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一日一書 1705 寂然法門百首 53

2021-09-20 10:28:52 | 一日一書

 

捨父逃逝遠到他土


 
たらちねの玉の台(うてな)をあくがれて埴生(はにふ)の小屋に旅寝すべしや
 

半紙


 
【題出典】『法華経』信解品


 
【題意】  父を捨てて逃逝(とうせい)し、遠く他土へ到り、

父を捨てて逃避し、遠い他の土地に行く。

 


 
【歌の通釈】
父の御殿を抜け出てさすらい、埴生の小屋(粗末な小屋)で旅寝するのだろうか。

 


【考】『法華経』の七喩の一つの長者窮子の初め、子が長者の父の元から家出する場面を詠んだもの。その子どもが放浪する様を埴生の小屋の旅寝と詠み、(中略)悟り浅き二乗の流浪のわびしさをしみじみと描く。

 


(以上、『寂然法門百首全釈』山本章博著 による。)


▼二乗〈にじょう〉とは、簡単にいえば、自らの悟りのみを求める者のこと。

●このたとえ話は、聖書の「放蕩息子」の話を思い出させます。子どもというものは、いつか、どこかで「父」から離れて行くものなのでしょう。けれども、結局は「父」のもとへ帰って行く。帰って行かないかぎり、救いはないのだ、ということでしょうか。

 

 


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