今日のことあれこれと・・・

記念日や行事・歴史・人物など気の向くままに書いているだけですので、内容についての批難、中傷だけはご容赦ください。

朝青龍優勝

2009-01-26 | ひとりごと
昨日(2009年1月25日)、東京・国技館で大相撲初場所の千秋楽が行なわれた。
ここ3場所連続休場から復帰したモンゴル出身の西横綱朝青龍は、場所前の横綱審議委員会(横審)による稽古総見では16番取って6勝10敗と著しく精彩を欠き、進退問題も取り沙汰される状況で臨んだが、初日から14連勝と次第に調子を上げ、千秋楽を迎えた。
その朝青龍を1差で追って来た同じモンゴル出身の東横綱・白鵬との本割りでは寄り倒しで簡単に破れ、14勝1敗で並ばれた。しかし、その15分後の優勝決定戦では、その前の取り組みからは考えられないような力強い相撲で一気に寄り切って破り、5場所ぶり、通算23回目の優勝(貴乃花光司を抜いての歴代単独4位となる)を果たし、土俵上で、両手を上げて横綱らしからぬガッツポーズを見せた。
そして、優勝インタビューでは、涙を浮かべながら「朝青龍は帰ってきました」と語り、館内をおおいに沸かせた。
場所前、一部の横審委員から場所後の「引退勧告もありうる」との意見もでていた朝青龍の今場所に掛ける意気込みは並々ならぬものがあったのであろうが、全試合が終わってみると、あの場所前の稽古総見は何だったのだろうか・・・?、ひょっとして、“私は、稽古も十分出来ていないので調子が悪いんです”・・と皆の目を欺くための演出だったのだろうか?・・とさえ思われた。又、あれだけ、調子も良く、絶対に優勝するだろうと言われてもいた同じモンゴル出身の横綱白鵬が、本割りでは簡単に勝ちながら、優勝決定戦では、簡単に左差しを許して一気に寄り切られている。劇的と言えば、これぐらい劇的なショーはなかなかないだろうね~。
朝青龍の勝負への集中力と執念、気力が、白鵬を上回ったということなのだろうが、3場所連続休場していた朝青龍に、このような型で優勝をさせてしまった関脇や大関陣のふがいなさはどうだろう。
兎に角、今場所は、朝青龍人気で、国技館は大いに沸いた。日本相撲協会は、これからも、朝青龍の人気に頼って興業してゆくしかないということか。
今場所の朝青龍の優勝には、初日稀勢里戦での逆転勝ちが大きかったと、相撲評論家の杉山邦博氏も言っていたが、同時に、初日稀勢里戦での左右の突きでの顔面への「だめ押し」や千秋楽優勝決定戦後の土俵上での両手を上げてのガッツポーズなどは、横綱らしくない行為であり反省すべきと批判もしていた。
朝青龍の今場所中の試合には他にも、気迫の現われかどうかは知らないが、相手を睨み付けたり、腕を振り回したりとまるで、日本の国技ともいわれている相撲を見ているというよりは、なにかプロレスまがいの「喧嘩相撲」を見ているような感じがした。朝青龍の強さそのものは十分に認めるものの、やはり、よく言われているところの横綱としての品格には問題が感じられた。
一日本人として、相撲を見るとき、相撲には相撲の美学があるはずだと私はおもうのだが・・・。。
横綱審議委員会で脚本家の内舘牧子さんも“相撲の最大の魅力は伝統の様式美であり、感情をむき出しにする力士は好きじゃない”と言っているが、私も同感である。かっては、私も大の相撲ファンで、野球その他どんなスポーツよりも相撲が大好きであったが、若・貴時代の終わりごろからは、もう、相撲を見なくなった。と言うよりも、見たくはなくなったというのが本音である。
かっての日本には、「相撲に勝って勝負に負ける」の慣用句があるように、相撲のみならずどんな勝負ごとの世界でも、勝ち方・負け方の美学があり、単に勝ったとか負けたといった結果だけを良し悪しするものではなかった。だから、特に伝統のある相撲など、戦後人気を得たプロレスなどの格闘技などとは違って、勝ったからと言って、ガッツポーズをしたり、負けたからと言って大げさに残念そうな素振りを見せない威風堂々とした態度や取り組み内容そのものが評価されたものだ。
これは、日本の武道でもある柔道や剣道などのにも通じるものだろう。
だが、今・初場所は相撲ファンといわれる大勢の人達が観戦に詰め掛け、国技館は満員御礼。それらのファンが勝負強い朝青龍に感動をしている。
私には、かっての相撲ファンと今の相撲ファンとでは相撲の見方も感じ方も随分違ってきたように思うのだが、それも、時の移り変わりと言えばそれまでだが、日本の伝統や文化はどうなってしまうのだろうかなどとつい考えてしまう。
漫画家で日本相撲協会外部委員もしておられるやくみつる氏も、今の相撲ファンの相撲についての見方・考え方は「随分とハードルが低くなった感じ・・・」・・と受け止めているようだ。
では、21世紀の今の時代に褌だけを身につけた裸で、しかも髷を結った伝統的な姿態で行なわれている現在の大相撲は、日本の伝統芸能なのか?。それとも、近代スポーツなのか・・・?。
現在行われている相撲が本来のどうあるべきかなど私には分からないが、以下参考に記載の”「日本社会における相撲の変容」―文化史としての日本相撲史―”など読んでいると、日本の相撲の歴史なども振り返り、「これからの相撲はどうあるべきか」・・について、よくよく考えないといけない時期に来ているのではないかとは思うよな~。
画像は、千秋楽の優勝決定戦に勝ち、両手を上げてガッツポーズをとっている朝青龍。朝日新聞1月26日朝刊より)
参考:
相撲 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%9B%B8%E6%92%B2
朝青龍明徳 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9C%9D%E9%9D%92%E9%BE%8D%E6%98%8E%E5%BE%B3
国技 – Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%BD%E6%8A%80
美学 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%BE%8E%E5%AD%A6
「日本社会における相撲の変容」―文化史としての日本相撲史―
http://www.beemanet.com/essay/sumo/
やくみつる – Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%84%E3%81%8F%E3%81%BF%E3%81%A4%E3%82%8B