西脇順三郎
皿
33×63cm
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皿
黄色い菫が咲く頃の昔、
海豚は天にも海にも頭をもたげ、
尖つた船には花が飾られ
ディオニソスは夢みつゝ航海する
模様のある皿の中で顔を洗つて
宝石商人と一緒に地中海を渡つた
その少年の名は忘れられた。
麗(ウララカ)な忘却の朝。
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西脇順三郎のこの頃の詩は、イメージがキラキラしていて
高校生の頃のぼくには、非常に魅力的でした。
今改めて読んでみると、
題名が「皿」であることに驚かされます。
このイメージは、きっと、お皿に描かれた絵なんですね。