであり、それはたとえば、防波堤が決壊したときに赤の他人を自分の家に迎え入れる優しさだったり。仲間が職を失うのを見るよりは自分の勤務時間を減らした方がいいという無私な労働者の思いやりだったり。真っ暗な時代を私たちが乗り越えていくには、国民のそういう心持ちが必要なのだ。”・・と。
つまり、政府が出来ることには限界があり、今まで実施してきたことも含めて、政府はやるべきことやらないでいい事をきっちりとを見極めた上で、国民の税金を賢明に使い、悪い習慣を改善し、透明性の高い形で仕事をするよう責任を負うことを誓っている。だから、国民全員が建国の理想に戻り、手を取り合って難題に取り組もうと言っているのである。
そして、成功するために今何が求められているかというと、それは、”勤勉や正直、勇気や公平、寛容と好奇心、忠誠と愛国心といった昔からの古い価値観つまり、真実の、本物の価値観の共有が必要であることを強く強調している。そして、これからは、全てのアメリカ人が、自分たち自身への責任と、国への責任と、世界への責任を認識することが必要であり、嫌々、不承不承に責務を担うのではなく。難しい仕事に全身全霊を尽くすことほど、心が充実し、人格を作り上げてくれるものはないのだとしっかり認識した上で、進んで喜んで責任を受けれることが要だと念を押している。オバマ氏がめざす「変革」とは、憲法に代表される米国民主主義の理想と伝統への回帰にほかならない。
米国型民主主義の場合、経済復活のための計画に沿って、その遂行に最も相応しい人事を決める。各省庁の高級官僚の多くは政治任用によって決まるため、過去の慣習や前例などに縛られることもなく、その人事を通じて、今までとは違った180度転換した政策つまり、思い切った変革が可能である。
しかし、現実がオバマ氏の理想を受け入れてゆくかどうかは微妙である。特に米国民が大事にする自由を損なわずに公正な社会を実現するのはそう容易なことではない。オバマ氏が公約した富裕層への増税や支持層の労組へのリストラやワークシェアリングのへに対する抵抗も強そうだ。いよいよこれから、オバマ新大統領の力量が試されるところである。
この日(現地1月20日)の米国株式市場は、英RBSの巨額赤見通しを受け金融機関への懸念が再度高まり銀行株中心に全面安の展開となっているが・・・。
因みに、米大統領選の時、民主党候補指名を目指すオバマ上院議員のキャッチフレーズとして、すっかり有名になった「イエス・ウィ・キャン(われわれはできるんだ)」を、人気R&Bグループ、ブラック・アイド・ピーズのウィル・アイ・アムが曲に乗せて音楽ビデオ化したところ、アクセスが殺到する人気となり、このビデオは、2008年、2月月5日のスーパー・チューズデーを前に無償公開され、インターネットの動画投稿サイト「ユーチューブ」などに転載されて話題を呼んだようだ。又、こうした人気をみて、共和党のジョン・マケイン候補を題材に「ノー・ユー・キャント(君にはできない)」と歌うビデオも登場したという。以下では、その動画が見れるよ。
【動画】オバマ氏応援歌「Yes We Can」(One Step ビヨ~ん!!)
http://onestepbeyooond.blog57.fc2.com/blog-entry-2005.html
しかし、アメリカは国民の80%以上の支持を得た大統領が、これから本格的にこの難局に立ち向かおうとしているのに対し、日本の国民の20%の支持も得られない首相が、政権の座にしがみ付いているのを見ると、今後の日本がどうなるか?・・・心配で仕方のないのは私だけではないだろう。兎に角、1日も早く、選挙をして国民の審判を仰いだ上で思い切った政策を講じてほしいものだ。
(画像は、1月20日正午、リンカーンが1861年の大統領就任式で使った聖書に手を置き「私は合衆国大統領の職務を忠実に遂行して合衆国憲法を維持、保護、擁護することを厳粛に誓う」と宣誓しているところ。写真は、1月21日朝日新聞2面より)。
参考
(※1)努力と責任感で「どんな嵐にも耐えよう」オバマ大統領の就任演説 全文翻訳 <特集・オバマのアメリカ>2009年1月21日(水)07:51
http://news.goo.ne.jp/article/gooeditor/world/gooeditor-20090121-03.html?fr=rk
ニューディール政策 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%83%87%E3%82%A3%E3%83%BC%E3%83%AB%E6%94%BF%E7%AD%96
(※2)グリーン・ニューディール――オバマ次期米大統領が担う大変革への期待(日経エコロミー)
http://eco.nikkei.co.jp/column/iida/article.aspx?id=MMECcm000010112008
環境省:「グリーン・ニューディール」日本版の施策公募(毎日JP)
http://mainichi.jp/select/science/news/20090117k0000m040058000c.html
ウィル・アイ・アム - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A6%E3%82%A3%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%82%A2%E3%82%A4%E3%83%BB%E3%82%A2%E3%83%A0
バラク・オバマの2004年7月スピーチ全訳
http://news.ohmynews.co.jp/news/20080222/21306
ロイヤルバンク・オブ・スコットランドーWikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AD%E3%82%A4%E3%83%A4%E3%83%AB%E3%83%90%E3%83%B3%E3%82%AF%E3%83%BB%E3%82%AA%E3%83%96%E3%83%BB%E3%82%B9%E3%82%B3%E3%83%83%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%89